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日常

今日は天気が良く、外で食事をするには絶好の機会だった。

中庭では地面にシートを広げ、アリエル、マリー、ローラ、キャサリン、ウェンディが輪を作るように座っている。


シートの上にはランチプレートが並んでいる。

各自がアイテムボックスと呼ばれる収納魔法が使えるので、ランチプレートをそのままアイテムボックスに収納するだけで良いのだ。


キャサリンの剣やウェンディの槍なんかもアイテムボックスに収納されている。


「おまたせしましたわ」


私はリトと一緒にその輪の中に混じって座る。


「遅ーい」

とマリーがふくれた


「色々苦労があったのよ」


「ふーん」


私はアイテムボックスからホカホカのランチプレートを取り出すとシートの上に置いた。


私のアイテムボックスに温かい料理を入れると冷めないのだ。


普通の人のアイテムボックスは単に収納するだけで時間の停止は無いのだが、私のアイテムボックスは収納すると時間が止まる。


これだけで規格外とかチートとか言われている。


「エリスのアイテムボックスは相変わらず凄いわね」


ローラが羨ましそうに言う。


「温め直す時間がかからないだけよ」


冷めた料理も"ヒート"の魔法を使えば温まるし、長期保存目的でなければあまり変わらない。


実際、皆の食べているランチも温め直してるからホカホカだし……


その時、ふと背後に人の気配がしたと感じた時には、既に遅かった。


後ろからマリーにおっぱいをワシ掴みにされた。


「ひゃあっ」

と思わず声が出る。


「リトちゃんと二人っきりで何してたのー、さあ白状しろー」


「な……何もないってば……あん」


隣のリトは羨ましそうに見ている。


(そこ! いいなぁって顔してないで助けろ!)


「リトと仲良しだからマリーは妬いているのよ」


とローラは言う、いつもなら助けてくれるが今日は静観していた。

もしかしてローラも嫉妬している?


キャサリンがアイテムボックスから剣を取り出して抜刀する。


「マスター今、お助けします」


「ちょ、(それ)それヤバイからしまって」

私はキャサリンを制止する。


「だってこの娘(マリー)は、剣でつついても死なないんですよ!」


「いや、死ぬレベルでつついたら駄目でしょう!」


マリーは保護魔法が得意なので、ある程度の物理攻撃は無効化できるのだ。


「酷いよね、エリスからもお説教してよ」

とマリーが言う。


「お説教されるのは貴女よ!」


マリーの腕をサブミッションでキメつつ、頭に足をひっかけ地面に顔面から叩きつける


「猛虎帝王完了!!」


地面にめり込んだマリーは、逆さまのままスカートが全開になり、お腹が見えるぐらいにめくれていた。


「やぁ、今日も日差しが眩しいね」

とアリエルが言う。


「まぶしいのはマリーの下半身よ」


いつもの日常のやり取りであった。




学校も終わり帰宅すると、どっと疲れが出て自分のベッドに倒れ込んだ。


リトの面倒を見るのも大変なのだ。


「うー、動きたくない……」


ベッドの上でうめいていると、部屋のドアが突然バンッと開いて


「お姉様あぁぁぁーーーーお加減でも悪いのですかーーーー」


ドアから妹のミリアが走ってきて、空中でひねりを加えながら、私の上に着地した。


妹の脅威的な身体能力に驚愕しつつも、私はダメージを受ける


「ゴフッ……大丈夫よ、ちょっと疲れただけだから……」


「疲れているのならマッサージなどいかがでしょう」

とミリアは手をワシャワシャしながらそう言う


(その手つきは一体何?)


「いえ結構よ、疲れと言っても精神的な疲れなのですから」


「そうでしたか……」

妹は何故か残念そうだった。


突然、開きっぱなしのドアからミミが小走りで入って来ると、空中で縦に回転しながら私の体の上に着地した。


「ゴフッ……」


一瞬意識が遠ざかったが、なんとか持ちこたえた。


「空中で縦に2回転するとか、体操の選手かっ!」


「ミミもご主人様(ミリア)に負けないぐらいくるくる回れるのニャ」


どうやらミリアに対抗心を燃やしたらしい、実に単純な娘なのだ。


ミミは私の胸の上にスカートでまたがっているので、私の顔の前にミミのパンツがあると言うセンセーショナルな視界だった。


エッチなイベントがあると、そう言えば私主人公だったなと思い出す。


「重いからどいて頂戴」

「レディに向かって重いとか失礼なのニャ」


「パンツ見せてレディを名乗っているのはどうなのよ」

「獣人は細かい事は気にしないニャ」


「人間は気にするの!」

「しょうがないニャあ」


ミミはベッドからそのまま空中にジャンプし、宙返りして着地した。


やはり獣人はふざけた身体能力である。


最初から最後までローアングルでセンセーショナルな視界だった。


ミミから解放されて軽くなった私はベッドの上で上半身を起こす。


「ミミはご主人様(ミリア)を迎えに来たのニャ」

「私はまだお姉様と全然お話足りないので……」


ミミはミリアをヒョイと持ち上げると、そのまま部屋の外へ走り去っていった。


「まだ話をおぉぉぉーーーーー」


妹の声がドップラー効果で遠ざかって行く。

素晴らしい加速だ。


静かな部屋でやっと一人で落ち着いた時間が過ごせる。


私は早速リリスを呼び出す。


「それで相談って何かしら」

「魔法やスキルについて相談なんだけど……」


魅了(チャーム)常時発動(パッシブ)スキルよ、サキュバスのセシリアがコントロールできているのに、私はコントロールできていないもの」


今の私は学園の人気投票で、ローラを上回ってトップに君臨しているのだ。


「当然ね、私やセシリアは数百年単位で生きているもの、去年力に目覚めた貴女とはキャリアが違うわ」


「なんとか制御できないかしら」

「あら、いい事じゃない、普通の女の子が望んでも手に入れられないものなのに」


「私はトラブルを回避したいだけよ、目立ちすぎると良くない事が起きる可能性があるわ」


去年タカポンを巡ってカーラとトラブルを起こした事がある。

いつまた同じ事が起きないとも限らない。


「何か方法はあるの?」

「あるわ、簡単に言うと呪いね」


「それは嫌だなー」

「でしょ? だから……あら?}


「何?」

「貴女、魅力を下げられてるわね」


「えっ? 呪われたの?」

「そうよ、たぶんカーラの呪術だと思うのだけど」


「いつの間に……」

「でも貴方のステータスの方が上回ってるわ、リミッターとしてちょうどいいわね」


「害が無いって事かしら」

「そうよ、しばらくこのままで居てもらおうかしら、魅了(チャーム)がコントロールできたら解除してあげるわ」


結論を言うと既に抑制されており、これ以上の抑制は無理との事だった。


カーラの呪術は結果的に私にはプラスに働いていた。


「あとは魔法についての相談ね」


「この一年で慣れたんじゃなかったのかしら」


以前は普通の人の30倍程度だったが、上限が更新されてしまったのだ。


そのためコントロールが難しく最初の頃は人前で魔法を使うのを避け続けていた。


「今の私はどの程度の魔力なの?」

「普通の人間の300倍程度と考えていいわ」


上限が10倍も増えている。


「リリスを()()()()()なのね」

「そうよ、魔族との契約と解釈されたの」


私のステータスアップの原因は1年前の最終選択肢のせいだった。


「今の貴女は魔法を詠唱無しで発動できるわ、魔族と同じ特性を持っているわね」


「私って人間じゃなくなった感じ?」

「普通の人間よ、能力だけが突出しただけ」


よかった、まだ私は人間らしい。

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