カメラワーク、対比
■前回の復習
◆1.3
潮風に砂浜の粒が飛ばされていく。
夜の波は黒い泡を立て、流木を運んだ。
水平線の彼方で、汽笛が鳴る。■
●次のようにズームアウトしました
カメラ:砂浜 → 流木(海) → 水平線
■人物を書く
舞台と人物でカメラワークを意識します
◆2.1
ジムは身震いしていた。
筋肉の鎧に包まれた獣が、こっちを見ている。
変色した牙と爪。
肉体が凶器なのは明らかだ。
自分の握ったナイフは、ただのガラクタでしかない。
■
●順番:獣 → 爪牙 → ナイフ
次のシーンは、ナイフで戦う流れ
これでジムが冷静にロケットランチャーを発射したらギャグ
「対比」を重点的に使いました
比べると意味を生じます
・爪と牙
・ナイフ(ガラクタ)
それぞれ「獣とジム」に対応
キャラ同士の関係も表しています
◆2.2
リリアンは横目で隣を眺めていた。
黒板の文字は丸い文字で全てノートに写している。赤ペンも使った。手汗でノートが柔らかくなっている。
チョークが黒板を叩く音に紛れて、リリアンは寝息を聞いた。
先生の話は理解できても、隣のトムが教科書によだれを垂らしているのは理解できない。
■
●カメラ:リリアンの目 → ノート → トム
カメラを引き、最初のフラグを回収
写すものを絞るからこそできる技です
「授業を聞いているリリアンと寝ているトム」が対比になってます
◆2.3
昼休みのチャイムと同時。
トムが椅子を後方に解き放ちながら、完全なるスタートダッシュを決めた。他の生徒も走り始めるが、フライングには敵わない。廊下ではトムが先頭を駆け抜けていた。
リリアンは席から離れることも無く溜め息をついた。隣の席の椅子は解き放たれたままである。今のうちにと、カバンから弁当箱を取り出すのだった。
■
●
カメラ:トム→教室全体(他の生徒)
カメラを遠ざけながら、トムと他の生徒を対比
カメラ:リリアン → 弁当箱
カメラを近づけ、トムとリリアンの対比
ご飯を食べる流れを作りました
■まとめ
・カメラワークは場面に意味やフラグを生む
今回は「狙ったもの以外は写さない」という特徴を使って、物語の惹きやフラグを作りました
・全然違うものを組み合わせて、意味を持たせる
対比によって人物関係や性格を強調できます
かけ離れた性格ほど強調し合います