変化した日常
俺の名前は恋川なつき、中の上位の工業高校に通っている普通の高校一年生だ。女っぽい名前だが女ではない、俺は男だ。
俺はいつも通り朝起きて、学校に行く準備をし、自転車に乗って30分掛かるところにある高校へ向かう。学校に着くと仲の良い友達3人と会話してHRが始まるまで時間を潰す。教師がきて、HRが始まり、それが終わると10分の休憩を入れて授業が始まる。午前中に行われる4限目まで終わると昼休みになり仲のいい友だちと会話をしながら弁当を食べる。その後昼休みが終わると5限と6限がありそれも終わり、掃除をした後HRをして、再び自転車に乗って家に帰る。家に帰りつくと、まず手洗いうがいをし、冷蔵庫をあさりネトゲをする。途中晩ご飯や風呂などを挟みながらネトゲを2時までする。
これが俺の一日の流れだ。
俺の親は自営業をしており家の一階が居酒屋になっている。親は基本的に放任主義なので俺の生活態度については何も言わない。晩ご飯などは自分で作ったり、コンビニで弁当を買ったりがほとんどだ。
最近は父親と母親の仲が悪くなり、母親は父親の自営業を手伝うのをやめ、パートの仕事を始めた。
年が明け、一年の最後の学期、三学期が始まり、これの結果によって進級出来るかどうかが決まると言っても過言ではない、学年末考査の三日前のことだ。
朝目が覚め、ベットから降りようとすると髪が後ろに引っ張られるような感じがした。
「いたっ!」
声が出る程度には痛かった。
俺はベッドから降り、寝間着を脱ぎ制服に着替えようとした。
「………ぬ?」
寝間着を脱ぐ時、何かが引っかかったような感じがし、とても脱ぎにくかった。上を脱いだあと、下も脱ごうと下に目をやると。
「ん………?」
俺は見間違いではないのかと、目を擦り、もう一度自分の身体を見てみる。
「ん……、は? な、なにこれ!?」
自分の体には、女性特有の山が2つ付いていた。大きさはBぐらいだと思う。うん。
なぜ女性特有の物が男の俺にあるということだ。
男の俺にこんなものがあるはずがない。手術などをすれば別だろうが、俺はそんな手術をする覚えもないし、使用とも思わない。それに寝ている間にこうなっていたんだ。そんなはずはないだろう。
一応、一応確認のために、男性特有の物がある場所へ手を伸ばす。
だが、手を伸ばしたところには男性特有の物はなく、その場所も女性特有の物になっていた。
ど、どどどどうしよ…俺女になってるみたい。
最初は、現状確認…は終わったから、次は原因追求だ。
昨日は確かいつも通りにネトゲを2時位までして寝たはずだ。その時はまだ男だった。となると、俺は寝ている間に何かが起きたということか。
原因不明です。はい。
ふぅー、なんか驚きの次元が違いすぎて落ち着いてしまうね。
―――ぐぅ~
不意に俺の腹が鳴った。
この事については食べてからでもいいか。
俺はそう思い、制服に着替え、リビングへ向かった。
だが、その時俺は気づいていなかった。この姿を親が見たらどうなるかを。
「はよ~」
俺が出した声は以前の俺と違い、高い声だった。しかも結構俺好み。
「なつき、おはよ……!?」
「お兄ちゃん、おはよ……って誰ですか?」
最初に挨拶してきたのが俺の母親、恋川かずは。37歳、だが見た目はなぜか20代に見えるという不思議な母親。次に挨拶してきたのが俺の妹の恋川千秋。13歳、中学二年生。誕生日は3月22日。兄の俺が言うのも変だがものすごく可愛い。兄妹でなければ惚れてしまう位可愛い。その上性格も良い。
そんな妹、千秋が俺の姿を見て聞いてきた。
あれ、確かに身体は女になってるが、顔まで変わってるのか?
「え、えっと俺だけど?」
「俺って言われても……ね、千秋はこの人誰だか知ってる?もしかしたらなつきが連れ込んだのかもしれないけど、もしそうじゃないなら警察に電話で「も…もしかして、お兄ちゃん!?」え?」
かずはよ、俺は親や妹がいる時に連れ込んだりしないぞ。それに俺は誰とも付き合っていないというか、モテない。
千秋はなぜ俺だと分かったんだ?
「あぁ、俺は千秋の兄のなつきだ。朝起きたらこうなってたんだが、なんか知らない?」
俺を兄と分かってくれた千秋に感動しつつ、俺は余り期待はしてないものの、こうなったことについて何か知らないか聞いてみた。
俺がなつきであると言うと、かずはと千秋は驚き、千秋はすぐいつもの表情に戻り、答えた。
「もしかしたらですが……、この前ネットで現実では有り得ない事が起きたらお払いしてもらえ、そんな時は大抵何かが取り憑いているだろう。ってあったので、お払い師の人に聞いてみれば何かわかるかもしれません」
千秋…ネットって…。ネットって情報量多いけど偽物の情報も少なくはないんだよね。
「そうなんだ、なら俺今日学校休んでお払い師に聞きに行ってくるわ」
まぁ、余り期待せずに今日学校休んでお払い師に聞きにいってみますか。