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76話 ドラゴS

モンスターの身体が破裂したのだから血が飛び散るのが普通。


 そう思ったけど、破裂したミノタウロスの腹からはべっととして透明な英期待が噴き出した。


 匂いはほとんどない。

 だけど、口に若干入ってしまったその液体には甘味があって、もし温めてこれだけをスープとして出しても好きな人はいるだろうなと思わせる位には美味い。


 タンクのミノタウロスのあの身体は良質な脂からできてたってことか。


「それに……ご都合主義批判する人が卒倒しそうなんだけど」


 タンクミノタウロスの腹からは、その脂が纏わりついた肉のブロックがゴロゴロっとこぼれていた。


『ミノタウロスのカルビ(バラブロック)【B-】』


 大分前にドロップしたミノタウロスのカルビが既に薄く切られていたのに、こっちはブロック。


 しかもどう考えてもこの個体からとれる量を超えてる。


 ダンジョンっていう特殊な場所だからあんまりツッコんじゃいけないけど、おかしいよこれ。


「ま、嬉しいからいいんだけど……なんで今回に限ってアイテム欄に直行しないんだろ――」

『ドロップ品確認。ミノタウロスのカルビ、カルビ塊の選択が可能です。ランクがB+になりました。スキル身体強化シリーズが全て【大】に変化しました。スキル【身体調理】を取得しました。また武器による肉のドロップ率が上昇し、さらにはドロップする数が一定を超えましたので今回のように選択可能な状態で肉がそのままドロップしました。ですがこれがないことも当然あります』


 武器の影響がとにかく凄かったってことか。

 こんなことなら早く武器生産しておけばよかった。


『それでどちらの状態でアイテム欄へ』


 それじゃあブロックで。

 いろんな料理に使うことを考えればこの選択が無難でしょ。


『了解しました。それでは塊の状態でアイテム欄へ……。条件まで残り49』


 そっかあと49か。

 今のでかなり数を減らせたな。


 よーし、もう少しだから頑張っていく、ぞ?


「……。今なんて?」

『だから残り49です。ブロックを選びましたからね。……ぷぷ』

「……。……。……」


 すーっ。はぁぁぁぁっぁあぁぁぁぁ。


 ……。

 こんドSクソアナウンスがあああああああああああああああああああ!!!!!!!!


 重要なことは早めに言えよ!


 お前は報告連絡相談、ホウレンソウができない新入社員か!

 

後だしジャンケンで盛り上がるのは、剣持った死神が出てくるシャレオツな漫画だけなんだよ!


「もう、腹立った……。イキリ爺、卑猥ミサイル、蟹田。集合。あーちゃんとイセに食料渡して……。俺が半殺しのミノタウロスをお前らに寄こすから協力して肥やせ。今みたいに無理矢理、口から、食いたくないって顔するようなら鼻の穴、いーや下の穴からでもいい……ひたすらにぶち込んでタンクミノタウロスを狩りまくるぞ!!!!」


『身体強化大』発動!!!


 一層強くなったっていうそのスキルを発動させて俺はミノタウロス狩りを本格再開。


 3階層第1区画を縦横無尽に飛び回り、ミノタウロスを見つけ次第八つ当たりで腹パン、鳩尾を膝蹴り、金的……。


 強化された脚も腕も最早人間のそれじゃなくてドラゴンのそれになってるけど、そんなのを気にしている時間があれば正当な暴力でストレス解消や!


「――喰らえ! バナナスリップ! からの額踵落とし!! あははははははははは!! 肉の集め確変タイムきたあああああああああっ!!!」


 若干イキリ爺たちから冷ややかな視線を感じるけど、もう吹っ切れたから俺。


 お前らが好き放題してたみたいに俺も好き勝手やるから。

 もう、ドラゴニュートからの好感度とか……どうでもいいや!


 今日はミノタウロスに恨まれるくらい畜生な方法でカルビを生産してやんよ!!


 49? なんなら53万集めてあのアナウンスを見返してや――


「あ、あの!!」

「ん? エナ?」

「もう我慢できない! 私、奴隷にでもなんにでもなるからこれ……。これ食べさせて! 私村の人、奴らから節制節制ダイエットダイエットダイエットって……。でももう、こんなに肉の塊を目の前にしたら……うおおおおおおお!! 肉、肉、肉ぅぅぅうぅぅぅ!!」

「……。これ要ります?」

「要る! 掻っ捌く! 掻っ捌く! 死ねやおらっ! この鈍牛ども!! うふふ、ふふはははははは!」


 ……ヤバい。

 俺のノリが伝染しちまった。


 渡したナイフがいいってのもあるのかもしれないけど……躊躇なく掻っ捌いてるの見るともしかしてランク上がった?


 ともあれ……。ごめんなさい。村の人たち。

 あなたたちの戦士は肉狂いの狂戦士になったみたいです。


「火を起こして……。焼いて……。ああもう生でもうんめぇえ!! もっと、もっと肉寄こせえええ!!」

「は、はい」

「ごが」

「ぶも」

「ぷ、ぷぺ」

「う、ぐす、べ、別にちょっと怖いなんて思って、ないんだから……」

「エナさん! 私の腕も絶品ですよ!」


 折角気分よくやってたのに……急に作業めいてきちゃったよ。


 もしかして俺、Sっ気が強い女の人には弱いのかもしれない……。


「これは……対策でSM系も取り入れる必要があるな」

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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