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日常  作者: 本田立直
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日常(不幸)

「んぁ、朝か」窓から入り込む日差しが眩しくて私は朝だと気づいた。

それから5分ぐらい経っただろうか、自分の中で起きたくないという気持ちと起きなければいけないという本能がしょうもない戦争を繰り返していたが、結局は起きなければいけないという気持ちが勝って渋々起きることにした。

「おはよぉ」自室がある二階からキッチンのある一階へと通じる階段を気だるげながら降りてちょうどキッチンにいた母に眠気まなこの状態で挨拶をする。

「あら、おはよう」母はいつものことのように全く意に介していないようだ。

 私はキッチンにつくや否や窓際に置かれているスチールラックのうちの一段に無造作に突っ込まれているパンの中からたまごトーストとスッティックココアを取り出してスッティックココアをマグカップに移してお湯を注ぐ。そしてかき混ぜれば完成だ。

まだ目が完全に覚め切ってない中半ば無理やりたまごトーストを口の中に突っ込んでココアで流し込む。これで今日の朝食は終わりだ。しかしまぁ、なんというか自分でも呆れるほど意識の低い朝食だと思いながらもまだ完全に起きてないから仕方ないと言い聞かせて正義ということにした。

そして自室に戻って着替えて、パソコンをリュックに詰めコンっだらもう良い時間になっていた。今日は教科書を使う科目はないからリュックは軽い。しかし、今日は1週間の中で最悪な時間割だ。授業と空きコマのミルフィーユ。これ以上にクソな時間割があるだろうか。帰りたくても帰れない、履修登録をした当時の自分を恨みたい。そう思っていても仕方ないので家を出る。靴はいつも変わらないから迷う必要などない。

15分ぐらい歩いただろうか、ビルと一体になっていてもはやビルが本体ではないかと見間違うほどにちっぽけな駅がある。これが最寄り駅だ。

ピッ、ピッとICカードの音が響く駅の中で私も人の流れに沿って改札に向かう。そして、周りと同じく改札機に対して雑にICカードをタッチすると桁魂ピンポーンという音と共に勢いよく改札が閉まった。その瞬間私は心の中であぁそうだったと大きくため息をついた。思えば昨日の帰りICのチャージ金額が少ないことに気づいたが「今日は疲れてるし明日行く時チャージすればいっか」とチャージをしてなかった。

 しかたなく、券売機に並んだがなぜかここも人でごった返していた。もう朝から最悪だ。

結局予定よりも日本後の電車に乗るハメになった。しかしまぁ幸運というかなんというか自分の大学の最寄駅は全ての電車が止まるからどれに乗ろうが問題はない。

そうこうしているうちに10両の電車が滑り込んできた。全身真緑の車体に四角形の上側両方が斜めに切り取られた車体はもう何度も見ている光景だ。

 電車が駅に滑り込んでドアが開くと同時にたくさんの人が乗り込んだ。案の定降りる人はいない。それもそのはずこの電車の行き着く先はターミナル駅に工場街なのだから。

人の流れに身を任せ私はドアのすぐ横に陣取る、奥まで行ってしまうと大学の最寄りで降りれなくなるからだ。

 電車は駅を出ると都会の私鉄ということもあってか、高架の線路を疾走する。しかも複々線ということもあって外側を走っている快速や各駅停車を悠々と追い越す様は見ていてなんと快適だろうか。

そうこうしているうちに大学の最寄りの熊坂駅に着いた。ここは高校や大学があるということもあってかそれなりに人の入れ替わりがあった。そして降りた人の流れについていけば改札口に辿り着いた。

ICカードのピッという音が響く改札口を出ると大学に行くバスが止まっているのが目に入った。私は急いで階段を駆け降りた。しかし、階段を降り始めたと同時にあろうことかバスはドアを閉めて無常にも走り去っていった。

 結局走り出してしまったからには止まることはできず、無駄に階段を駆け降りるハメになってバス停で15分もの待ち時間を強いられるハメになった。走ったせいか脇腹も痛いし、もう今日は朝から散々だ。元はと言えば昨日の時点でICにチャージしていない自分が全ての元凶であるが故に悔やんでも悔やみきれない。

 そう悶々と自問自答していたらバスがやってきた。バスは数人の大学生を乗せて走り出した。

「これなら間に合う」そう心の中で独り言のように呟いていたが、そんな淡い期待はすぐに打ち破られた。

全力疾走したせいもあってか、バスの中でうとうとしてしまったようでハッと目を覚ますと20分はすぎていただろうか。ふとここはどこだろうと辺りを見回してみるとどうやら渋滞の箇所は抜けたが、それにしてはバスの進みが遅い。何かあったかと思ったが、その理由はすぐにわかった。なんと今日に限って道路工事が行われていたのだ。この瞬間私の中で遅刻という事実が心を蝕んでいくのがわかった。差し詰め、採点ミスで赤点に落ちた感覚だろうか。

結局バスは所定より5分の遅れで済んだが、自分の所属する文学部の学部等は三つある学部等の中で最も奥に位置しているため今から走ったところで間に合わないのは確実だ。仕方ないので半ば諦めに近い気持ちのままうだうだと文学部棟へと歩みを進めた。

 結局授業へは15分遅れで参加することにはなったが、幸いなことにおじいちゃん先生ということもあり、意外と意に介していないようでよかった。

授業自体は新聞記事における日本語というなんともつまらない授業であった。朝からやれ最近の若者は新聞を読まないだ、県内では地元市がトップシェアだネットニュースも新聞紙が提供しているだ。内容なんかは至極どうでもよかった。実際この授業の先生は1年生の時必修でお世話になった先生でこの先生だからとったというスタンスであり、シラバスは軽くしか目を通していない。

授業中手持ち無沙汰になって特に意味もなくメールを確認するとゼミの先生から課題が送られていた。見てみると冬休みの課題として少し前に発表した推し歌のスライドをエッセイにして2000時程度描きなさいというものだった。普通の人なら課題と聞いて嫌な顔をするだろうがこの先生の場合私にとっては逆にワクワクするものだ。実際この手の課題は前期の期末課題として出されていてスライドを元に文章を作ればいいだけだからとても簡単なのだ。そしてそうこうしているうちに授業が終わった。どうやら授業の中で新聞社のCMを見せてくれたようだがそんなのは記憶にない。なんせ授業がつまらないからだ。

 授業後、友人が私の元へとやってきた。

「今日は盛大にやらかしたねぇww」そう揶揄ってきたので

「うっさい」と軽くあしらっておいた。

「で、今日は何があったの寝坊?遅延」今度は真面目に聞いてくれたのでため息まじりに

「ICチャージ不足で電車2本見送ってバスに目の前で行かれるわ、道路工事でバス遅れるしでもう散々」

「あららそれは災難でござんした」友人はことのあらましを聞いて苦笑した。

「んあ、そうだ。この後打ち合わせ行く?」

「あぁ、行くよ」

 実は現在進行形で私と友人は学生主催のフェスイベントを企画していて2限目はその打ち合わせなのだ。

「あ、でも他のメンバー2人は来れないみたい」友人がグループラインを見せながらそう言ってきた

「あ、ほんとだ」ちょっと驚いた様子に私は声をあげた。

「じゃあ仕方ないから今日の会議はなしで再来週に持ち越しだねぇ」友人は仕方ないという様子で答えた。

 結局2限目は来た他のメンバーや知り合いの面々で雑談して終わった。しかし、私には楽しみができた。それは大学の近くにできたラーメン屋の視察ができるのだ。

何を隠そう、私はラーメンが好きで学食では基本的にラーメンしか頼まないラーメン野郎なのだから。

時計は12時を差した頃だった。私は糖度いい頃合いだと思って雑談の席をたった。

「ん?どした?」友人が聞いてきたので私は「最近できたラーメンしばいてくる」と伝えた。すると友人はいつものことかと半ば呆れ顔で「はいはい、いってらっしゃい」と快く見送ってくれた。

「あ、そうだこれ」そういうと友人は徐にいちまいの紙切れを出した。

「これは?」と聞くと彼女の答えはラーメンお割引券らしい。なんというかここにきて運が回復している気がならなかった。

授業開始まで残りは1時間30分。これなら余裕を持ってラーメンを楽しめる。そう追おうと自然と足が軽くなっていた。

 それから15分ぐらいして目的のラーメン屋へと辿り着いた。ここは元々はお母さんの名前がついたブランド商品が有名なコンビニだったが、2年の時に閉店してそれからしばらくは売地だったが、その頃の面影はどこ絵やらという感じだった。

木枠のドアを押して入ると待ち用の椅子に先客がいたが幸いにも1組だけだった。そしてその客も私が番号札を発券して席につくとすぐに呼ばれた。

私はもうすでにメニューは決めてある。しかし他にはどんなメニューがあるのかメニューをみることにした。どうやらこの店のおすすめメニューは肉そばらしい。ラーメンの中に煮込まれた豚肉とゆずおろしが鎮座している写真の脇に店長一押しというありきたりな文が載っていたがゆずが嫌いだからこれはなしだなと心の中で却下という烙印を押した。

しばらくすると店員に番号が呼ばれた。

店員に連れられ中に入ると近くにもう一つ大学があるせいなのかはたまた自分と同じく新しいもの目当てで来たのか知らないが昼時ということもあってかなり賑わっていた。私は席につくや否や手元に用意されているタブレットでそそくさととんこつラーメンと餃子、チャーハンセットの注文を打ち込んだ。

それからしばらくしてセットで頼んだ餃子が運ばれてきた。餃子と一緒についてきた小皿に餃子のタレを少し入れてそこに餃子をつけて食べた。正直言って特筆することのない普通の餃子だ。まぁチェーン店だしこんなもんだろうとセットの餃子三つを口に放り込むとまた手持ち無沙汰になった。スマホをいじる気にもなれないので厨房の様子に耳を傾けながらラーメンを待つことにした。

しばらくするとラーメンとチャーハンが運ばれてきた。

ラーメンに関しては熊本豚骨に近いラーメンだったのだが、特筆すべきはチャーハンの方だ。チャーハンがつくや否や店員が「卵失礼しますね」と言って熱々の鉄板に溶き卵を流し入れたのだ。そして「鉄板が熱いうちに混ぜてお召し上がりください」と言って去っていったのだ。

「自分で作るチャーハンとはこういうことか」私は口に出さないながらもそう思った。以前このラーメン屋について調べた時炒飯を作らせるという話を聞いて「どういうことだ」と不思議に思ったが、最後の仕上げを客にやらせる等ことだったのかと合点が言った。

炒飯ばかりに注目していても仕方ないのでラーメンを食べる。まずはチャーシューから。まぁチェーン店だしこんなもんだろう。次にスープを一口。ここで衝撃を受けた。豚骨醤油でありながらも家形とも違うし豚骨とも違うなんとも不思議な感覚に陥った。次に麺を啜る。麺自体はなんの変哲もないただの麺だがやはりスープが不思議な感覚だ。豚骨でも豚骨醤油でもない独特な味なのだ。

そして、チャーハンは自分で混ぜて完成させた瀬英といえばいいのかわからないが卵の大きさがバラバラで味のある仕上がりだ。肝心の味の方はというと普通だが、鉄板に入ってる分熱々を楽しめてこれもありだと感じた。

しかし食べていて気になる点がある。それはバイトへの指導の声が耳に入ってきて仕方ないのだ。まぁ、開店した週に行ったのだから仕方ないのだけどなんともいえない気持ちになった。

そうこうしているうちに全て食べ終わったので会計に向かう。

レジには有人とセルフがあったが、なぜかセルフにも店員がいた。私は「セルフとは一体」と自問自答しつつも会計を済ませて大学への帰路へと向かった

 ラーメンを食べたことによる満足感そのままに大学へと足を進めた。

大学についていつものラウンジに戻るとさっきと同じメンバーに加え、ゼミのクラスメイトがいた。

ゼミのクラスメイトである彼は自分から見れば珍獣のようによくわからない存在である。それもそのはず、自分の大学の学籍番号は入学した年の下二桁の後ろに入学を意味するであろう大文字のNの後ろに各学生の番号が割り振られているのだが、彼の学籍番号は19Nつまり2019年入学ということだ。自分たちの代は23年入学なのだから4年先輩ということになるのだ。そして彼ははラウンジの奥にあるパーティションで区切ったスペースの中に置いてあるソファの中でくつろいでいた。

ラウンジの中でしばらく休憩していると3限に同じ授業を履修している別の友人がそろそろ教室に行くというので一緒についていくことにした。3限の授業は世界の文明に関する授業で日本文学や日本文化とはなんら関係ないように思えるのだが、この科目は学部共通科目といって文学部の学生であれば誰でも受講できるのだ。

教室に着くと少し驚いたことがあった。夏休みのインターンシップに行く際の事前準備で知り合った優秀な友人がまだきていないのだ。正直この授業は中間テストで30点というしょうもない点数を取ってしまったために後半は頭のいい知り合いにくっついて頑張ろうと思っていたのにそいつがこないのだ。

「まぁ授業始まるまでには来るだろう」と思っていたが、結局来たのは授業開始直後だったのだ。さらにそれだけじゃない。

「授業始める前に冬休み中の課題のお知らせがあります」先生がマイクを持って喋り出すなりそんなことを言い始めた。その言葉に私は絶句した。ただでさえエッセイも書かないおいけないというのにと思っているとスクリーンに課題の詳細が映し出された。課題はこの講義の前半戦で授業した各文明のうち二つを比較してレポートを書きなさいというものだ。

レポートということは図書館に参考文献を探しに行かないということを意味しているためさらに絶句した。

授業の内容としては文明と経済という内容だったが、正直何を言っているのかさっぱりだった。

その後は尻切れ蜻蛉だったマヤ文明の続きをしたが、ここでもまた少し小さな絶望が起きた。

「皆さんには宿題として授業内で紹介したマヤ文明の数字の表し方で皆さんの生年月日を書いてもらいます」

「あぁなんとも地味でめんどうくさい課題なんだ」心の中で一人叫んだ。まずは自分の生年月日を20の倍数を基準とした表し方に変換してさらにその上でその数を記号に書き換えて書かないといけないというなんとも地味でめんどうくさい課題なのだ。

結局内容がわからないまま授業が終わった。そしてまた空きコマが訪れた。空きコマなんてただ時間の無駄にしかならないのに空きコマはできてしまう。なんとも言えないジレンマだ。

「そう言えばこれどうする」そういって私は高校来の友人に一枚の紙切れを出した。それは就活イベントの案内用紙だった。もう12月で大学でも後期に入ってから毎週のように就職のガイダンスが始まりいよいよ就職に向かっていっているという雰囲気の中でそろそろ就職フェアに参加した方がいいと思っていたが、いかんせん始めてのことで一人では不安のため友人を誘って見たというのがことの次第だ。事実彼は夏のインターンシップも行っておらず特に大学生活で何するわけでもなく、就職を伸ばすために大学に入ったような人間のため、こういった機会でもない限り就活に向かっていかないと思い誘って見たのだ。

「どうしようかなぁ」友人はなんとも微妙な感じだったので私は畳みかけるように「このイベントは私服イベントだからわりかしフランクに参加できると思うよ」と声をかけた。

友人は「そういうことならじゃあ行ってみようかな」となんとか乗り気になってくれたのだ。

そして予約しようとした際に友人は「あっ、やべ、ナビアプリの最新版をインストールしてないし、今入れてるのはサービス終わってたわ」そう言い放ったのだ。それを聞いて私は心の中でおいおいと心の中で突っ込んで思わずずっこけそうになった。

紆余曲折ありながらも無事?に就活イベントの登録は完了した。

そしてそのあとは息抜きにちょっとした文章を書いたり、たまたま持っていた本を読んだりして時間を過ごした。

そうこうしているうちに次の授業の時間が訪れた。今日最後の授業は近現代文学について解説する授業だが、この授業は動画中心だったり休憩時間、コメントペーパー記入時間などをくれたりと割とゆるくて個人的にはかなり好きな授業だ。

今日の授業は戦争文学と無頼派についてやるらしいが、今回の需要はいつもと同じように解説と動画主体で授業が進行していたのだが、ひとつ気がかりな点があった。45分経過したが休憩に入らないのだ。そんなことを不思議に思っていたら先生からとある一言が飛び出した。

「今回戦時下の文学のお話なんですけど自分が戦争文学専門ということもあって熱入りすぎちゃって休憩時間が後ろ倒しにっちゃいましたけど休憩時間は確保するので安心してくださいね」

なんということことだろうか。まさか先生の得意分野ゆえに熱が入ってしまったとは。なんというかもう呆れた。

結局その後休憩は無事取られ、残り10分のとこでコメントペーパー記入の時間が取られた。

私は無事コメントシートを書き終えて席を立つと友人も書き終えたのか席を立った。

そして教室を出てすぐ近くのラウンジ内にある自販機でミルクセーキを買って寒さに備える。

友人と大学の建物を出てクリスマスツリーを見ながら「学費が光ってるねー」というと友人は「うるさいよ」と雑に返された。そして友人はバイク通学なので駐輪場で別れる。

「週の終わりにこんなカスみたいな時間割を組んだ自分を恨みたい」と独り言を言いながら大学のバス停でバスを待つ。そして15分ほどでバスがつくはずがこない。あまりにも遅い。まさかと思ってバスの位置情報を見るとバスは大学の陸橋前で完全に止まっていた。渋滞によるものだ。

結局その後バスは5分遅れで到着したが、駅前通りでもバスは渋滞にハマって結局15分遅れで駅のバスターミナルに滑り込んだ。

駅に着いたが、駅に入るととんでもない光景が目に入ってきた。駅には人、人、人改札前に人が集まっていたのだ。

嫌な予感をして電光系版を見ると赤文字でデカデカと運転見合わせという文字が目に飛び込んできた。

「これって何時間ぐらいで復旧するんですかね」と聞くと駅員は困ったような様子で「電気関係トラブルで2時間は覚悟しておいてもらうと」と答えた。

その瞬間心の中でポキっと折れた気がした。今が大体19時で運転再開が21時、最寄りまで45分、さらに家まで徒歩15分帰る頃には22時になるのだ

運転見合わせに舌っぼうしていた頃私はとあること思い出した。

「そういえばガバスがあったな。南口に行ってみるか」そう、南口には自宅との最寄駅に行くバスがあるが、時間もかかって高いので結局使ってないのだが。

そのことを思い出した私は南口に走っていくと同じことを考えた人がすでにバス停に列をなしていたのだ。

悲壮感に打ちひしがれていても仕方がないので母親に運転見合わせで帰宅が遅れる旨をメッセージで送った。

「電車運転見合わせ。運転再開は2時間後、帰宅は22時ごろになると思う」とメッセージを送るとすぐに既読がついてメッセージが返ってきた。

「了解、運転見合わせは仕方ないから気をつけて返ってきてね。ちなみに晩御飯は骨付きチキンカレーだったのに」というメッセージと涙の絵文字が送られてきた。

それを見て私は絶句した。骨付きチキンカレーなんて年に数回しか食卓に並ばない腸がつくレア品なのにそれがよりにもよって今日とは

結局手持ち無沙汰になってしまったので駅にある蕎麦屋でカレー南蛮そばを頼んで時間を凌ぐことにした。

注文してしばらくするとカレー南蛮そばが運ばれてきた。茶色いどろりとしたカレーの下に茶色いそばが埋まっているのだろう。そかしまぁ骨付きチキンカレーと比べるとなんとも陳腐なものに変わったなぁと思いながらそばを啜る。どろりとしたカレーにそばがまとわりついてくる。カレーの味はなんというかレトルトのような味がした。

その後スマホを見たりしながら時間を潰していたらアナウンスが入った。

「再開時刻は21:05の特急電車となります。繰り返します、再開時刻は21:05となります」

そのアナウンスを聞くと待っていた観客たちは待っていましたと言わんばかりに改札えとなだれ込んでいた。そして私もその流れに巻き込まれて気づいたら改札内へと行き着いていた。

しばらく待っていると電車が滑り込んできた。電車は運転再開初便ということもありかなりの人が乗っていた。

ドアが空くやいなや多くの乗客がすし詰め状態となり例外に漏れず私の体も化粧板に押し付けられていた。

結局45分もの間化粧板と人の間に挟まれ続け駅に着いた頃には満身創痍になっていた。

そんなボロボロの状態で家までトボトボお歩いて家の扉をガタヤリと開けると何やらいい匂いがした。

リビングに入ると柔和な様子で母が「おかえり。大変だったでしょ。これ、カレーね」と湯気の立っているカレーを差し出してきた。

「食べてきたからいいし、もう疲れたから寝るね」あまりにも不幸の往復ビンタに私の心は無とかしていたのでこのくらいではもうどうも思わなくなっていた。

疲れ切った私はパソコンだけも慎重に取り出し机の上に置いてパソコンがなくなって軽くなったリュックを乱雑に投げ出してこの不運の連鎖を夢という世界に行って忘れたいとベッドに体を預けるとバキッっという鈍い音がした。おそらくも何もない、ベッドの枠が折れたのだ。

もうこれぐらいの不幸なんてなんてことない。早く現実から逃げようと夢の世界へ逃げて不幸という今日の1日から逃げた。


結局彼女は不幸の1日の流れを無理やり断ち切るかの如く夢の世界へと半ば強制的に入ったが、後日この女に訪れる幸福や試練なんかはまだ知る由もなかった。

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