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ちょっとは疑ってみましょうよ。  作者: ハシドイ リラ


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ぶつけたデコが痛い…なんか思い出した!

「お宅の息子さんの病気、ストレスが原因ではないそうですよ!私の指導が原因だなんて言いふらさないでください!名誉毀損で訴えますっ!」


昨年息子の担任だった木田が威勢よく吠える。彼女の指導方針は簡単にいうと"恐怖による支配"だ。

ターゲットは常に2人ほど。親からクレームが来たらターゲットは代わる。

そしてその年の2代目ターゲットにされたのが息子だった。

引っ越してきてすぐで、母同士の横のつながりがないのも都合よかったんだろう。

暴言、暴力あらゆることをされて息子はストレスから難病を患った。

一般的には強いストレスに晒された人に多いと思われている病気だ。

けど、同じ量のストレスを受けてもならない人がいる訳で。医学的観点からすると「原因」ではないらしい。元々素養のあった人に強いストレスがかかることで発症のトリガーになるという訳だ。

なので木田の言う、「ストレスは原因ではない」は正解であり誤りである。ストレスは原因と言えない、という人もいるけど逆にストレスは一切関係ない、と言い切れる人もいないのだ。


「名誉毀損?はい。どうぞ訴えてください。」


「はあ?何を余裕ぶってるんですか!あなたが私のせいだって言いふらしたおかげで私は転勤させられたんですよ!心だって傷つきました!今すぐ謝罪して下さい!今ならそれで私も許せると思います!」


「言いふらしたりはしてないですよ、失礼な。ああでも、どうぞ訴えてください。

その怖いお顔、低学年の子にもしてたんですか?うちの子への暴言暴力を見てしまって登校拒否になりかけた子もいるって聞きましたけど…もう少し感情のコントロールなさった方がいいですよ。

ところでね、私もストレスは原因なんだかどうなんだか…いろんな解釈があって悩んでたんです。

あなたが訴えることで"ストレスは1ミリも関わってない"と証明なさって認められたら画期的なことですよ。医学界の論争に終止符を打つ訳ですから。どうぞ頑張ってください。」


「はあ?なんで私が証明しないといけないんですか!」


「いやだって、私は関係ないとは思ってないんでね。そして世間的にも全く関係ないなんて思う人の方が少ないと思いますよ。

病名聞いたら大体の人が何か大きなトラブルあったの?って聞きますよ。で、発症の時期考えるとアレかなぁって貴方の所業を話す流れになっちゃうんですよ。」


「だーかーらー!それが名誉毀損なんですよ!話通じてます?」


「だーかーらー!これが世間一般の認識なんですよ。そこを覆すならあなたが違うことを証明するしかないって言ってるんですよ。良い弁護士さんが見つかることをお祈りしています。」


ヤツは名誉毀損だのなんだのギャーギャー言ってるが、私はそこら中で言いふらしてなんかいない。

仲良くなった数少ないママ友に愚痴っただけだ。

それだって2人ほどだ。そしてそのママ友たちはスピーカータイプではない。

もうひとつ行動したとすれば、

「カッとなって10歳にも満たない子供を突き飛ばしたりする大人が支配している教室には怖くて登校させられない」

と真っ当な理由で登校拒否したことだろうか。これだって顔見知りのお母さんに学校行ってないのー?と聞かれて、そうなんだーと答えた程度。理由まで知ってるのは例の2人だけだ。


言いふらすような事はしなかったが、習い事には元気に通って、土日には楽しくお出かけして、なのに学校には行ってない事を隠さなかっただけだ。

それを見た子供達、保護者たちがまず担任を疑ったのはそもそも我が子より前にも同じ事を繰り返していた事実があったからだよ。

じゃないと普通は先生の暴力よりいじめを疑うんじゃないかな。


とはいえね、何となく察した同級生ママが習い事繋がりで転勤先の学校のママ友にまで注意喚起するとは思わなかったけどさぁ。

突き飛ばしたりしたのは本当じゃん?しかもウチだけじゃないし。そもそもさ、そのママ友の子ってうちの子の前のターゲットでしょ?そりゃいいふらすって。

え?今の学校でも噂が広まってて肩身が狭い?知らんがな。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


あー父になんて報告するかなあ、婚約破棄は既定路線としてこれだけのトラブル、あの狸親父殿が穏便に済ませるなんてないよなぁ。

エステルはどうでもいいんだよ。アイツはわかってやってることなんだから、自分の不始末は自分でつければいい。けどね、セリン、彼女のお母さんは本当によくやってくれたのよ。早くに亡くなった私の母の代わりに良く甘えさせてもらったから。彼女に累が及ばない方法なんてあるかなぁ。

そんなことを考えて眉間に皺を寄せながら自宅まで馬車に乗っていると急ブレーキ。

油断していたからか頭を強かに打ちつけて。

そして思い出した。前世のことを。

木田のやつ、許すまじ!ってもう前世のことか。

あー!!ただでさえイラついてるのに余計に腹立ってきた!


…とはいえあの時は息子のことだった。代わってあげられるものなら代わってやりたい、と毎日のように心を痛めていたことを考えたら。

婚約者のことも、浮気相手のことも。

自分の裁量でどうとでもできる人たちのことなんか些細な問題だと思えてきた。


そうだよ、あの時は監視カメラもない教室でのこと。証拠なんてないでしょ?へ?同級生の証言?子供の証言なんか誰が取り合うのよ。

なんていう余裕こいた暴力教師と校長と戦ってたんだから。

私は侯爵令嬢。婿入りしてくる伯爵家の四男とハウスメイドなんか片手で弾き飛ばしてやる!







誤字報告ありがとうございますました!

あれだけみてもあるもんですね…助かります。

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