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マリーとエヴァ

とりあえずマリーに会いに避難所へ向かった、キョロキョロと周りを見渡しつつマリーを探す。


そこでエヴァが苦言を呈する。


「当てもなく無く探しまわっても見つかるはずが無いじゃない、まずは情報収集からでしょ」

「それがマリーはなんて言うか、いつの間にか後ろに居るって言うか、釣りで言うと私が餌って言うか」

「何言ってるかわけがわからないわ」


そんな会話をしている時だった、いきなり後ろから胸をワシ掴みにされた。


「かかった!」

「えっ?」


エヴァはまだ状況を把握できていない。


「マリーまだ避難してなかったの?」

「エリスと一緒に避難するために探していたのよ」


後ろを振り返るとそこにマリーが立っていた。

私はマリーを正面から抱きしめる。


「馬鹿ね心配させないで……」

「心配したのはこっちの方よ」


マリーもギュっと私を抱きしめる。

無理もない、マリーには私の能力は何ひとつわからないのだ。


「マリー、今日から避難所の一般市民が避難を開始するわ、マリーも一緒に避難しなさい」

「さっき言ったでしょう、エリスと一緒に避難するって、エリスが避難しないなら避難しないわ」


「わがまま言わないで、お願い」

「エリスも一緒に避難しようよ」


「私にはまだ…… やる事が残っているから……」


そう私はここを離れるわけにはいかない。


その時、エヴァが横から割り込んで来た。


「わからないの? 貴女は足手まといなのよ、力の無い者はエリスに負担をかけるだけ」

「エヴァ!」


私はエヴァを言葉と視線で(たしな)める。


「じゃあ勝負をしましょう」

「は?」


「私が貴女に勝ったら文句は無いわよね?」

「勝てるわけが無いじゃない、だって私は……」


と言いかけて黙り込む。


「私は何?」

「な……何でもないわよ、いいから、その勝負とやらに乗ってあげる」

「じゃあ決まりね」


なんか、なし崩し的にエヴァとマリーの対決が決まってしまった。


二人とも攻撃系のスキルも魔法も無いのでとりあえず大丈夫だろうと思うが、私が立会人と言う事で二人が対決する事になった。


街の開けた場所で対峙する二人。


「二人ともいい? 首に巻いたスカーフを相手に取られたら負けよ」

「「わかった」」」


「それでは、開始!」

私の合図で二人の対決始まったのだが…… 二人とも向かい合ったまま動かない。


どちらも防御が得意なので相手に攻め込ませてからのカウンターを狙っているのかも知れない。


お互いにそう思っているので動けないのだ、ジリジリと時間だけが過ぎていく。


「どうしたの? 私じゃ勝てないんでしょ?」

マリーがエヴァに向かって挑発する。


「自信があるならしかけて来なさい」

「エヴァも挑発し返す。


「じゃあお言葉に甘えて」

マリーはテクテクと何の注意も払わず、不用意にエヴァに近づく。


マリーがエヴァから一定の距離に達した時、エヴァは禁域クラウズーラをごく狭い範囲で発動し、マリーは禁域クラウズーラの中に閉じ込められてしまった。


「これが貴女の切り札なのね」

意外にもマリーは落ち着いている。


「降参したら出してあげるわ」


マリーはコンコンと禁域クラウズーラの境界をノックする。

「なるほどー」


マリーは目を閉じ禁域クラウズーラの境界に両手をあてて全神経を集中している。


「一体何を……」


エヴァがそう言った時、パリンと禁域クラウズーラの境界が割れた。


「え?」

「ふー、以外と手こずったわね」


禁域クラウズーラはマリーの手により完全に消滅してしまった。


「嘘……」

エヴァはポカンと、状況を把握できなままでいでいる。


「じゃあ私の番ね」

「えっ?」


マリーは、一瞬でエヴァの背後に回り込むと両手で胸をワシ掴みにする。


「はうっ」

エヴァがピクンと反応した。


マリーは両手をワシャワシャと動かす。


「う……く……そこはダメェ」


エヴァはペタンと地面に座り込んでしまい、マリーは余裕の態度で首からスカーフを抜き取る。


「そこまで、勝者マリー・カトラリ」


私はそこでマリーの勝利を宣言する。


「マリー、勝負はついたんだからもう胸を揉まなくても……」

「いや、これは趣味の領域と言うか、なんと言うか」


「いつまで胸を触ってるのよ!!」


エヴァはマリーの顔面に頭突きを入れるとそれがクリーンヒットした。


「痛たたた」


ようやくマリーを振りほどいたエヴァが私の元に駆け寄る。


「今のは納得行かないわ、もう一回」


だけど私は却下する。


「もう勝負はついたのよ、あきらめなさい」

「くっ」


私はマリーに尋ねる。

「マリーすごいわね、どうやってあの結界を破壊したの?」

「結界に結界を重ねたのよ」


「どう言う事?」

「内側からプロテクションで覆って、領域を拡張したの」


「領域を拡張?」

「あの娘の結界を取り込んだのよ、その瞬間私の結界と同化したから、私の意思でどうにでもできるようになったってわけ」


その話を聞いたエヴァは呆然としていた。


「そ…そんな私の結界が上書きされるなんて……」


エヴァは信じられないと言う表情でマリーの話を聞いている。


普通の人間なら無理だろうけど、マリーは聖女の力を取り込んでいる、エヴァも相手が悪かったとしか言いようがない。


こうして二人の争いは決着がついたのだった。

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