密約 ドワーフとの同盟と帝都内乱
~新設された軍事省庁舎~
「何故俺のところにきたんです?同盟を結ぶのであれば、俺ではなく国王に」
空中戦艦を撃破してから二週間、エリゼ団長が療養中、俺は団長代行として職務をおこなっていた。そこに、つい先日ドワーフたちの特使がやってきた。
「単刀直入に申し上げると、ユーキ殿が新兵器の製造と発案を担いその運用を行っていると伺いましてな」
どうやら、相手は軍事同盟締結を希望しており、兵器開発と運用の全権を担う俺と仲良くしたいとのこと。
無線も電話もないこの世界で、遠い異国とは連携が取りづらい。本来なら断る所だが、これから訪れる戦線拡大にたいして我が国は兵がまったく足りていない。
先に送り返した第一軍団を呼び戻したとしてもまったく足りないどころか話にならない。
敵の首都を一気に攻め落とすならさほどの問題はないが、我々には大軍を輸送できるエルフの空中戦艦のような移動手段がない。
傀儡の東エルフ共和国から義勇兵の徴兵も試験的に始めてはいるが焼け石に水程度。
兵が全く足りていないのだ。
特使はそれを見越して我々に軍事同盟を持ちかけているのだ。流石ドワーフ、物作りだけでなく取引もうまいな。
しかも先週、ガルマニア国は緊急事態宣言を発令した。最大で約200万名の兵を動員可能。対してこちらは最大で15万か。
我々はドワーフとの同盟を締結した。
しかし、その直後問題が起こった。
国家保安局から緊急の通報が来た。
「なんだと!しまった!!!」
ドワーフたちのが一枚上手だった。
完全に忘れていた。攻めてきた空中戦艦の艦隊は五隻だったが、なんと反転して消息不明になっていた二隻が突如としてガルマニア帝都上空に出現、帝都を爆撃。
ガルマニア王は爆死、宰相は大火傷で重傷。
知らせによると反王権派軍人によるクーデターが成功、一昨日軍事政権がガルマニア帝都含めた中央部に誕生。
対して帝都を脱出した王家はガルマニア北部に帝都の臨時移転を宣言し、王権国家を樹立。南部の諸都市は中立を宣言し、沈黙。
(やられた。ガルマニアは内乱状態だ。)
ガルマニアの人口は南部に集中、そして南部が中立を保つと言うことは徴兵がうまく行かず、今現在のガルマニアは大幅な戦力ダウンを起こしているはず。
すると、兵隊の数は差ほどの問題にはならない。ドワーフとの同盟もいらない。
おそらく向こうは参戦の対価を要求してくるはず。
「終わった、、、やられた、、、」
俺はまんまとドワーフの特使に嵌められたわけだ。
これを説明するとエリゼ団長は爆笑しながら、ここが本国でお前に英雄的な武勲がなければ火炙り確定だなと肩をバシバシ叩かれた。
こうして俺は盛大にやらかしたわけだ。
しかし、失敗を悔いて行動しないのは駄目だ。
俺は東エルフ共和国を拠点とした国取りの準備を着々と進めていった。




