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クッ…

眠気を堪えながら座っていると階段からカツカツと音が聞こえてくる、視線を向けるとそちらからイグシが歩いてくるのが見えた


「お疲れさん、レベルは…おぉ、5まで上がったのか!上々じゃないか!と言いたいが…これはこれで厄介だな」

「え?どうしてですか?」


俺のステータスを見たのか驚いたような表情で声を上げるが、それはすぐに気難しそうな表情へと変化する


「魔法を使うには魔力だけじゃなくて知能と記憶力も必要だからな。特に知能、こいつが重要でな、こいつが低いとろくな魔法を使うことが出来ねぇんだ。例外もあるけどな」

「はぁ、それはわかりますがどう…あっ!」

「気づいたか、レベルが上がると必要な経験値が増える、つまりレベルが上がりにくくなる、つまり勉強時間が増えるという事だ」


流石に俺でも気づいた、知能と記憶力を上げるには当然勉強だ。勉強か……大多数の例に漏れず俺も勉強は嫌いだ、学校の成績もさしていいものでも無かったしな


「ま、安心しな!この世界の本と魔導言語を学んでいればそれだけでレベル2ぐらい上がるだろ!」


とてもいい笑顔で言ってくれるが魔導言語?それはこの世界の文字なのか?未知の言語を学ぶというのは相当に労力のいる事だ、果たしてどれだけ時間がかかるのか…


「わかりました、それじゃあ一先ず出ましょうか。」

「おう、宿は取ってあるぞ」


イグシはそう答えると外に向けて歩き出した、俺もそれに続き外に出た


ーーーーーーーーーー


外に出るとすっかり日が暮れて夕陽が影を引き伸ばしていた。まるで何日も閉じ込められてたように外の空気が気持ちいい、思わず身体を伸ばし大きく深呼吸するとイグシから声がかけられた


「とりあえず行くか!そこでこれからの事を伝えるからな」

「はい、わかりました」


イグシについて行きギルドを出て街を歩く。ギルド入り口付近には冒険者らしき人達が行き交っていた、汚れた鎧や武器を持った人、大きな獣を背負った人、残念そうに肩を落として歩く人、生活感が溢れるその様はこれが現実なのだと改めてまざまざと実感させる。

そしてギルドから出てすぐにそこに着いた、そこは看板も何もない大きな石造りの屋敷だった、外観はさほど豪華では無く機能を優先させたような見た目で扉は重厚な金属で作られていた。その様子は周囲の建物とは一風変わった雰囲気でどこか浮いているように見えた


「ここが宿屋…ですか?」


思わず問いかけてしまう、宿屋の看板がない上あからさまに頑丈そう、その上窓が少なくどこか牢獄を連想させた為である


「宿屋、と言うか俺の家だな。今日はここで休んでくれ」


どこか自慢げに笑みを浮かべてイグシが答える、イグシの自宅か………どこかまとわりつくような不安を感じながら俺は家に入った


家に入ると中も外と同じように装飾の少ない廊下が伸びていた。天井に光球が浮かんでいて光源となっていて左右に2つずつの扉、そして正面にも扉がありイグシは左手前の扉を開いていた


「ここがお前の寝る部屋だ!この部屋の向かいが風呂とトイレで正面のがリビングになってるんだ」


俺の泊まる部屋というのを見るとそこは大きいベッドに机、そして本棚があるだけの部屋だった。


「まずはさっさと風呂に入っちまいな、今日はいろいろあって疲れただろ。風呂がある家ってのはなかなかないんだぞ?」

「わかりました、お言葉に甘えさせてもらいますね」


イグシの言葉に軽くお辞儀して右手前の扉を開く。目の前にすぐトイレ、左に銭湯のような棚、右に再び扉があった、とりあえずさっさと服を脱いで棚に入れ風呂の扉を開いた。

中はタイル張りでなかなか広くほとんど日本の風呂と変わらない様子だった、湯船は既に湯で満たされていて、シャワーが付いている。金属のような質感だがとても軽い素材で出来ている、蛇口をひねるとお湯が出てここまで来ると呆れてしまう程である

取り敢えず身体をシャワーで流すとその瞬間に風呂の扉が開いた、思わず振り向くとイグシが裸で立っていた


「やり方わからないだろうと思ってな、背中流してやるよ」

「え、あ、うん?」


頭が状況を認識してる間にイグシは植物の茎を束ねたたわしのようなものを取り俺の背中を擦り始めた、その手つきはやけに手馴れていて気持ちが良い


「手馴れてるみたいですね、すごく…気持ちいいです…」

「隅々までちゃんと洗わんとな、背中だけじゃなく腕とか脚もちゃんとな」

「い、いいですよ!充分です!あとは自分でやりますよ」


イグシの言葉に慌ててイグシの持つたわしを取り身体を洗い始める、何かまずい予感が頭をよぎった、ただの杞憂で終われば良いのだが…イグシが少し残念そうな顔をしたように見えたのは気のせいだ


ーーーーーーーーーー


身体を洗い早々に風呂を上がる、イグシもせっかく貯めた湯船に入ることもないままついて来たが深い意味はないはずだ

タオルで身体を拭き用意してあった替えの服を着るとなぜかサイズがピッタリだった


「着替えたならリビングに行くぞ、食事の準備だ。冒険者になるなら料理の1つぐらい覚えた方が便利だぞ」

「わかりました。」


サイズの事を聞くことは出来なかった

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