呼ばれたからしょうがない
「くぁ…ん、はぁ…」
ベッドの上であくびをしてから思わずため息を吐く、眠い。
今日もまた学校に行かなくてはならない、どうにも同じ事ばかりで退屈だ、そんな事を思いながらスマホを開いて時間を見る、7:02の表示、いつも通りの朝だ。
某パズルゲームのアプリを開きダンジョンに潜り込んでスタミナを消費しつつ立ち上がる、とりあえず寝てる間にMAXになったアプリのスタミナを消化しながら部屋から出たその時、
「へ?」
廊下に出たはずなのにその足は床に着く事なく俺は落下した。
「うぁぁっ!ちょっ……これ、なに?」
思わず声を出しパニックになりかける、だがすぐに正気に戻る、日頃からアニメやライトノベルはよく読むたちだがこういう展開はよく見る、まさかと思うが…
「異世界転移?俺が?てかいつまで落ちてるんだこれ、てかそもそも落ちてるのか?」
確かにライトノベルのように異世界に転移して剣と魔法で勇ましく戦ったりヒロイン達とキャッキャウフフな展開になりたいとは思っていた、だがこんな唐突に…いや、むしろ唐突じゃない異世界転移などないだろう。
周囲を見回してもひたすら黒ばかりでなにもない、地に足は付かないが浮遊感は特になく落下してるのか空中に停滞してるのかよくわからない状況だ。一体なにをどうすればいいのだろうか。
「とりあえず…スマホ使うか」
ライトで周囲を照らして見る、何の変化もない、ただ黒い空間が広がっている
…本当になにもない、どうしろと言うのだろうか、歩こうにも地面はない、辺りを見てもなにもなく物音一つ立っていない、風の流れがあるわけでもなく何の香りもない快適な温度の空間、一体なんだと言うのだろうか
「もしかして…失敗ってやつなのか?仮に異世界転移しても主人公とは限らないし…むしろモブが異世界に連れられて殺される展開だって多々ある、これはそう言うパターンなのか⁉︎」
そう考えると急に焦りが生まれてくる、上を見ても自分の家の痕跡はなに一つなくやはり黒い空間が広がっている、なにをしようにもなにもない、そう思った時、スマホの着信音が鳴り響いた
「…電話?誰からだ?」
連絡主を確認しても見覚えない、と言うかデタラメな記号が並んでいる、とりあえず出て見ることにする
「もーしもーし、聞こえてる?あーあー、マイク感度は多分おーけーかな♪」
聞こえてきたのは少女のような声だ、甘やかで頭の中に染み込んでくるような妖しい声音
「えっと、聞こえてるけど、あなたは誰ですか?」
タメで話そうとするがいつもの癖が出て半端な感じになってしまった、いつも通りが一番だな
「ん?僕?僕のことはマスターとでも呼んでよ♪とりあえず井坂修君、君を呼んだ理由はいくつかあるけど立ち話もなんだしここにおいでよ♪」
そしてそのセリフが終わると同時に電池が切れ、そして視界に急激に光が差し込んで来て思わず目を瞑ってしまった