79話 幸福感M
『ドラゴニュートのエナがテイム可能です。テイムしますか』
はい。
『ドラゴニュートのエナをテイムしました。ランクが【C+】になりました。類似種族のテイム……スキルの共有可能確認中。……。……。……。身体調理が共有可能。共有を完了しますか?』
はい。
『共有が完了しました。ドラゴニュートとの親和性の高さからその特性を反映可能。……。……。……。スキルスクロール作成スキル【クリエイトスキル 】を取得しました。基礎身体能力の値を反映しました』
あっさりエナをテイムできたのは嬉しい。
新しいスキルも。スキルの共有も。身体能力も。
でも、 ここ最近不真面目なアナウンスばっかり聞いてたから違和感が凄いな。
いや、真面目なのはいいことなんだけどさ。
こう、もの足りないというかなんというか。
『スキル【仲間Mっ気】を取得しました。一部の仲間からの死なない程度の攻撃、痛みが快感に代わり異性から1歩引かれる体質になりました。あ、これも喜んじゃうのかな、この豚さんは』
前言撤回。
下手なことは言わない方がいいな。
ノリノリで豚とか言ってきたよこのアナウンス。
ただ……それ本当に取得したスキルじゃないよね?
流石に嘘だよね?
『信じるか信じないか、それはあなた次第です。ちなみにステータス画面には基礎身体能力同様記載はされません』
都市伝説みたいな言い回し……めちゃくちゃ気になるんだけど。ちゃんと教えて欲しいんだけ――
「――あの、これからよろしくお願いします」
「あ、ああ。よろくしくな」
アナウンスの言葉にモヤモヤを残しつつ、新たに仲間となったエナに挨拶。
わざわざ膝を着く仕草とか、こうして見ると元々長に使えていたからか、誰かの元で働くみたいなのは様になってる。
上っ面は美人秘書みたいな感じ。
「それでその、テイムされたお陰で私もスキル使えるようになったみたいだから今の料理教えてもらえたらなーって。一応レシピが分からないと使えないみたいだから」
「……。そしたらさ、エナもうちの料理屋手伝ってもらえないかな?そうしたらスキルでできた料理、まぁ俺が作るよりもちょっと劣るけど、簡単に作れるようになるし。集落に食料持ってく役は他にもでき――」
――じーっ
冷ややかな視線。
お前も長みたいになるんじゃないかっていう疑惑の視線。
「ちっ。スキル覚えたし、ランクも上がったし、ミノタウロスは自分で倒せる気がするし、もうテイムのメリットなんてあいつらをあんたたちの食材と料理使ってざまぁする以外ほぼないのに、こうして下手にでてあげれば……。はぁ。あなたも……。あんたも長と同じなのかしらね?この豚野郎」
テイムして強制的に打ち解けたからかな?
このSっ気……本性が漏れ始めてる。
ざまぁしたいとか、仲間を困らせたいとか、変だ変だとは思ってたけど……あれがピークじゃなかったってことか。
なるほどなるほど……。
これはこれは、実に嬉しい誤算……。
……。ん?嬉しい?俺、今……。
「め、滅相もない! 俺は、私はただエナに、エナ様に美味しいものを作れるようなると提案しただけであります! 誓ってこの豚である私めがエナ様にそんなそんな無礼なことするわけが――」
「へぇ……。ふふふ。なら誠意を見せなさい! あんた、私に料理屋を手伝って欲しいならそれ相応の頼み方があるでしょ!」
「ははあっ! エナ様! どうか私の料理屋を手伝って下さいませ! それでもってですね、その対価としてこの身を……」
「ふふ。分かってるわ。……って、私なんかおかしい。もしかしてこれがテイムの強制力!? 駄目! 身体が勝手に!」
――バシっ!
「ひゃっほおおおおおっ! じゃなくて……ああああああああっ! ありがとうございます!」
「ぺ、ぷ……」
「なるほどね。そういう趣味があったから私になびかなかったってこと……。難しいけど、頑張らないと……」
……。
違うんです! 全部スキルの影響なんです!
おいおいおいおい! 本当に激ヤバスキル取得してたんですけど!
これじゃあどっちがテイムされたのか分からないじゃないか!
『うっわっ……。あ、それオンオフの切替できるから。でもリキャスト1週間。初回は私がオンにして……オフにできるのは1週間後ですね。てへ』
てへ、じゃねえよ!
物足りない? もの足りすぎだろ!
「それじゃあ一旦このまま集落へ! 行くわよこの豚野郎!」
「ぶひいっ!」
くそ、屈辱的なのに幸福感が半端ねえよ。
お読みいただきありがとうございます。
モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。




