エルフとの空中戦、対空中戦艦その1
~ 翌日、旧フリードベルク郊外 ~
「ドワーフの技術すげぇ」
ドンッ!弾丸を装填しろ!撃て!ドンッ!ドン!
新型の大砲は薬莢式で30秒で3発の速射。
今配備している大砲は前装式で、大砲冷やして、火薬詰めて、砲弾入れて撃つを繰り返す、かなり時間のかかる面倒な代物。
発射速度も熟練兵で20秒に1発程度。
「だんな!こんなもんでいいか?薬莢の新型砲弾は工作が難しくて数がねぇんだよ!」
「ああ実演ありがとう。素晴らしかったよ」
火薬を爆発させるために稀少な魔石を起爆剤に使っているらしくこれの加工が大変なんだとか。
ドワーフたちは新型の砲弾を分解して説明してくれた。彼らはまるで理科の実験を楽しむ純粋な好奇心を持った少年のような顔をしていた。
(これは素晴らしい。刀相手に機関銃打ち込むのと同じだ。一方的な戦争ができるぞククク)
「旦那が久しぶりに悪い顔してら」
おおおーーーい!おーい!我が軍師!
(どこか遠くから俺を呼ぶ声が??はっ?!)
上空に浮かぶ試験飛行中の気球からだ。
「え!エリゼ団長!なんで?!おい、なんで止めなかったんだ!!」
「そりゃーだんな昨日の夜、団長が乗りたいって」
そー言えば、だる絡みされてたなドワーフたち。昨日というか今日の明け方だろう。つか、この世界の女性は酒に強い毒耐性でもあるのか?!
「いくぞー!とうっ!」
(え?行く?どこに?!まさか!!)
ジャーーンプ!ピューーーー~ッ!
エリゼ団長が気球から飛び降りた。
取り乱し、仰向けにひっくり返し反った俺にドワーフは言う。
「よーく見てな!」
「?!?!?!?」
バサッ!
(パラシュート!?何であんなものがこの世界に?!いや、そもそも何であの人が使ってんの?!)
エリゼ団長に続き、十数名のパラシュートが青い空に広がった。
~ 昨日の酒場の記憶 ~
ドワーフ「ーーーー。んでな、俺はペットのムササビ見てピンと来たんだよ。気球が落とされたときに脱出するアイテムのアイデアがよ」
エリゼ「うははは!そりゃいいな!私が一番に使うぞ!どれ!明日気球とやらにのせろ!」
「・・・・・・・・(思い出したよ)」
(ほんと、エルゼ王国から離れてからというものやりたい放題だな)
こうしてドワーフたちからの嬉しいサプライズアイテム、パラシュートの登場により新しい作戦と特殊部隊が作られた。
作戦はこうだ、高射砲部隊が敵の空中戦艦に猛烈な砲火を浴びせる。撃墜できなかった敵戦艦の上空にあらかじめ飛ばした気球からパラシュート舞台が降下、敵戦艦に直接殴り込みをかけ内部から破壊する。
まさか、中世の世界で近代的な戦争が起こるとは夢にも思わなかったが。やってやる。楽しみながら全力でな。
「報告します!敵空中戦艦五隻のうち二隻の反転を確認。あとの三隻は明日の昼前に襲来と予想」
各地に送った密偵から伝書鳩が放たれ、敵の詳しい詳細が送られてくる。二隻が反転??方向はガルマニア王都?なぜ??
不幸中の幸いではあるが、敵艦隊から動きの早い小型戦艦が二隻減り、後は大型戦艦を旗艦とした三隻か。
高射砲の弾も限りがあるから助かる。
市民は耐火性の石材でできた防空壕に避難を開始。二門の対空砲は都市の西に集中展開し空を睨む。
もし敵が西以外の方角から来たら、組み立てた高射砲は重すぎて移動できない。
つまり予想が外れれば我々は全滅する可能性が高い。
緊迫した空気が漂うなか、街に厳戒態勢が敷かれた。
~ 翌朝議事堂内、食堂 ~
パパラーパパパパーーー
ドンッ!ドンッ!ドドンッ!
ガシャン!いくぞ!馬をだせ!
俺が現場につくと防空隊指揮官のアルトが状況を説明。
「やりましたよ!一隻撃ち落としました!」
おそらく砲弾が魔道師か動力炉に命中したのだろう。敵の小型艦は轟沈した。
敵はなおも西から接近。
敵は高度300m距離4km、さらに上昇開始。
気球部隊は既に上空で待機、流されないようロープで係留中。
団長はどこにいる?!
アルトが青い顔をして指を上に指した。
「え?、、はあっ?!」
俺は予備の気球に乗り込み、上昇するよう命令をだす。北欧神話の戦乙女じゃないんだがら大人しくしててくれよ。
俺はパラシュートと手榴弾、短銃とサーベルを落とさぬようしっかりと体に固定した。
撃て!撃ち落とせ!
ドンッ!ドンッッ!ドンッッ!
小型戦艦は爆撃用の油樽に引火して動きを止めたが「駄目だ!小型船はともかく大型船はビクともしない!」
どうやら、大型艦の船体は二重構造になっていて、外郭を貫通して内部で砲弾が爆発しても内部に被害が出ていない。
砲兵A「報告!弾が!弾が切れました!」
アルト「仕方ない!退却だ!」
(エリゼ団長ユーキ中佐あとは頼みました)
地上部隊が狼煙でたま切れの合図を送る。
~上空1500メートル~
「よし!これより敵船に殴り込みをかける!総員降下準備!」




