ありがとう
***
気を失う前のこと、うっすらと覚えているのは…クスが俺の名前を呼んでいたこと。でも、その時の俺にはもう意識がなかった。
(クス、大丈夫かな…?)
そんなことを思いながら、俺の意識は完全に闇に落ちた。
……
「目、覚めたのね……」
ふと、誰かの声が耳に入る。目を開けると、見知らぬ部屋の天井が見えた。まだ頭が少しぼーっとしてる。
「まだ起き上がらなくてもいいわよ。無理すると立ちくらみするかも」
「は、はい……」
反射的にそう答えたけど、なんか変な感じだった。しばらく静けさが続いた後、女性の先生が話しかけてきた。
「次からはあまり無茶しちゃダメよ。危ないわよ? お友達があなたを保健室まで運んでくれたの。制服もちょっと破れてたし」
先生の話を聞きながら、徐々に記憶が戻ってきた。あのとき、確かに何かにエネルギーを吸い取られた感じがして、そのまま意識を失ったんだ。ってことは……クスが助けてくれたのか。
(……でも、まさか“魔力にやられた”なんて言えないよな)
「はい、次から気をつけます」
そう言ってベッドから起き上がる。でも、その時ふと気がついた。
(あれ? 今の俺って……女の子の姿じゃん!? 先生に『はい』とか言っちゃったし、大丈夫か……? トランス男子と思ってくれてたらいいけど)
保健室を出ると、もう放課後だった。そんなに長く寝てたのか……。
すると、保健室の前にクスが立っていた。どうやらずっと待っててくれたみたいだ。
「ビウ、起きたんだ。大丈夫?」
「うん、もう大丈夫だよ」
でも、何が起きたのかはまだ全然わからない。そう思ってクスに聞こうとしたとき、彼がふと優しく微笑んだ。
「えっ……クス、なに? その笑顔、なんか……変な気持ちになる」
自分でもびっくりするくらい顔が熱くなった。なんでこんな反応してるんだ俺。
「はは、ごめん。ただ、無事でよかったって思って」
(……クス、その笑顔、なんだか見てるとドキドキするんだけど……)
そんなことを考えていたら、もう帰る時間だった。けど、どうしても気になる。
「クス、あのときのこと、教えてくれない? 気を失ってた間に、何があったのか」
「うん、いいよ。どこか座れるところに行こうか」
/ぐううう/
お腹から音が聞こえた後、すべてが静まり、電子レンジが温めている音と、スープを作っている鍋の音だけが響いた。クスは小さくクスクスと笑っている。
「ちょ…ちょっとお腹すいたかな。」恥ずかしいな。
クスがすべての準備を終えた後、僕たちは夕食を食べ始めた。この食事はなかなか美味しい。クスが作ったスープは本当に美味しい。
「クス、このスープすごく美味しいね。どうやって作ったの?」
「これは僕の祖母のレシピだよ。もし欲しいなら、今度教えてあげる。」
「はああ、お腹いっぱいで美味しかった、本当にありがとう、クス。」
「気にしないで、僕は喜んで作るよ。」
「ビュ、君は知ってる?」
「何を?」
クスは少し黙った後、続けて言った。
「僕たちが並行世界に行く方法は、寝ることだよ。」
「そうなんだ、他に寝なくても行ける方法はないの?」
「うーん、どうだろう。あるかもしれないけど、僕は知らない。」
お腹がいっぱいになると、なんだか何も考える気力がなくなってきた。話を聞いたり、他のことをするのも面倒に感じる。でも今はお風呂に入りたいな。「クス、タオルと服を借りてもいい? 何も準備してなくて、泊まることになるとは思わなかったから。迷惑かけてごめんね。」と僕はクスに頼んだ。
「いいよ、気にしないで。」クスは言った。その後、僕は更衣室に行って服を脱いだ。制服の上着を脱ぐと、胸元や袖が破れているのが見えた。かなり傷んでいる。次にパンツと制服を脱いだ。鏡を見ると、何も着ていない美しい女性の体が映っていた。成長しきっていない部分もあり、足がしっかりしていて、肩は華奢で、ウエストやヒップは美しいラインを描いている。この体は本当に美しい。
「つるつるだ…」僕は思わず言って、鼻血が出てきた。
だめだ! 感情が高ぶるのを抑えなきゃ! 今日は心を落ち着けに来たんだ。こんなことしてる場合じゃない。落ち着いてから、僕はお風呂に入る準備をした。でも、女性の体でおしっこをするのは初めてだから、どうしたらいいか分からない…
*??の視点*
あの時、先輩たちはビウにどう言ったんだろう。ほんと、ひどい言葉だな。こんなことを言われたら、ビウもかなり落ち込むだろうな。彼はまだ目を覚ましたばかりなのに、こんな言葉を耳にするなんて。誰だってこんな言葉を聞いたら、嫌な気持ちになるよね。ビウは今、どうしているんだろう。私は机の上のものを片付けながら、そんなことを考えていた。
「ふあ〜、すごく気持ちいい!君の家には冷水器があるんだね?すごい!」 ビウがバスルームから出てきて、タオルを腰に巻いているだけで、上半身は何も着ていない。濡れた体が目の前にあって、なんだかドキドキしてしまう。
突然、自分でもびっくりするくらい、体の反応が出てきてしまった。
「い…硬くなってる…」 私は台所に向かいながら、思わず声に出してしまった。その声、ビウにも聞こえたかもしれない。
「え…あ、あの、ごめん!ちょっと、忘れてた…」 彼は顔を赤くして、慌てた様子で謝った。
私は自分の感情をどうにも抑えきれなくなり、ビウに近づいていった。ビウは慌ててタオルを胸に当てようとしている。
「ごめん、ビウ。でも今、どうしても我慢できないんだ。」 そう言いながら、私はビウに手を伸ばして、思わず触れてしまう。
*ビウの視点*
「ク…クス、や…やめて、これ以上続けたら僕は…もう耐えられないよ…」
でも、僕が頼んでも、クスは止まらなかった。彼はまだ僕をしっかりと抱きしめて、僕に触れ続けている。
「お願い、クス、やめてくれ…」
僕は震えながら声を出し、体中が震え始める。涙が溢れ、力が抜けていくのを感じながら、静かな空気の中で二人の息遣いだけが響いている。しばらくして、ようやくクスが僕を離した。
「ごめん、ビウ…」
クスが謝ったけど、僕は何も言えなかった。僕は黙ったままで、これは夢なんじゃないかと思う気持ちが頭の中をぐるぐる回っている。でも、その考えを振り払う間もなく、クスが僕の耳元に近づいて囁いた。
「ここで止まるつもりはないよ。」
待って、でもその声…クスの声じゃない?
僕がそう思っている間に、クスは僕を自分の部屋に運び、僕はまだ体が濡れたままだった。
僕はクスのベッドに横たわり、クスは上に乗っている。彼は学生服を着ていて、ボタンは外れているけれど、ズボンは履いていなかった。
そしてクスは僕に少しずつ手を伸ばし、僕を撫で始めた。しかし、僕はその感覚を楽しむことはできなかった。
「ガシャッ!」
ドアの前から音が聞こえ、そこに立っていたのは、風の力を使う男だった。彼の手には風のような「風の鉄鎖」が見え、服は乱れ、僕と同じ学校の制服を着ていた。
「風の鉄鎖、風の鉄鎖だ!」
外に立っているクスは、僕が知っている特別な力、風の力を持っている。だけど、突然、僕の上にいたクスが大きなオークの姿に変わり、僕から飛び退いた。その瞬間、風の鉄鎖がオークを打ち、彼は倒れてしまった。
「くそっ!あと一歩で成功だったのに!」
その後、オークはすぐに消えていった。
「ビウ!無事か?」 クスが心配そうに尋ねる。僕はベッドから飛び起き、力なく彼に飛び込んだ。何も着ていなくて、体力もほとんど残っていなかったけれど、ただクスに抱きつくことしかできなかった。
涙が自然に流れ出し、安心と恐怖が入り混じった感情が込み上げてきた。
「怖かったんだろう…もう心配しないで、ビウ。僕がここにいるから。」
「本当に怖かったんです、クス…これが現実だなんて信じられなかった。もう僕を置いて行かないでください…」
僕は涙を流しながらそう言った。
「大丈夫だよ、ビウ…もう怖がらなくていいんだ。」 クスは優しく僕の頭を撫で、僕を安心させてくれた。
私、kuzagi2007Xです!みんな、第三話で再会しましたね!実は、これからもう2、3話くらい投稿する予定です。読んでくれて、そして気に入ってもらえたら嬉しいです!Xプラットフォームでも私はkuzagi2007Xなので、ぜひフォローしてくださいね!




