人ならざる者(中編)
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光の宮殿ですくすくと育っている姫様は、3歳になる頃を迎えていました。
光の神(王様)にそっくりな顔立ちのディールでしたが、大気を操る力はまだ安定していません。姫様が泣くと下界には雨が降り、ご機嫌が悪いと曇り、機嫌が良く笑顔が多い日は晴れるといった状況でした。
また、王様との唯一の違いは髪質にありました。髪色は全く同じであるのに対し、王様がサラサラのストレートヘアであるのに対して、姫様は愛らしい巻き毛のロングヘアだったのです。
姫様は、王様の長くて陽の光にキラキラと輝くサラサラの髪に憧れていました。いつも膝に抱かれながらその髪を触り、「お父様のお髪は、何て綺麗なのですか?」と目を輝かせるのでした。
王様の美しさや、光の宮殿にあるすべてのキラキラとしたものに興味津々な姫様は、あちこちを歩き回り、元気いっぱいに走り回ります。宮殿に仕える従者たちは、その後ろを付いて行くのがやっとでした。
ある日、姫様が宮殿の庭を散歩していると、傷付いてボロボロになった小さな生き物が蹲っていました。
姫様はその生き物を優しく抱き上げると、自分の部屋へと連れて行きます。そして従者にお湯や傷薬を用意してもらい、優しく体を洗い、清潔な布に包んで薬を塗ってあげるのでした。
それから何日もの間、姫様は大好きな探検も、大好きな甘いお菓子を摂ることも忘れ、ずっと側に付き添って手当てを続けました。
そんな姫様の看病も虚しく、その小さな命は姫様の腕の中でどんどん衰弱し、弱っていきました。
誰もがもう助からないだろうと諦めかけた、その瞬間です。生き物が薄っすらと目を開けました。
その透き通るように赤く潤んだ瞳は、真っ直ぐに姫様を見つめていました。消えかけた最後の力を燃やすように、「生きたい!」という強い意志を伝えてきたのです。
姫様がその赤い瞳の中に映り込んだ自分と目が合った、その瞬間でした。
目の前に、真っ白な何もない世界が広がりました。足元には白い煙のような霧が漂い、よく見ると静かに水が流れています。
どこからともなく、頭の中に「我と共に行こう…」という声が響き渡りました。
空を見上げると、赤く光る宝石のような石が、ゆっくりと自分に向かって下りてくるではありませんか。その石を手にした途端、目の眩むような眩い霧状の光の粒が身体を包み込みました。
やがて何本もの光の帯が現れ、その光の中から、透き通ったルビーのようなピジョンブラッドの瞳を持つ、金色の長い毛並みの神獣――大型犬ほどもある大きな猫と、姫様が姿を現したのです。
死の淵を彷徨っていた小さな命は、新たに覚醒した姫様の「蘇生と癒やしの力」によって汚れが浄化され、神獣として蘇ったのでした。
この爆発的なエネルギーの波動は、天界では、一瞬のうちに眩い光の球体が国すべてを飲み込んだかのように、世界を真っ白に染め上げました。そして地上では、大気が震え霧状の虹の雨が降り、天から光の帯が何本も下りてきます。地上の人々は、これを再び「神の奇跡」と呼び、深く祈りを捧げるのでした。
王様は、自分が即位してから感じた事の無い、凄まじいエネルギーの波動と伝説上の生き物である神獣を目の前に、ただ、ただ歓喜し天界始まって以来の快挙に、全身の震えが止まりませんでした。
今回も、宜しくお願い致します。




