表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/32

Md06:過去と想い出こそ、今生きるすべて(前)

[医務室 / 広瀬賢 & ユメコ]



ユメコ:

 会議室側の話を聞く限り。赤城さんと広瀬さんの関係が、ポイントになりそうね。なら。

「広瀬さん、あなたは赤城さんのことを、いつから、どの程度知ってる?」


GM/広瀬賢:

「最初に会ったのは、今の病院に入ってからのはずです。それ以前はまるで」


ユメコ:

 (ころころ)本当なのね。

 でもそれはおかしいわ。赤城さんが、写真や伝聞であそこまで入れ込んだことになっちゃう。


「あなたから見て、赤城さんはどんな風に接していたかしら? 戸籍上は親戚関係と聞いているし、同僚としてしばらく働いてたんでしょう?」


GM/広瀬賢:

「待ってください、僕と赤城さんが、親戚関係? アムリタ社員や幹部の方ではなく、親戚?」

 と聞き返します。


ユメコ:

「書類上はそうなってるわ。会ったこともあるかもしれない。彼女はあなたより年上だから、彼女だけ覚えていることもあるかも」


GM/広瀬賢:

「うちは直系の兄弟しかいないはずです、それに、普段は普通の先輩後輩としてしか接してません。確かに、やたらと可愛がってはもらいましたが……そこまで気にされるほどの事は……」


ユメコ:

 言いづらいけど……。

「今の暮らしぶりを詳しく聞かれたとか、援助を口に出されたとか、ないのかしら?」


GM/広瀬賢:

「……。彼女がお酒を飲まれた時に、援助を言われたことがありましたが。断りましたね。そもそもそこまでしてもらう義理がないですし」


ユメコ:

 (ころころ)これも本当……らしいけど。


GM/広瀬賢:

「あとは、同じくお酒の席の冗談で『養ってあげる』とかいわれたことはありましたが」


ユメコ:

 カッチン。

「いーじゃない、『ぜひお願いします』って答えちゃえば。渡りに船でしょ。案外本気かもしれないし?」


エリル:

 やっぱり、めちゃくちゃ気にしてるじゃないですかー!


GM/広瀬賢:

「さすがに、そんな冗談は受けられませんよ。それに、二、三年程しか付き合いは無いですし」


ユメコ:

「そ、そうよねそーよね。酔った年上の美人に『養ってあげようか』って言われて、コロっといっちゃう人じゃない、もんね。うん」


「……ほんとは、プライベートだから聞きたくないけど。そうまでして、父親には頼れないの? そんなに溝が深い?」


GM/広瀬賢:

「祖父が、とある子供を引き取った事があるんです」

 彼はポツリと語りだす。


「正直、顔も、一緒に何をしたかも覚えてませんが。その子とは数週間ほど、一緒に暮らしていたことがあります」


「けれど、あの人は……父は、その子の何かを見て強化人間系の薬を思いつきました」


「祖父は、父からその子を守るために隠しました。それ以降、どうなったのかは僕にも教えてくれませんでした」


ユメコ:

 かなり大事な話が出たわね。とっかかりになるかも、と思いつつ。

「お父さんに頼ってはいけないと思った理由は、それで全部?」


GM/広瀬賢:

「他にもあります。あの人が社長になったとたんに、不明瞭な薬が増えたんです」


「明らかに、一部の個人……リンケージや強化人間に向けた調整が行われた薬などが、急激に増えました」

 そう嫌悪感をあらわにする。


「もう、祖父の頃のアムリタではなくなってしまいました。だから、家を出たんです」


ユメコ:

「なるほど……さて」

 会議室側の会話を聞きつつ。


「あなたは、赤城さんと会ったのは最近って言ったけど。赤城さんはしっかり面識があるみたいよ。子供の頃から、あなたを大事にしてた」


「ここまでの話だと、該当しそうな人は一人しかいないわ」



[つづく]

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ