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LAST HERO JAPAN  作者: 悟
夏希編
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第1現象 ヒーロー衰退

 2060年…

 ある日、人類に突如発生した超常現象――通称 「現象」。


 その現象の力を扱う者を「現象者」またの名を「フェノム」という。


 だが、その力を悪用する者も現れることにより警察や自衛官でも対処しきれない状態になってしまった。


 そんな時に立ち上がった者が1人いた。その人は今のヒーローの原点となり、2085年現在まで語り継がれる存在になっていく。


 

 ただ…時代が進むにつれ、ヒーローが増えて悪人が減る。世界目線ではいいことなのかもしれないが平和になるということは、ヒーローの仕事がなくなる。


 ヒーローの仕事が無くなった者たちはテレビやネットで活動するようになった。殆どのヒーローは助け合いよりも、富と名声を追い求める者と成り下がってしまった。


 そんな中で、ただ1人だけヒーローの名に恥じず人々を助けている者がいた。



 現在2085年

 鹿児島の某アパートにて…


 僕の名前は「夏希ミユ」もちろん偽名だ。ヒーロー生活において、実名のほかに偽名を用意する必要がある。ネットでうるさい一定の層が特定するのを防ぐためだ。


 ヒーロー全盛期はネットだろうが何だろうがヒーローが取り締まっていたけど、衰退と共に緩和されていった。


 衰退したと言っても雑誌やアニメ化、二次創作される対象になるくらいには文化として定着している。


 最近は遊び半分でヒーローになる奴が多いがそんな奴等は1ヶ月もしない間に消えている。ヒーローって慈善活動みたいな所だからな。大手のスポンサーがつかない限りは経営するのは難しい。



 なら全盛期のヒーロー達はどうなのかと聞かれると、殆どはタレントになっている。テレビ出演やYouTube等のネット活動で稼いでいる。内容は当時の戦闘の自慢話や能力を使った面白動画。


 英雄が今や、自慢話おじさんってのが残念にしか思わない。かく言う僕もスポンサーがいるわけでもないのでほぼボランティアという形でヒーローをしている。


 

 ヒーローになる方法


 ヒーローになるには手続きが必要だ。

・履歴書(顔写真付き)をヒーロー連盟の「非科学現象組合」という東京にある組合に提出する。(郵送可)


・メールで合格判定を受けたらヒーロー名と今後の活動を軽く書く。


・年齢は18歳以上で高卒から応募可能。



 ヒーローコスチュームはその連盟に案を提出してZoomで大体決めるor地元の服屋でオーダーor自作の選択がある。


 ヒーローコスチュームをケチる奴が多数いるが、自作が悪いとは言わない。


 連盟の特注コスチュームとなると自身の力にあった装備案に少し融通が利く。力の底上げ度が違うから自作はお勧めじゃない。


 服屋のオーダーメイドは既にある量産型のスーツと装備品を組み合わせる感じになる。


 自作なら0円から

 オーダーメイドなら最低5万円から

 特注なら最低20万円から



 軽い気持ちでヒーローになるなら自作か、ゲーム等のログインボーナス的な意味を込めてオーダーメイドをしてみるかの2択だろう。


 金持ちのボンボンや元からお金は余ってる人たちは全員連盟の特注コスチュームだ。


 けど、実力がなければ例え連盟の特注コスチュームでも自作コスチュームのヒーローに負けることだってある。一概にどれが良いというのはないので、お財布に余裕ができたら特注コスチュームを選択してみよう。



 少し長々と話したが、ヒーローの力。所謂「現象(フェノム)」については後から話そう。今話すと頭の中がごちゃごちゃになって内容が入ってこないだろう。 



 僕のコスチュームは、ほぼ自作。元からある西洋甲冑(プレートアーマー)を魔改造してファンタジー風に自作。白マントは付け外し可能。古代ギリシア兜の様なふさふさ(僕の場合は赤)をつけている。


 勿論だが身バレの為に顔は見えないようになっているが、視界は良い。呼吸もできるように改良してある。そこに服屋の装備品を組み合わせている。全身は白を基調としている。



 西洋風にしているのは完全に僕の趣味である。なんとなく読んでいた漫画に影響されて子の姿になったとは到底話せない。


 僕の地元は有名なヒーローはいない。仕事は田舎で働くよりも大手の東京で働くだろう?それと同じで田舎でヒーローをするよりも人口が多い場所でヒーローをしたほうが名声が早く上がる。


 

 僕の活動は身の回りのお手伝いが全般。最近多いのは荷物持ち。同じルートを歩くことが多いので同じ人が荷物持ちの頼みをしてくる。


 ここで、個人で活動してる慈善活動のヒーロー達がどうやってお金を貰えるか教えます。


A:市役所にヒーロー履歴書を提出して、特別なQRコードのバッチを貰う。このQRコードバッチを肩や胸に付ける。利用者(市民)は利用後QRコードを読み込む。利用者数に応じて市役所から報酬を得る。


B:市役所から直接依頼を貰う。現象科と言う科があり、そこに市民がやってほしい依頼を報酬と共に提出している。その依頼を達成で得る。


C:webを開設して、そこに連絡用の電話番号と目安の依頼料を記載。この場合は前払いが必要。



 Aは一番利用者が多い。「頼みやすい」と「信頼」で成り立つ。


 Bも料は多いがAよりも大事な事が多い。日雇いの工事作業とかが多い。


 Cは事務所を開設したらやりやすい。依頼料を高くしすぎると「非科学現象組合」から直接BANされるので注意が必要だ。



 僕はAを主にしている。たまにBをして稼ぐことがある。ヒーローなんだからお金貰わず人助けで満足しろよ…と言う人も一定多数いる。


 なら、言うけど会社で労働して給料貰わないで会社の利益とやり甲斐だけで満足しろよ…って言ってるようなもんだからね。 


 こっちも人間であって、レストランで動くロボットじゃないから生活費を稼ぐ必要があるんだよ。 



 僕が向かう先はいつも利用してくれている永(なが)さんと言う方の家だ。永さんはマンションに1人で住んでいる利用者だ。


永「時間通りに来てくれて、ありがとう」


 永さんの見た目的には大学生だろう。この時間に指定したのも「アレ」の利用だろうな。永さんはいつも「アレ」を利用する為、僕に連絡する。


永「今日も寝坊したから、大学までよろしく」

 

 永さんの利用する「アレ」は寝坊した永さんを時間までに届ける…ある意味荷物持ちに該当する。


 ここで…僕の現象について軽く説明するよ。細かい説明は後からね。


 僕の現象は大きく見れば風を起こす。自身を風で浮かして飛んだり、速度を上げることもできる。


 永さんは僕の飛行を利用して無駄な横断歩道を空から無視するというものだ。飛行する高ささえ守ればヒーローも飛ぶことが許される。


 まぁ…寝坊のたびに毎回利用してもらってるので、僕の中ではログインボーナスと思っている。永さんを大学に送った後は、大学周辺を歩く。


 大学周辺もとい、大学内は困ってる人で溢れかえっている。大学周辺はマンションやコンビニが多い。学生が多く通る信号も近いので交通安全の為、黄色い旗で歩行者を誘導している。


 これに至っては完全ボランティアの為、報酬が入らないと思うかもしれないが、身の回りの人が僕が「ヒーローの◯◯さんが今日、◯◯してましたよ」と市役所に連絡したらカウントされる。


 

 お昼はコンビニでカロリーメイトやウィンダーゼリーを流し込む事が多い。顔を隠しているデメリットがここで出てしまう。仕事内容によってはキツイかもしれないが、僕の現象的に疲れることは滅多にない。


 お昼が終わった頃、永さんがいつもの位置に着いていた。今日の補習も終わった頃で、これから帰る。


 大学に行く時で一回の利用、帰る時に一回の利用。2回の利用になるので本当に永さんはいい利用者だ。


 とりあえず僕も家に帰る。コスチュームを脱いで、スーパーに行く。コスチュームのままだと、万が一に後をつけられて住所を特定されるかもしれないからだ。


 あとは僕のことを知らない市民が不審者だと勘違いするかもしれない。多分後者の方が多いだろう。


 

 今夜はカレーにしよう。カレーは料理で効率がいい。肉も野菜も取れるし、数日間分を作れる。こんなに1人暮らしで楽な料理は無い、神の料理だ。


 僕のアパートは1LDKのトイレ・風呂別で台所は広い。ヒーロー活動という名のアルバイトの僕には十分な広さだ。

 

 おっと…ここで、僕のスペックを説明しよう。万が一、読者の中で僕のことを好きになる人もいるかもしれないから。


 黒髪ベリーショート

 身長185cm・体重80kg

 趣味ゲーム・アニメ鑑賞


 ………、ただの陰キャで草


 だけど、ヒーローしてるからプラマイゼロだよね。そうだと信じたい。



 夜になった頃、コスチュームを装着する。勿論ライトも装着する。夜の見回りを軽くする。田舎だから電灯が少ないこともあり危ないからね。これに関しては地元の人と協力して行なっているボランティアだ。


 夜中に出歩く人もいるけど、そういうのは警察にしてもらうほうが安全。


 ふとスマホをひらいてネットニュースを見ていると…ヒーロータレントの過去の活躍ばかり。昔の活躍もすごいが、今ヒーローとして生きている人達にフォーカスを向けて欲しいものだ。


 少し独り言が多すぎたな。地元の街の見回り点検は怠ってはいけない。これは街の平和維持の為、安全に市民が暮らせる為の行為。


 

 前にあった事件で言えば、路上喫煙だろうか。喫煙者は喫煙所でするのがManorなのだが、それをはき違える者たちがいる。そんな小さなことでも取り締まり対象になる。


 いつものルートを回っていると、公園のベンチに座る人を発見した。別に寝てるところを起こすような行為はしないけど、酔いつぶれの場合は別。公園で酒を飲むことはNGだ。


 僕はそう思い、近づいたのだが…

そこにいたのは中学生くらいの少年だった。こんなところに中学生向が1人なのはあぶないので起こすことにした。


 名前は何ていうんだろう。それにしてもこの子の親は何をしているんだ。現象を悪用する大人が多い世の中で子供を放置するのは良くないことだぞ。仕方ないけど起こして事情を聴くしかない。


 僕は軽く少年の背中を揺すると、ゆっくり体を起こした。


???「ん…、なんですか?」


 なんですか?じゃないよ。こんなとこに子供一人は危ないから、早く家に帰りなさい。僕はそう伝えたが少年は…


???「ボク、少年じゃない。20歳越えてるよ」


 これは学生がタバコやお酒を買う手口と一緒だ。20歳なら大人対象なのでこのまま放置でいい。だが、僕はそんなに甘くないぞ。僕は少年を抱き上げて警察署に連行した。


 その後警察に事情を言う少年。少年は少年ではなく、ちゃんと20歳だった。勘違いしてしまったのでここは謝らないといけない。


???「別に気にしてないから、頭下げないでよ」


 少年の寛大な言葉を受け、帰ろうとした時に事件が起こる。警察が僕に、この子を保護してほしいと言うのだ。


 この子は鹿児島出身ではなく、福岡出身で親もそこに住んでいる。訳あって鹿児島に引っ越してきたのだが、地元と違い馴染めず住んでいたアパートからも家賃滞納で追い出されたらしい。


 そういうのは、ほぼボランティアヒーローの僕じゃなくて警察の仕事では?と思ったのだが少年は僕と居ることを希望したのだ。


 まぁ、なにか深い事情があるのだろう。家でしっかりと話を聞いて帰ってもらおう。そう思い家に帰った。


 

 家に到着

 家に着くなり、少年はため息を吐いた。まぁ…こんなコスチュームを装着して、ヒーロー活動をしている…と思い浮かべたらいい生活を送ってるのだろうと、勝手に思われるのも仕方ない。


???「おじさんさ、1人暮らしにしては陰キャすぎない?」


 なるほど、僕の家具についてのため息だったのか。確かにニ◯リの展示の家具をそのままポンッ…と置いたようなものだからね。シンプルでいいと僕は思うんだけど色が全体的に黒っぽいのが原因だろう。


 少年は仕方なくソファに座っていた。家には帰ったもののコスチュームは脱がない。脱がないまま事情を聞くことにした。



 少年の名前は一ノ瀬ましろ(いちのせましろ)。19歳の時に大学を辞めて地元福岡から鹿児島に引っ越してきた。


 引っ越し理由はヒーローになること。ヒーローになるんだったら福岡でもできると話したけど、福岡にはある程度の有名ヒーローもいる。有名ヒーローがいるなら、それに憧れる無名のヒーローも沢山いる。


 地元福岡でヒーローになれば無名のままで終わるかもしれないと、有名ヒーローがいない鹿児島を引っ越し先として選んだそう。


 だけど鹿児島の平和すぎる現状は一ノ瀬ましろに悪影響を与える羽目になる。せっかく有名ヒーローになりに来たのに、事件の一つもない鹿児島でヒーロー1本で生きるのは難しい。


 限界までヒーロー活動をして食いつないできたけど、底を尽きてアパートから追い出され、公園で寝ていたらしい。


ましろ「おじさんもヒーローやってるなら、師匠になってよ」


 さっきから「おじさん」って言ってるけど一ノ瀬君とは3歳しか変わらないんだよ。


ましろ「ファンタジーの西洋甲冑系が好きな人っておじさんだと思ってたよ、ごめん」


 師匠ね。ヒーロー活動をやってまだ5年しかたってない僕に、そんな大役務まるのかな。暮らす場所もないと言うし…


 仕方ない、当分は面倒見て弟子として迎え入れるか。


ましろ「ありがとう」


 ちゃんと挨拶が言えて偉い。とりあえず偽名の「夏希ミユ」を伝え、一ノ瀬君からナツキと呼ばれて、僕はましろと呼ぶことにした。


 さてと…明日から色々面倒な事が起きそうな予感がするよ。

夏希ミユ 

一人称:僕 年齢:23歳 185cm・80kg

黒髪ベリーショート

趣味:ゲーム・アニメ鑑賞



一ノ瀬ましろ

一人称:ボク 年齢:20歳 153cm・38kg

白銀短髪ボブ寄り

オーバーサイズパーカー

趣味:ヒーローグッズ集め

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