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第十三話 二山視点
Niyama’s side
扉を叩く音が止んだ。
鈴木先生は扉の前を去ったのだろう。と言ってもいま野宮を追いかけるわけにはいかんが。
「ちッ!……さすがはあの人の孫ってことか……」
小声で呟く。
自分の勝ちを確信していやらしく微笑む。
あの人の顔、そっくりだ。
「あ、あの……。野宮がいないことだし、説教はまた今度……」
そういやまだこいつが居たんだったな。
「ああ、また今度な」
ほっ、と安堵の表情を浮かべる坂本。
「野宮の説教、は」
その表情が固まった。
「の、野宮ァァァァァァァァァァァァァァ!!」
そう。今、俺にできるのは説教だけだ。