表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちょっとは疑ってみましょうよ。  作者: ハシドイ リラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/11

あれからずいぶん時が経ちました。

一旦完結にしたんですけども、他の連載との繋がりを持たせるために1話追加しました。

だからちょっと中途半端な感じですけど、この連載の最後にくっつけてます。

良かったら新しい連載の方もご覧下さい!


その日、私は頭を抱えていた。


もう5年だ。ソルビタンは5年も愚直に自分のしくじりを人に伝え続けている。

奥様のマーラー様もそうだが、あの2人はなぜあんな忘れてしまいたい黒歴史を毎年毎年面白おかしく話すことができるんだろう?


…いや、ソルビタンの考えは予想もつかないほど浅いのかもしれない。"なんも考えてなかったー"って言われてもやっぱりそうか!と指差して言ってしまいそうだ。


「いやいやソルビタンはどうでもいいのよ。」

ふと漏らすと

「なんだか妬けちゃうなぁ。他の男のことを考えてたんだ。」


全然妬いている気配の無い、にこやかな顔で第二王子から夫になったエピナッチが話しかける。


「他の男って!貴方はソルビタンと同列でいいの?」


「えっ、確かに同列はヤだなぁ。でもさ、奥さんの口から他の男の名前が出るのもヤだよ。しかもずーっと考えてたみたいだし。」


もう20年ほど一緒にいるはずなのに、そう言われると悪い気はしない。


「もう!そんな話じゃないのよ。…私が彼のことを"しくじり先生"なんて呼んじゃったじゃない?実はね、エステルも同じことを言ってたらしいのよ。貴方に前に言ったことがあるでしょう?私には前世の記憶があるって。」


「ああ!あの不思議な記憶のことか。エステルにもあるということなのかい?」


「ううん、本当のところは私にも分からない。だって直接聞いたわけじゃないし。…彼女とわざわざそんな話をする気もないわ。だって、彼女のあの頃の性格を考えたら。」


前世はめっちゃヤなヤツだったに違いない!


「確かに。楽しい思い出話ならともかく、極悪人だったりしたら目も当てられないよね。ん?じゃあ何に悩んでるんだい?」



そう。私は悩んでいた。たまに"あれ?この人前世の記憶があるんじゃないかな?"って思うことがあったのだ。

ただ、公言している人なんて見たことないし、その人が黙っているなら敢えて触れることもないかなあと思っている。前世仲間のようなものが欲しいわけでもないし。


「エステルの前世は割とどうでもいいの。彼女が良い人でも悪い人でもどうでもいいのよ。」


「ただね、こんな近いところにいるってことは前世を覚えている人ってもっといるんじゃないかな?って思って。」


「もっといるかもしれない?それは良いことなの?悪いことなの?」


「そうねえ。場合によっては"良いこと"かもね。私やエステルは前世の記憶があったっていってもおそらくこの世界に影響を与えるような事はないのよ。」


「でも、君の記憶のおかげで公衆衛生っていう概念ができたじゃないか。」


「あんなの基本中の基本よ。手洗いうがいなんて、私が言い出さなくても誰かが言い出したはずよ。10年ほどみんなが意識するのを早くした程度ね。」


「ただね、私たちと違ってもっと理系的な考え方の人間が前世の記憶を持ってたら話は違ってくるのよ」


そうだ。この世界にはまだ電気もガスも何もない。動力装置なんて水車がせいぜいだし、移動なんて馬やら牛やらに頼っている。

電車やら自動車やら飛行機やら、この世界の人間だけの知恵しかなかったら実現するのなんて何百年、いや実現する事がないかもしれない。

そこに、前世の記憶ーー機械工学やらインフラ整備やらに精通した記憶ーーを持つ者が現れたら。一足飛びに文明が進むだろう。進むだけなら良いけど、それで一国だけが進化のスピードを上げてしまったら。

どんな争いの種になることか。


まあ、これはあくまでも最悪のシナリオってヤツだからね。そこまで考えることもないのかな。


色々と思いを巡らせてみたが、なんだかよく分からなくなってきた。

とりあえず難しく考えるのはやめて、次世代以降に丸投げする方法を考えるか。

私には私のできる範囲でより良い世界を作れるように頑張ろう。


「ねえ貴方。私久しぶりにテルニアに会いに行こうと思うの。付き合ってくれる?」


テルニアは長い間私と一緒に仕事をしてくれたのだけど、8年ほど前お父上に健康上の問題が見つかったの。

手放すのは惜しい人材だったけど、家督を継ぐまでという条件だったから泣く泣く送り出したわ。

今彼はグアイフェネシン伯爵として立派に家を盛り立てている。

…そして彼は多分、前世の記憶がある。薄々そうじゃないかと思ってて、それは多分彼も同じ。お互い黙っていたの。敢えて踏み込まないというスタンスも同じだったから、仕事はやりやすかった。

お互い踏み込まないし薄々感じる程度だったけど、前世的なタスク管理を暗黙の了解としていたから、いろんな意味で仕事はやりやすかった。


それでも踏み込む勇気はなかったのよね。


でも、今の時点で3人ほど。もしかしたら?という人が出てきたんだもの。ビジネス上信頼ができる相手に相談するのはきっと良い手よね。

彼にも今後関わってくるかもしれない事だし、少し相談してみましょう。






こちらはあと1話、前世の記憶のありなしの考え方と、今までに出てきた登場人物の紹介などをして完結とする予定です。もうしばらくお待ちを!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ