キャラは小道具が使える
■小道具を中心にキャラを表現します
◆5.1
テレビの画面が切り替わる。
コメディ番組を探してコリンナはリモコンを連打した。料理番組ばかりで、めぼしい番組が見つからない。ソファーの上は退屈だった。
「あんた宿題はやったのー?」
台所で夕食を作っているコリンナの母が、娘に声をかけた。卵の焼ける匂いがリビングまで行き渡る。
「んえぇ?」
コリンナの頭の中は面白い番組を探す事でいっぱいだった。母に何を聞かれたのか全然分かっていない。
「宿題はー?」
「ママ、今日何曜日だっけ」
「明日学校あるでしょー」
母が大声で答えると、ソファーに座ったコリンナが頬を膨らませた。学校の話をしてるんじゃない。番組表が知りたいのである。宿題はまだ手を付けていない。
「何曜日?」
「ご飯食べたら宿題するのよー」
そんなのは後でするに決まっている。
コリンナは口を尖らせ、母に向けてリモコンを連打するのだった。
■
●
娯楽系の小道具のテレビとソファーはコリンナが使ってます
対してママのいる台所は仕事系
コリンナはだらけて、ママが家事をする対比を作りました
メインはリモコン
コリンナが機嫌を損ねている心情をリモコンで表現しました
セリフでもできる表現を小道具にしたのがミソ
◆5.2
ジムの木刀が、庭園の空気を裂いた。
八相の構えから捻るような横なぎ。
涼しい顔をして、マスターが半歩退き一閃を躱す。
「ジムよ、一つ言わせて欲しい」
野太い声で、マスターが木刀をジムに向けた。
「俺は全力を出してる。どの辺に文句があるのか分からない」
再び八相に構える。ジムの呼吸は明らかに乱れていた。額を伝う汗に早朝の光が映る。
マスターは庭園の土に添えるようにして悠然と立っていた。
「そう、それだ。ぎこちない」
「力は込めてる」
「粗いさの話をしている。量は明快だ。それ故に目が曇る」
ジムは堪えるように唇を噛んだ。木刀を握り締める音がした。
「……鍛錬は怠ってない。マスターなら、それくらい分かるはずだ」
「そうだな。よく知っている」
次の動作でマスターが切り込んでくるのは間違いない。
だというのに、ジムはその一閃を黙って見送っていた。
師匠の八相の構えは、庭園の石が漠然とあるように自然。
足捌きは軽やかに、踏み込みは地面が抉れるほどに。
気づけば衝撃が迸り、ジムの木刀が二つに裂かれていた。
■
●小道具は木刀、土、汗…
これを素手にしたら木刀破壊は書けません
ジムが木刀を握り締めて悔しさや劣等感を表現しました
舞台が庭なので、土を動かす表現ができます
これを使ってマスターの足捌きの表現を強調したりしました
木とか石の床だと難しい
■まとめ
・舞台や小道具を使うと、動作、心情、人間関係を描写できる