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神の童  作者: 飛 雪兎
2章 異世界の平和な生活
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第3話「魔術の目覚め」

「5歳〜おめでとーう!!」


 今日は俺の5歳の誕生日だ。というわけで明日が人生初の遠出だ。

 正直この家から出たいとは思っていないのだが、恐らく強制なので仕方ないだろう。


「5歳になったアルに〜皆からプレゼント!」

 やけに長い箱のプレゼントをもらった。中身は……魔法の杖!それも高そうな緑の宝石がついたものだ。

「ありがとう!兄さん、母さん、父さん!」


 見かけよりも随分と軽く、身の丈に合わない杖だ、おそらく15歳あたりが使うべきな長さではないか?

 それよりも、この杖は値段が凄そうだ。


 杖の先には緑色の宝石、、エメラルドのようなものだろうか。それを地球儀についてる支えみたいな形で囲んでいる木?どう見ても木らしくないがきっとそうなのだろう。


「この杖、どのくらい高いの?」

 問いかけてみたが、父さんから案外簡単に返ってきた。

「それは…家の倉庫にあったものを少し改良したんだ。だからお金はほとんどかかってないよ。」


 少し意外だった。

 まずまずこの家に倉庫があるのすら知らなかった。


「あとこれ、留学中のマーシャからのね!」

 母から渡されたのは小さめの段ボールのようなものだった。

 厳重に包まれた包装を少しづつ、丁寧に開ける。すると、中から見えたのは、一冊の本だった。


「その本、書いたの誰だと思う?」

 ?

 そんなのその辺の学者じゃないのか?


 著者…………!

『マーシャ・F・ボアロック』

 

「これ、姉さんが書いたの!?」

「そうらしいよ〜。だから後で手紙でも送っときなさい?」

「そりゃ勿論だよ、母さん」


 留学中の姉が送ってくれたのは、彼女の研究成果を著した魔導書だった。中身は土魔法、まだ俺の知らない第8級に当たるものも見当たった。


「こりゃすごいや…!」


 誕生日会は長く続き、それはもうとにかく楽しみに楽しんだ。


 その夜、以前初めて使った魔術で爆発を起こして以来の魔術の実践をしようと、貰った杖を持ち、少し外へと出た。

 魔導書はって?

 そんなものはもう必要ない。家にある本の内容は全て記憶した。


 全てとは言ったが、もともとこの家には7冊しか本がない。今回姉から送られてきたのを含めても8冊だ。

 ましてや漫画のような本なんて全くない、辞書のようなものだけだ。


・皇領風土全集

この国の歴史と地理の辞書みたいなものだ。現代でいう社会科の教科書といった感じだろう。


・基礎魔術とその応用I・II・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ

俺はこの5冊で魔術を第10級から第3級まで学んだ。この世界の一般的かつ高度な教科書と親も言っていた。


・世界の言語〜基礎・日常会話編〜

色々な種族や国の言葉を知れるが、この世界には公用語があるので特にそこまで用途はなさそうな気がする。


 転生直前、ある程度は神に話されたが、これらのお陰でだいぶ世界に詳しくなれたようで嬉しかった。


 特に魔術に関しては理科に近いような感じで、勉強していて面白かったし、とても便利だと知れた。でもやはり法則があるらしく、面倒な一面もある。


 まあせっかくなので、紹介しよう。


1、魔術と魔素は等価交換


 魔術を使うにあたって、使う人は自身の「魔素」を消費して魔術を繰り出す。

 使う魔素は魔術の威力や大きさによって比例の様に変化するが、使い切ってなくなると魔術は使えなくなる上気絶するため、要注意だ。


2、魔術発動での詠唱と魔法陣


 魔術は詠唱して魔法陣を開く!というイメージがあったが、決してそんなことはないとのこと。


 基本的に、魔術は自身の脳内で想像、イメージすることによって発動できるため詠唱やらは必要ないが、発動時にこれらを使うと威力が上がるらしい。


3、魔術師と装備品


 結論から言うと、杖はあったほうがいい。何故なら杖は自身の魔素を集める役割をしていて、より効率よく消費されるようにしているからだそうだ。


 杖にも種類があり、魔素を集める媒体とするもの?宝石?がより高度に精錬されたものほど質の良いものになる。しかし、それに杖の長さは関係が全くないため、誰も気にしないらしい。


4、魔術の種類


 ・攻撃魔術

 ・回復魔術

 ・結界魔術

 ・空間魔術

 ・召喚魔術


 基本はこれら5種類の属性?タイプ?があり、それぞれ第1級から第10級までの級があるほか、これに加えて個々が持つ強力な「固有魔法式」は、自身がこれに開眼すると使えるようになるらしい。


5、魔術と魔法の違い


 魔術は人によって式化、解明されたもので、全ての人が扱うことができるもの。

 魔法は「固有魔法式」のように全ての人が扱えないものや、まだ式化や解明がされておらず、特定の人、物しか扱えないもの。


 ちなみに新しく魔法を式化して魔術にすることがあれば、協会から賞金が出されるとか。それも高額の。


6、魔術師のレベル

 魔術師は冒険者ギルドか魔術協会で試験を受けるか、師匠をもってその人に認めてもらうかで自身のランクを位置付けることができる。


 強い方から、真級、一級から十級となっており、最も上の真級の中には『序列』というランキングがある。

 人族の最強は序列3位のトビ・フォルトゥナーデというらしい。現序列1位はエルフなんだと。


 …ざっとこんなもんだ。


 正直、こんなの覚えなくても良いかなとは思ったが、ついつい乗り気で覚えてしまった。まあいつか役に立つだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は杖を構える。

 自分の魔素量やらステータスやらは教会に行かないとわからないが、正直怖い。

 今まで何度もやってみようとはしたが、以前の爆発事故がフラッシュバックして結局してこなかった。


 でも、今日は違う。

 今の俺には杖がある。家族からの贈り物の杖。そしてこの魔導書の丸暗記を終えた脳もある。


 …きっと、…大丈夫…、…きっと、できる…


 脳内でイメージする。その瞬間に杖の方に魔素が流れる脳な感覚がした。


 …使うのは、第2級でいいだろう…


 ふぅ。

 俺は深く息を吐いた。大丈夫、落ち着いたる。


「…ファイアーアロー」


 杖の先に、赤く光る矢の形をした炎が現れ、銃のような速さのスピードで飛んでいった。それは木を貫き、奥の岩を燃やしていた。


「……できた…。できた!!」

 とにかく嬉しかった。

悲願の異世界転生を成し遂げた上に、魔術まで使えるようになれるとは!


「…よし。ちょっともう少し強いのも……!」

 気分が昂っていて調子に乗っていたのは自覚できた。だがそれ以上の喜びと期待で胸が熱くなった。


 自室から、姉の書いた魔導書を持ってきた。

 ざっと今読んでみる。まあできるだろう。


 また杖を構える。

 次は、今ある知識の中で最も強い第8級の土魔術。

それに、詠唱と魔法陣をつけたそう。


「…大いなる地の神よ! 今、我に力を与えたまえ!かくて、その力でこの大地を動かしたまえ!」

 ヴォン!

 突如足元に大きな魔法陣が現れる。よくラノベやアニメで見かけるようなやつだ。

「…赤き土よ、黒き岩よ、鉄槌として舞い上がれ!

…フォーススフィア!」


 杖の先から赤く光る球体が飛び出し、それに周りの地面やらが周りに集まっていった。それはまるで、ブラックホールに吸い込まれるかのように浮いていた。


 魔導書によると、本来ならアレが飛んでいき、周囲のものを寄せ付け、有機物は吸い込んで最後は爆発するらしい。

 要するに、失敗だ。


 今回は倒れていない。魔素は切れなかった。

 でも、やり切った感からどっと眠気が襲ってきた。

俺はそれを放置してすぐに自室に戻った。


 ベットに入ってからというもの、羊を数える間もなく眠りについた。

アルークスたちのいる国は、『ヴィリオン皇国』といいます。また、世界的にみると新しめの国で歴史は浅い方ですが、国土は立場上日本のような国です。

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