我らが海を制圧せよ!!!
さーて、どうしたものか。
俺は頭を悩ませていた。
というのも、大砲の生産体制が整い、大型で運搬が難しいトレビシエットをお役御免にした訳なのだが。
俺はドワーフたちに言い忘れていた。
彼らはエルゼ国での任期が終わるまでの間に1000発近いトレビシエットの爆裂鉄球を生産していた。既に生産ラインは停止し、大砲とその砲弾を製造するラインに切り替えたのだが。
この在庫どうしましょう、、、。
一発200キロ近い鉄の球体、使い道がなぁ。
溶かして再利用ったって、溶かすのには膨大な火力と人員がいるし、タダじゃないし、、
ガッシャァァァン!!!
頭を悩ませていた時、緊急の伝書鳩が窓を破り飛び込んできた。おいおい。
余程急ぎなのかもな鳩はあとでフライにするとして、、こ!これだぁあ!!
俺はエリザ団長に中型の軍船6隻と漁師や海賊経験のある海に詳しい人員600名の手配を申請した。
「ユーキ中佐よ。手配はしたが何をするつもりだね。」
「ふふ、それはですね。我らの海を取り戻す作戦です!」
「??????」
伝書の内容はこうだ。
東方の港近海に人喰い人魚が多数出現。大型の魔物も引き連れ、海産物や海洋資源調達に与える影響大なり。
「つまり!トレビシェットの弾を爆雷がわりに海に投射して人魚どもを一網打尽にするってことです。(これで在庫も減らせるぞ!)」
「うむ、それは結構なのだが。私情が混じってはいないかこれ。」
(ギクッ!!)
「まぁいい。貴族連中も海産物には目が無い。遅かれ早かれどうせ来る依頼だ。存分にやってこい!」
ハッ!!!
俺は早速、残ったドワーフたちのいる工房に向かった。
よー親方!元気か!
元気もどーもこーもねぇ!大砲の生産量を月に10門に引きあげろとかフザケテンのか!?
多少のいざこざは中間管理職の責務、話を聞きうまく酒の供給量を増やすことで丸め込み、船上に取り付ける鉄球を転がす鉄の土台を6つ急増してくれることとなった。
~二週間後 東方の砂浜~
マジか、、、聞いてないよ。これが人魚
浜辺にうち上がった本物の人魚。
(何これ、半魚人じゃん。)
美形のお姉さんを想像していたが
顔と足(?)は魚、胴体と腕はプロレスラーみたいなヒト型。これは船もたちまち破壊され、海に引き摺りこまれるわけだよ。
おお、神よ。つか、何でこの人も来てんだ?!
エリザ団長はスク水姿で、ビーチパラソルの下、チェアーに腰掛けドリンクを飲んでいる。
おいおい、アラサー手前の180cmが着るには色々とキツいって。
「おい。お前なんか失礼なこと考えてないか??それに私は仕事ではなく休暇中だ」
確かに土日返上で働いてたから休みは貯まってんだろうが、これはちょっとねぇ。
(胸まわりにサラシを巻いてる??)
「おい、磔にされて人魚のエサになりたくないのならサッサと仕事に行ってこい!!」
は!はいいいいい!
港町では隊員たちと合流、手配された中型軍船6隻に各10発の爆裂弾を積み込み、投下用の土台を設置。
「いいか野郎共!よく聞け!これより我々は狩りを行う!!」
作戦はこうだ。
まず人魚を発見したら、軍船が先回りし炸裂弾を投下する。外洋から奴らを追い立て、この坪型の湾内に封じ込める。
そしたら合図を送り、あの崖に配置した爆薬を起爆し崩れた崖で外洋と湾内の入り口を封鎖する!
そしたら、あとは漁師さんたちのモリ突き大会の始まりよ!
「いくぞ!野郎共ぉぉぉッッ!」
ヒャッハぁぁぉぁ!!!!
ズドーン!スドドーーン!
ドドーーーン!ガラガラッッ!!
よっしゃぁ!二匹仕留めたぞ!俺は三匹だ!
よーし!爆裂弾もドンドンツカェェェ!!!
「おうおう、やってるねぇ。すみませーん!フルーツとドリンクのお代わりくださーい」
はいよーっ
この日、近海の人魚はほぼ駆逐され、記録によると千二百体ほどが仕留められたという。
ともかくクエストは無事に完了し、軍の食事には定期的に港町から運ばれる新鮮な魚を使った料理が無償提供されるようになった。
だが、我らが軍師様は頭を悩ませていた!!
「これどうすんのよ」
ずずーーん(トレビシェットの弾残り400発)
そう!在庫一斉処分のはずが全て使いきれず、まだ在庫をもて余していた!!
(新要塞の地下に現物は隠し、ありかを知る術はこの手元の書類のみか、、)
ヤバイ、ほんとヤバイ。エルフ戦の非常時だから金銭的な面を考慮せずこんなもん馬鹿みたいに量産したわけだが、使わず、しかも配備をやめて隠し続けるのは流石にまずい。
幸い、今は夜で誰もいない!
この書類を隠せば!
「やぁ我が軍師よ。大活躍ではないか!!」
エリザ団長がバカンスから帰ってきた。
ほれ、お土産!おみやげ!
こっちは皆の分だ!
「・・・あ、アリガトウゴザイマス」
「あまり嬉しそうではないな、、おい。その赤い書類はなんだ??何かやったのか貴様。」
エエーッとォオッッ!!
俺は咄嗟にわざとらしくよろめき、近くの蝋燭を倒し、その先のエリザ少将に覆い被さるように倒れた。唇が近い。
「す、すみません。お怪我はありませんか??海では力仕事が多く身体中が言うことを!!」
悔しいがエリザ少将に見とれてしまい、何かを言っているが言葉が頭に入ってこない。
「火だ!ユーキ!机が!軍服にも火が!」
え?あ?ゥォォオォアア!!アチチ!アチィ!
水だぁぁ!誰か水ォォッッ!
こうして、俺の執務室は秘密の書類とともに全焼した。




