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マイラ

銀色の髪の毛に赤い目、それがマイラの今の外見である。


マイラは明らかに魔族の特徴を持っていた。


私は人前で変身を避けていたが、もうその理由も無くなったので私も同じように変身する。


(場所を変えましょう)


マイラの狙いは私だ、逃げれば追ってくるだろう。


私がシャンプすると行き止まりの壁を軽く超えて、街並みの屋根に着地する。


「逃がさない!」


思った通り、同じようにマイラが追いかけて来たので、このまま街の外まで誘導する。


街は混乱していた、次々と爆発があり都市の至る所で複数の魔人が暴れている。


マイラが魔人と手を組んで魔人を都市に招き入れたからだ。


クラウディアが聖域を使っているせいで被害が抑えられている方だが、逃げ惑う人々が邪魔になり騎士団が現場にたどりつけない等の混乱が生じている。


ギルベルトは魔人を見つけ次第対処しているのだが、混乱しているので何処に魔人が居るか情報が入ってこない。


私は走りながらQちゃんを召喚してワシ掴みにすると、Qちゃんを通信機代わりにして話しかける。


「リーゼロッテ聞こえる?」


「ご主人様、今どこですか?」


「そんな事より、各メンバーにQちゃんを1つずつ付けて、魔人の位置を連絡しなさい、勿論、ギルベルトも含めてね」


この状況を打開するには情報が必要だ、リーゼロッテにその役目を任せる事にした。


キャサリン、ウェンディ、ファドセルにギルベルトが個別に魔人を撃破した方が効率的だ、リーゼロッテが個別に撃破するより早い。


「了解しましたぁ」


これで都市の魔人は皆に任せる事ができた。


(問題は私を追ってくる()()よね)


私は1回の跳躍で30メートル離れた建物の屋根に着地すると再び跳躍した、私に離れずに追尾してくると言う事は身体能力は互角と見て良いだろう。


私は都市の外壁を乗り越えて走り出す。


私の走破能力から考えると外壁から5キロメートルぐらいの地点だろう。


「もう逃げられないわよ」


マイラに追いつかれた、いやここでマイラを待っていたのだ。


「マイラ、貴女、その姿は何なの?」

「貴女に人の事が言える?」


確かに2人共外見は似たようなものだったが、マイラの変身は私と決定的に違うと感じていた。


「貴女、人間をやめたのね」

「そうよ、聖女の資格を失うまでは人間だったわ」


マイラは人間が変身したのでは無い、魔人が人間を装っていたと言う方が正しい。


「どうして……」

「貴女に復讐するために悪魔に魂を売ったわ」


聖女選定の日までは人間だったと言うマイラの言葉は信じられる、魔人だったらもっと早く私が気付いているはずだ。


「貴女に何があったの?」

「何度も言わせないで、貴女のせいよ」


私がマイラに何をしたと言うのだろうか、正直、心当たりが全く無い。


「もういいわ、お喋りはここまでにしましょう、やっと私の願いが叶うのよ……」


そう言ってマイラが構える


「そう、やっと貴女(エリス)を殺せるわ!」


マイラがとてつも無いスピードで踏み込んできてた、縮地に匹敵するレベルである。


私はカウンターを放つ、新人魔人よりは戦闘経験ではこちらが上のはずだ。


私の蹴りがマイラの腹部に深く突き刺さった。


「効かないわ」


マイラはその足を両手で掴むと私を体ごと持ち上げて地面に叩きつけた。


「ぐっ」


地面が抉れて砂塵が舞う。


「無駄よ貴女のような落ちこぼれと違って、私がプロテクションを使える事を忘れているのかしら」


とマイラは勝ち誇ったように言った。


正直、神聖魔法が使える魔人などチートもいい所だ、倒し方の見当もつかない。


私はヨロヨロと立ち上がる。


今度は私から仕掛けた、マイラの間合いに踏み込み、手に持った雷光神槍(ライトニングランス)で首を狙って薙ぎ払う。


キンと言う音と共にマイラの首でピタリと停止した。


「無駄だって言ってるでしょう」


私は腹に蹴りを食らって弾丸のように吹き飛んだ。


私は再びヨロヨロと立ち上がる。


「観念しなさい」


私はアイテムボックスから、短剣を取り出す。


「そんなものが私に通用すると思うの?」


私はマイラの言葉を無視して自分の服を切り裂いた。


「気でも狂ったのかしら」


聖女が着る清楚なロングスカートを切り裂いてほぼミニスカートのような長さに調節し、上着もヘソ出しルック程度に程度には切り裂いた。


「この服は行儀が良すぎて私には合わないわ」


「それが貴女の死に装束(しょうぞく)ってわけね、そろそろ死んでもらおうかしら」


マイラが再びとんでもないスピードで踏み込んできた。


しかし私はマイラの拳を手の平でピタリと止めていた。


「そんな馬鹿な!!」

とマイラが驚愕している。


「私ってエッチな恰好をするとステータスが上がるみたいなのよね」


「はぁ? 何を馬鹿な事を……」


今度はマイラが弾丸のように吹き飛ぶ、地面を抉ってなんとか止まったようだ。


実はこの恰好、魅力以外のステータスも上昇するのだ、最近気付いてビックリしたけどね。


でも悪役と言う事で清楚な恰好はマイナス補正がかかるらしい。


「無駄よ、ブロテクションの使える私にダメージは無いわ、貴女は私に勝てないのよ」


そう言ってマイラが立ち上がった時、既に私は間合いに居た。


私は片手でマイラの首を掴むとマイラを持ち上げた、マイラの体が宙に浮く。


「私ね、学校の壁に穴を開けて怒られた事があるのよ」


マイラが必死に逃れようともがいているが、私の握力に勝てず、脱出できないでいる。


「その学校の壁ってね、プロテクションがかかっていたのよ」


マイラは耳を疑った、プロテクションがかかっている建物を破壊したとエリスが言ったからだ。


「エクス……」


エリスの片手に魔力が集中する。


「やめ……」


マイラは必死にもがく


「カリバー!」


空に向かって光の筋が立ち上った、上空の雲を消し飛ばして突き抜ける。


ドサっと首の無い死体が地面に落ちた。

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