反撃
私は魔剣を振るい、いくつか攻撃を当てはするもののカンカンと音を立てながら止められている。
対して魔王の攻撃はキッチリ私にダメージを与えてくる。
魔王の攻撃は聖女の服の防御能力を上回っているらしい、いくつか攻撃ヒットした場所はズタズタに引き裂かれている
スカートは太腿まで裂けていてスリットが入ったような状態だった。
私は不死ではないので即死攻撃だけは避けなければならない、いつまで躱しきれるか…… 長引けば不利なのはわかっているものの、防御で精一杯なのだ、このままではジリ貧だ。
少しステップを踏んで都市を背にし、剣を振りかぶる。
「馬鹿め、体がガラ空きだ!」
ボディーに渾身の一撃、魔王の拳が叩き込まれた。
「ガハッ」
私は吐血しながら、弾丸のようなスピードで地面と平行に吹き飛ばされた。
ある意味この攻撃も織り込み済みだが、想像以上にダメージが大きい。
「スルトの炎を解放」
私は都市に背を向けて飛ばされている、正面には魔王、つまり魔剣で建物の被害が出ないポジョンに位置を調整していた。
「罪人を焼き払え! 審判の日」
手加減無しの10キロメートルバージョン、威力は最初に使った時とは比べ物にならない。
巨大な炎と爆風が荒れ狂い音速を超えた衝撃波が魔王を飲み込む。
私は南門の瓦礫の中に勢いよく背中から突っ込んで瓦礫にめり込んだ、どうやら街の入口まで飛ばされたらしい。
魔王の攻撃が聖女の服の防御力を貫通して腹部にダメージを負ったので、すぐに立ち上がれない。
体の再生は始まっているが、最低限で見積もっても内臓破裂、体に穴が開かなかったっと言うだけでダメージは深刻だった。
「やったか?」
立ち昇る爆炎を見つめる私。
突然、爆炎の中から弾丸のようなスピードで何かが飛び出した、魔王である、爆炎で接近に気がつかなかったため、一気に距離を詰められた。
魔王の手にはカルンウェナンが握られている。
「自らの武器で滅べ!!」
「しまっ……」
ドンと鈍い音、血が地面にしたたり広がっていく。
「う… そ…」
カルンウェナンがマリーの心臓を貫いていた、いつの間にかマリーは私と魔王の間に割って入っていたのだ。
マリーはそのまま地面に崩れ落ちる。
「マリー!!」
私は悲鳴に近い声で叫んだ。
一瞬、幼い頃のあの光景がよぎる、マリーが私をかばってヘルハウンドの前に立ちふさがったあの光景。
「チッ邪魔が入ったか、だが既に戦意すら失っているようだな」
と魔王は放心状態の私を見て言う。
「あとは命を刈り取るのみ死ね!!」
魔王は私の首を刎刎ねるためカルンウェナンを横なぎに振るった。
- 数十秒前の出来事 -
「マリー!!」
私は悲鳴に近い声で叫んだ。
一瞬、幼い頃のあの光景がよぎる、マリーが私をかばってヘルハウンドの前に立ちふさがったあの光景。
いつだって私を守ってくれたね、マリーは私のヒロインだよ。
その時、突然、私の目の前に選択肢が現れる
- パートナーを選ぼう -
その下にずらりと女の子の名前が連なっていた。
ヒロインを選択するイベント? こんな時に…… いや、こんな時だからこそなのね。
私は迷わずマリーを選択する。
マリー貴女はいつでも私を守ってくれた、私のヒロインだよ
マリーの服が真っ白なウェディングドレスの衣装に変わっていた。
私の目の前にシステムメッセージが表示された。
- エリス・バリスタの魂にアクセス可能になりました -
聖女エリス・バリスタの全ての能力が使用可能です。
私すぐには回復呪文を詠唱する。
「ヒール」
ヒールによってマリーの心臓が一瞬で修復され、マリーの心音と呼吸音が聞こえるようになった。
(よかった、生きてる!)
高レベルのヒールは広域で効果があるらしく自分のダメージも消えた、これだまた戦える。
「聖域」
立て続けに私は最上位の対物理、対魔法防御を展開する。
エリス・バリスタの魔力総量はおよそ200万、聖女ってこんなに魔力総量あったの?
新たに200万の魔力が私に加算されて、単純計算で現在の私の魔力総量は353万だ。
「あとは命を刈り取るのみ死ね!!」
魔王は私の首を刎ねるためカルンウェナンを横なぎに振るった。
キンと貴金属音を立てて、カルンウェナンが私の首筋でピタリと止まる。
「なんだと!!」
「ぶっ飛べぇぇぇぇぇ」
ボディーに渾身の一撃、魔王に私の拳が叩き込まれ、魔王は地面と平行に吹き飛ばされて行った。
私は地面に落ちていたカルンウェナンを拾い、聖女の服を切り裂いてミニスカートに改造する、上着もヘソ出しルック程度に程度には切り裂いた。
これが私の戦闘形態、これでだいぶ動きやすくなった。