▶ 告白
「翼くんって何か怖いよね」
「そうそう。オーラ‥とかさ」
「でも超ーイケメンだよねっ」
数人の女子が喋る中、目線の先には無表情だが顔の整ったイケメンが一人。
彼が誰かと一緒にいたり笑ってるとこなんか見たことない
───少なくとも学校では
『つーばさ』
放課後彼に話しかけると
「よ。さくら」
静かに微笑んで返事を返してくれる翼。
みんなが知らないだけで翼は優しいんだよ?全然怖くなんてない
あたしたちが幼馴染みだから‥っていうのも確かにあるけど、翼は昔から優しかった
誰にでも。
あたしはそんな翼が
────────大好き。
◇◇◇◇◇
「さくらー帰ろー」
後ろから走ってきたのはあたしの一番の友達。結衣
『うんっ』
「あり?翼くんはいいの?」
結衣は帰ってく翼の背中とあたしを交互に見ながら聞いてきた
『ん?別に一緒に帰ったりしてるわけじゃないし?』
「ふーん‥。」
少し考え込んだ素振りを見せると「そういえばさ!」と振り返った
「うち初めて翼くんの笑うとことか見たよー!」
『え、そうなの!?』
「だって学校で笑ったときないしさー。やっぱ幼馴染みは違うのねぇ~」
『そんなんじゃないってー』
そこから話が盛り上って無我夢中で話し合いながら帰った
◇◇◇◇◇
───結局…結衣とは夜の九時過ぎまで語り合った。内容はもちろん、翼一色。
前々から結衣はあたしと翼をくっつけよう作戦を密かに狙っていたみたいで、どこからこんな話になってしまったのか…告白は明日の放課後になった
今日相談したばっかなのに明日とか急すぎじゃない‥?
っては思ったものの強引に決められちゃって、絶対告白するって約束までさせられちゃったから もう後には引けない──…
『はぁ…』
明日学校行きたくないなぁ…
◇◇◇◇◇
結局、なんて告白したらいいのか 振られた場合の対処法?とか色々考え込んで全く寝れなかったまま朝を迎えてしまった
授業なんて全く耳に入らなかったし何よりいつも以上に翼を意識しすぎちゃって初めて自分がきもいと思った
そして 迎えた放課後
──ついに
ついについに来てしまった
「んじゃ!明日いい結果期待してるからねーん!」
なんて言ってあたしの肩にポンと手を置くと結衣はさっさと帰ってしまった
「‥さくら?どしたんだ」
『つ、つばさっ?!』
気が付けば、あたしが呼び出した場所に翼がきていた
『あ、あの‥あのあのの、さ…』
どどどどどうしよう
不意をつかれた。まだ全然心の準備もできてないのにもう目の前には翼が来ちゃってるし…やばい。あたしパニック状態
心臓が破裂しそう
熱い。震えが止まらない
死んじゃいそう‥‥
意を決し、翼に向かった大きく口を開いた
『あ、あたし翼のこと‥っ‥‥───ぇ‥?』
突然目の前が真っ暗になった
同時に体に感じるぬくもり
『‥つば』
「さくら」
背中に回された手に力が込められすぐ耳元で呼ばれた名前
「俺、さくらが好きなんだ」
「俺と…付き合って。」
◇◇◇◇◇
まだ顔面が熱い‥。
結衣になんて言おうかな…
実は両想いでした!なんて‥。
でもあたし、翼と付き合えたんだ
大好きな翼と。
『…ふふふっ♪』
明日から翼との幸せな毎日が送れるんだ