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神の童  作者: 飛 雪兎
2章 異世界の平和な生活
8/9

第8話「午後の生き方」

 …暇だ。


 トビ先生の授業を受け始めて半年くらい経った。

 だが…

 トビ先生の授業は午後まで続かないし、だからといって特にしたいことがあるわけでもないし、何か特に大きく自分が変わったりしたという感じがする訳でもない。

 強いて言えば、ミレイが徐々に話してくれるようになったことくらいだろうか。


 …うん、暇だ。


「アル、もしかして退屈してる?」


 午後は部屋でゴロゴロし続けている俺を見かねて、ついにアルベルト兄が話しかけてきた。


「ものすごい暇です、この暇つぶしを教えてほしいです」

「僕、暇つぶしはあまり知らないから教えられないけど、普通の学問なら教えられるけどどう?やる?」


 そう言えば、計算は元々できたから良かったけど、この世界の一般常識とか知らなかったな。

「やる!」

「じゃあこれからは、トビ先生の授業が終わったら、この書斎に集合ね?」

「おけです」


「おーおーおー、何俺抜きで楽しそうな話してんだ?」

 アノス兄も来た、なんだか面倒くさそうな予感…


「なあアル、剣術興味あるか?」

「えっと…剣術ですか…」


「ほらアノス、剣術には興味ないって。第一、アノスは来年から特待入学の大学だったはずじゃなかったかな?」

「それまでの話だって、なあアル、剣術は生きる上で大事だぞ?興味あるよな、な!」

 圧がすごい…どうして毎度喧嘩みたいになりがちなんだこの兄達は…


「えっと…まあ嗜む程度で知りたいかなぁ…って?」

「ほら!アルベルト、これで文句ないだろ?」

 なんか、だいぶ無理矢理言わせた感が凄いけどこれはアルベルト兄的には大丈夫なのか?


「…仕方ない。なら1日ずつの交代でやるぞ…」

「それでよし!じゃあ今日は俺の番なー?」

「えっ?それはないだろ最初に言ったのは僕だけど?」

「いーや、俺が最初に決めたから俺の番だ!」


「アノスー?ちょっと来てくれ!」

 ここで父さんからの妨害だ、これはアルベルト兄に軍配だな。

「んじゃ、そういうことでいってらっしゃい」

 アノス兄はトボトボ部屋を出て階段を降りて行った。


「じゃあ、今日は何をやるんです?」

「…まあ今日というか、これから長い時間をかけて地理か歴史を全部やるか、数学についてかな〜」

「それなら、地理がいいです」

「よしわかった。地理をやるぞ!じゃあ、教材作ってくるから1時間くらい待っててくれ」


 アルベルト兄さんって教師目指してる感じなのか…?


「アル、できたぞー!」

 割と分厚い本が2冊、そこにはあった。表紙には〔地理全集〕〔歴史全集〕、そしてミリア大学と書いてある。


 ということは…?これから俺は小学生レベルの年齢で大学(現世だと高校)のやつをやると。なるほど、どうやらアルベルト兄は歳というものを知らないらしい。


「じゃあ早速始めるんだけど、まず僕らのいるこの国の名前と首都は?」

「ヴィリオン皇国で帝都イスファルです」

「よし。じゃあ周りの国も同じようにいこう」

「グレカニア帝国で帝都ゼム、ミリフィリア共和国が政府指定都市圏ロンクリアス、セルファーランド連邦がレクルワです?」

「そうそう!すごい!」

 アルベルト兄の授業はわかりやすかった、地名とかの基礎から、ちょっとずつ応用も入れていく。本物の教師のようだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「アル、夜更かしでもした?」

 次の日の朝、速攻トビ先生にバレた。

「はい、日は跨いでおりませんので影響は少ないと思われますので大丈夫です」

「いやだから大丈夫じゃないんだって、アル自分が何歳かわかってる?これから成長期だよ?大人しくちゃんと寝とけよまじで、チビになってもいいならいいけど」


「…すいませんでした」

「わかったならよろしい」


 ここまで一緒に過ごしてきてわかったのだが、トビ・フォルトゥナーデという1人の人物は、とても世話好きで教えるのが上手、気さくで優しいのだ。

 強い人は性格が悪いという個人的偏見もあったが、これがうまい具合に覆された。


 今日も、俺は授業を受けている。毎朝魔力錬成から始まり、先生直伝の魔術や戦術を学び、2人で戦うことで実践する、アクティブラーニングといったところだ。

 お陰で、ミレイともよく話せる。


「最近のアル、どんどん強くなってきてない?」

「え?そう?」

「うん、前まで引き分けだったのに今は勝てないもん」

 そう。

 最近の週一の模擬戦は俺の4連勝で、授業でのちょっとした実践でも勝ち続けている。ありがたいものだ。


「まあそれも先生の指導の賜物だしね、感謝しないと」

「たまもの?」

「賜物っていうのは、いただいた物とか、結果でできた良い事とかだよ」


 ミレイといえば、彼女は同年代の子供の中で1、2を争えるほどの頭がいいし、身長もなんとなく高いような気がする。

少なくとも俺よりは高い。


「夜、一緒に勉強していい?」

 ミレイは基本トビ先生といるが、時々遊びに部屋に来るので、午後授業については知っている。


「ということなんだけどアルベルト兄さん、いいかな」

「大歓迎だよ、こっちとしては生徒増えて嬉しいし!」

 …兄は教師の才能に目覚めている、こりゃ将来の職場が見つかったかな。


 …というわけで、今日の午後からはミレイも兄の授業を受ける、もちろんアノス兄からも誘われてたが綺麗さっぱりと断っていた。

 ちなみに、アノス兄はあと3ヶ月と少しでこの家を出る。

大学の寮で暮らし、剣術を磨くとのことだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「南皇洋!」

「おー!すごいすごい!アルより後に始めたのにこんな早く覚えるとは、こりゃ勉強に関してはアルより天才かな」


 ミレイは正真正銘の天才だ。勉強するようになって1ヶ月、あっという間に俺のレベルにまで追いついた。

 一応基準だが、これは大体小学3年、9歳くらいの内容?

である。…まあ俺達はまだ7歳半くらいだが。


 …南皇洋とは、ヴィリオン皇国が面している海である。世界最大面積の国、セルファーランド連邦。国力世界一の国、グレカニア帝国。など、なかなか危険な地域だ。その中心の半島に、このヴィリオン皇国、俺達の故郷がある。


 まあ、こんな風に学んでいく毎日が、今は続いている。

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