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Ep26.「一期一会と彼女」


ひんやりと冷たいドアノブ


僕は、それをゆっくりと回しその向こうへ踏み込んだ。



身を裂くようなほど強く冷たい北風、僕らの髪とブレザーがなびいた。


「ったく、遅い。寒くて凍えそう……」


背の丈くらいはある緑色のフェンスを背に先輩はゆっくりと振り返る。

その目の先に伸びる影の数が多いことに気付くと先輩はホコリの付いたフェンスに構うことなく、ドサッと寄り掛かってこっちを睨みつけた。

ちらちらと愛ちゃんと三上さんを見たのがわかる。たぶん本人たちも。


「へぇ、モテ男は大変みたいね。」


その一言は吹きつける風よりも冷たく冷え切っていて僕は、背中に嫌な感覚を覚える。


「いや、これはその……」


口ごもった僕をさえぎって、三上さんがいつもと変わらない口調で向き合った。


「こいつが先輩になにか卑しいことをしないか、見張りに来ただけです。」


えぇ……それ、ホントだったんだ。

乾いた唇がパリッと音をたてて切れた。


「ふぅん。じゃ、そっちの子は?お昼にもあったけど。」


あ、と愛ちゃんは硬直すると二度三度大きく瞬きをした。


「わ、わたしここの掃除当番なんです!」


え?


三人の視線が集中する。

それに耐えかねたのか、彼女は苦笑いを浮かべると無理やりな笑い声を発した。


「へえ。なら早くお掃除した方がいいんじゃない?」

「あ、はい。」


先輩の威圧に押されたのか、愛ちゃんは端に置かれた掃除具入れに力無く歩み寄る。


「ほら、見張りの子もこんなに近くで見張らなくたって良いでしょ?園崎君がなにかしようとするなら、思いっきり叫んでやるから大丈夫よ。」


無言で頷いた三上さんは、愛ちゃんの方へ歩み進む。


「ふぅ、これでやっと邪魔がいなくなった。それにしても、君も相変わらずね。」

「そ、そうですか。あははは……」


て、どういうことだ!?


顔が酷く強張っているのが自分でもわかる。

そんな僕の表情をまるで楽しむかのように、先輩は嬉しそうに笑う。


「そんな顔してくれるなんて、こんなになるまで頑張ったかいがあるってことね。」

「あの、前にどこかで?」


風で乱れた前髪を手で器用に直し、悪戯じみた笑みを浮かべると先輩は妙に懐かしみのある口調ではぐらかす。

茶色がかった瞳が揺れ、黒く強調された瞼が閉じる。

そのどこか幼げな、寝顔にも似た表情が僕の記憶を激しく揺さぶる。


この人を知っている。

頭のどこかにそうささやく自分がいた。



ぎたえん☆「一期一会と彼女」は、この26話で一旦終わりですっ


この続きは

ぎたえん☆2で!笑


まずは、巧の中学時に起きたある事から始めたいと思います∀`


先輩と巧は、一体どんな関係なのか!


そして、巧がなぜ一歩引いた行動をとるようになったのか?




ご期待くださいっ笑


でわでわ




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