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防衛戦

「敵襲!!」


その知らせにより周囲が慌ただしくなる。


周りの兵士が各々武器を手に取り声の方へ向かって走り出した。


「私達も行きましょう!」


「了解しましたマスター」


キャサリンもアイテムボックスから武器を取り出すと帯剣し走り出した。


私は変身すると、私はエヴァをお姫様抱っこする。


「しっかりつかまってて」

「えっ!?」


軽く跳躍すると10メートルぐらい先に着地した、あまり本気で動くとエヴァが加速度に耐えられなくなるのでこれでも手加減している。


「しゃべると舌を噛むわよ」

「先に言いなさい」


およそ一歩10メートルの歩幅で走り抜け、あっと言う間に現場に到着する。


エヴァを降ろしてから、現状把握のため、私はQちゃんを召喚して上空に放った。


キャサリンもやや遅れてはいたもののすぐに到着した、加減して走ってたとは言え、私の走りについて来れるキャサリンも随分と人間離れしている。


「遅くなって申し訳ありません、マスター」


縮地の応用で圧縮した時間の中を走り抜けたのだ。


「魔力消費が激しいようね、ちょっと待ってて」


顔の前に手をかざすと、私の手の甲に隷属紋が浮かび上がった、私はそこに魔力を流し込む。


私とキャサリンは主従関係を結んでいて、こう言った魔力供給ができるのだ。


「感謝しますマスター」

「気にしないで」


Qちゃんの映像では地上を覆い尽くす程の相当な魔物の数がこちらに進軍していた。


前線を守る部隊は中央で3万人程度、左右にそれぞれ2万人程度の部隊の規模なのだが、敵は軽く10倍以上の数で攻めてきている。


左右の部隊にはファドセル、リーゼロッテ、ウェンディが配置されたのでたぶん大丈夫だろう。


エヴァは私とキャサリンを含め、広範囲にブロテクションを行使したが、人数が多すぎて全員をカバーしきれない、範囲外にも魔導士が居るのでプロテクションの行使が行われているが、数段劣るものになると思われる。


「皆さん下がってください、私が先制攻撃をかけます」


「神剣マルミアドワーズ起動!」


ビリビリと大気が振動して、刀身が発光し青白い光を放つ。


キャサリンが走り出して先頭に立ち、両手で剣を頭上に掲げた。


断罪者(ジャッジメント)解放(リリース)


(なんじ)、真の力を示せ! 神剣の裁きソードパニッシュメント


およそ群衆とも言える敵の集団に空間の裂け目が出来て、魔物が次々と飲み込まれて行く。


裂け目は徐々に広がっていき、最終的には前世の有名なドームスタジアムの倍ぐらいの広さを飲み込んで消滅した。


今の攻撃で十数万と言う数の魔物が呑み込まれたはずだ、だが、それでもまだ数の上では敵が優位に立っている。


「さすがキャサリンね」


その時、遠くの空が赤く染まった。


数分後、木々の葉を散らしながら衝撃波が駆け抜けていく。


「これはファドセルね、向こうでも始まったみたい」


今のはファドセルの高位爆裂魔法ハイエクスプロージョンだ、ここまで衝撃波が届くと言う事は相当な規模である。


「私もお仕事しなきゃね、思考加速、並列処理」


そう言って頭上に雷光神槍(ライトニングランス)を30本浮かべて射出した。


私とキャサリンがやるべき仕事は敵の数を減らす事。


敵は質より量で押して来ている、たとえ打ち漏らしたとしても迎撃可能な数まで敵を減らせば良いのだ。


キャサリンが先程攻撃した場所は地面ごと削り取られており、地形が変わっていると言えるレベルだった、足場が悪い上に高低差ができているため、敵の進軍のスピードが落ちていた。


それにより渋滞が引き起こされ敵が密集する、そこに再度キャサリンが攻撃を放つと更に多くの魔物が巻き込まれ、更に地面が掘削されると言う結果になった。


なんとなく前回キャサリンが断崖絶壁に立っていた理由がわかったかも知れない。


魔法は広範囲の攻撃に向いていて、大軍を制圧するのに適している。しかも私は30発同時に発射しているので、ほぼチートとも言える殲滅(せんめつ)速度だった。


キャサリンが1回攻撃する間に私が30回攻撃するようなものだ。


私達の活躍もあり、ここまでたどり着ける魔物はほとんど居ない。


「このペースならなんとかなりそうね」


圧倒的な戦力差に対して、なんとか均衡を保っている、このまま粘り勝ちと言う線も見えて来ていた。


「やっと見つけた!」


声のした方を見ると、前方にいつの間にか少年が立っていた、魔人のような魔力も感じられず、魔族の外見的特徴も無いので魔人と言うわけではなさそうだ。


見た目はまだ若く学生ならば私より下の学年だろう、黒い甲冑を身に纏い刀身の黒いロングソードを手にしている。


「あなたは誰? 魔人でもなさそうだし」

「人間の勇者ですよ」


「魔剣レーヴァテイン起動」


彼がそう言うと黒い刀身のロングソードがブラックライトのように光り出した。


「ホラ、魔族では起動術式は使えないでしょ」


そう言って彼はいたずらっぽく笑う。


「応援が来るなんて聞いてなかったから……」

「あはは、お姉さん勘違いしてる」


「えっ?」

「ボクは勇者だって言ったけど、魔王側の勇者さ」


彼はそう言うと縮地を使ってキャサリンに斬りかかっていた。

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