第11話「評価と応援要請」
鎧騎士撃破から二日。
警察庁のダンジョン対策課、その合同任務指令室に入ると、妙な空気を感じた。
視線が集まってくる。机に向かっていた隊員たちが、ちらりとこちらを見る。
「おい、あれが……」
「第五層で鎧騎士を落としたチームらしい」
「しかも防具越しで仕留めたって……本当か?」
噂はもう全員の耳に入っているらしい。
俺は少し戸惑いながら、指令盤の前に立つ榊原と合流した。
「真、昨日までは完全スルーだったのに、今日は人気者だな」
「……あまり慣れない」
「慣れろ。実績は組織内での信用に直結する」
そこへ、通信担当の巡査部長が駆け寄ってきた。
「第五層で活動中の合同B班から応援要請です。金属系モンスターに手こずっているとのこと」
説明によれば、相手はアイアンスケイルという金属質のトカゲ型。斬撃も銃弾も通りが悪く、戦線が膠着しているという。
「こちらから増援を出す許可が下りました。……真さんのスキル、防具越しでも有効なんですよね?」
「ええ。現場に案内してください」
すぐに支度を整え、現場へ向かった。
指定された側道では、アイアンスケイルの群れが蠢いていた。
斬撃は弾き、銃弾は甲殻に浅くしか食い込まない。
だが――。
「面っ!」
竹刀の一撃が甲殻越しに有効部位を叩き、スキルが発動。
アイアンスケイルはその場で崩れた。
「……一撃で落ちたぞ!」とB班の隊員が驚きの声を上げる。
榊原が援護射撃で道を作り、水無瀬が残数を即座に報告する。
俺は次々と有効打突を決め、群れを削っていった。
十分足らずで制圧は完了した。
「助かりました。こちらは半日膠着してたんです」
B班の班長が握手を求めてくる。
「やはり、防具越しでも通る攻撃は貴重です」
指令室への帰路、水無瀬が端末を見ながら呟く。
「やっぱり、この能力は通常モンスターにも有効ですね。かなり特殊ですよ」
「剣道では当たり前なんだけどな」
「その“当たり前”が、こっちの現場じゃ非常識なんです」榊原が笑う。
その時、指令室から緊急通信が入った。
『至急、出動要請! 第六層で探索班が消息を絶ちました!』
俺たちは顔を見合わせた。
次の任務が、もう待っている。




