さん?
「俺の身体を…変化させる?それって記憶がなくなったりーとか変な呪いにかかったりーなんてことはないんだよね?」
彼女の言葉に確認するように問いかける
「もちろん♪高所に行く時ってそれなりに高いところでしばらく滞在して身体を高所に慣らしたりするでしょ?あれみたいなものだよ♪それで君の身体を変化させるに当たって一つ、君に権利をあげるよ♪」
彼女は笑みを崩さないまま話し続け、そしてどこか試すような口調で意味深に口の端を吊り上げる
「君には他種族に転生する権利をあげる♪もちろん記憶や思考はそのままにね♪よくあるバンパイアや獣人系の亜人はもちろんスケルトンやゾンビなんかのアンデッド、スライムとかドラゴンみたいな魔物にだってしてあげられるんだから♪」
「転生…少し考えさせてくれないか?」
「いいけど説明は続けるね♪あまり時間ばかり使ってもしょうがないからね♪」
そう言う彼女を尻目に考える、多種族への転生は非常に魅力的だ。普通に考えれば人間より吸血鬼や狼男なんかの魔物系の方が強いに決まっている、さらに寿命の点でもそちらが優れ異世界を生きるならば転生したいものだ。しかしそちらを選べば人と関わる上で大変な枷を負うことになるだろう。それに彼女は「物語を楽しみたい」という旨を言っていた、どうするか…
「…と言うことだけどそれでいいかな?」
「あ、うん?」
「それじゃあ決まりだね♪それで転生に関することは決まった?」
しまった、思わず返事をしてしまったが全く話を聞いていなかった、一体なんの話だったのだろうか。
聞き返そうにも彼女の笑顔の前で非常に聞き返しにくい、笑顔が本当に武器になるのだと知った瞬間だった
「えっと、人間のままでお願いします」
「それでいいんだね♪ところでどうして敬語なの?」
「あー、その…なんでもない」
話を聞いてなかったというわずかな心苦しさから思わず敬語になってしまった、彼女はわずかに訝しむような視線を向けているがすぐに切り替えるように笑顔に戻る
「次に向こうでのお金のことだけど、向こうでは主に6種類の硬貨が使われていてどこの国でも共通して使えるんだよ♪」
そう言うと彼女の目の前に2列に並べられた6枚の硬貨が現れる
「君から見て一番左上にある硬貨、これが銅貨で一番安い金額、そして下のは大銅貨で銅貨10枚分の価値があるよ♪
そして真ん中の上は銀貨、銅貨1000枚分、つまり大銅貨100枚分の価値があってわかると思うけど下の大銀貨は銀貨10枚分の価値があるよ♪
そして右上のが金貨、銀貨1000枚分で下のが金貨10枚分の価値の大金貨だね♪
他にも金貨1000枚分の白金貨や白金貨1000枚分のミスリルコインなんてものもあるけどあまり見るものじゃないし気にしなくていいよ♪」
「なるほど、それで俺は無一文で向こうに連れてかれるのか?」
彼女の説明が終わると共に問いかける、金銭面の問題は初期によく抱える問題だ、きちんと聞いて置かねばなるまい
「君には銀貨1枚をプレゼントしてあげるよ♪あまりあげすぎてもあれだけど少なすぎてすぐに終わってしまうのはもっとつまらないからね♪」
彼女は笑顔で言うがその終わりとは文字通り全ての終わりなのだろう。この命がすぐになくなったしまう、そんな世界にこれから行くのだと考えるとわずかに恐怖はあるが異世界での冒険、これに燃えない人などいないだろう
そんな決意を胸に思い描いてる中彼女は構わず話し、そして旅立ちの宣言をする
「それじゃあ後は身なりを整えるだけだね♪一般冒険者スタイルにチェンジ♪」
彼女が言葉と共に指を鳴らすを俺の服にわずかに粒子が出たかと思うと布製っぽい肌着に動きやすい素材の長ズボン、少し固いボタンで留めるタイプの長袖の上着、そして首元でボタンを留められた腰元まである厚めのマントの服装へと変化する
腰元には少し大振りのナイフが鞘とともに帯刀されていた
「それじゃあ素敵な冒険の世界へ!いざ行ってらっしゃ〜い♪」
突然の服装の変化に戸惑う間に彼女の言葉が大仰に両手を広げよく通る声で言うと部屋中に光の粒子が舞いどんどん眩しくなっていき思わず目を閉じてしまった、そして後には微かな紅茶の香りだけが残った
名前/井坂修 Lv/1
生命力/6 筋力/5 技術/7
体力/6 防御力/3 知能/5
記憶力/6 魔力/2 ??/0
スキル/鑑定
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メモ
ステータスの平均は5
レベルアップまでに積んだ経験値の所得方法により上昇ステータスは変化する
元の世界に魔力はほぼ存在してなかったため本来魔力は持ってなかったが身体の変化に伴い少し上昇した
レベルアップは成長のきっかけと言うだけでそれ以外でもステータスは上昇する