68話 隠しダンジョンってやつ?
「は、うぁ、ま、待て、待ってくれ。いや、待ってください!お願いします!なんでもしますから!」
「そうやって私たちを襲うつもりですよね!知ってますよ!モンスターを躊躇なく殺したり、従わせていること!」
「それは、ここがダンジョンで、生きるためにしょうがなく……。う、ヤバい吐きそう。もう、限界かも……」
「ぷぺ!」
「ありがとう、あーちゃん俺のこと気遣ってくれて」
「が、頑張って……な、なんて思ってないんだからね!」
「ありがとうイセ、そのツンデレは特効薬、いや、今の状況なら酸素になるよ」
「ごが!」
「ぶおお!」
「イキリ爺、卑猥ミサイル、コメコメホタテクラ、お前は名前が長い! 蟹田! お前たちは……やっぱり降りろや! このくそったれの男どもが!! 明日からは自分の脚で追い付けるようになるまで毎日5時間走り込みだからな!」
逃げ出したドラゴニュートを追って身体強化中発動状態の俺は、全員を背負って全力で走っていた。
勢いで全員に乗れと言ったものの、さすがにしんどい。
相手もかなり疲れているみたいだけど、このままじゃ逃げきられる!
頼む! もってくれよ! 俺の脚と心肺機能!!
「って流石に無理。やる気だけじゃどうにも……」
「ぶもおおおおおおおお!」
俺が脚を止めると、卑猥ミサイルがすかさず俺たちをその牙で持ち上げた。
そうだよ。
俺の方が速いから仕方なくこの役目を負っていたけど、本来これはお前の仕事、役目だろうが卑猥ミサイル!
「走れ、走れえええええええええ、え?」
「ぶもおっ!」
てっきり背中に乗せてくれるのかと思いきや、俺たちはやや高めに放り投げられた。
まさか投擲の要領で追い付かせようとしたのか?
だとしたら……もう本当に馬鹿!
そんなの絶対に無理ってなんで分からないの!?
しかもこれ、追い付かないどころか地面にぶつかって大ダメージじゃん!
これは卑猥ミサイルの名前をもっと卑猥にして分からせてやらないといけないかも――
「ぶ、もおおお!!」
俺たちが地面に落ちるよりも早く卑猥ミサイルは反り立つ牙を発射。
絶妙な位置に放たれたそれは俺たちの身体を引っかけて高速で飛んでいく。
馬鹿だけど、馬鹿なりに成長してたんか我!
こんなの●桃桃が柱に乗って移動するあれを思い出してしょうがないけど、何はともあれナイス!
これならドラゴニュートに追いつける。
追いつけるけど……。
「どうやって止まるの、これ?」
ドラゴニュートに追い付くどころか追い抜いて、俺たちは林の中を進んでいく。
あの馬鹿。やっぱり馬鹿だったよ 。
あーあ。
その前の木の枝、俺に突き刺さって俺たち死ぬんだろうな。
仲間に、こんな形で死ぬなんて思わなかっ――
「そこは!? 駄目!! 」
「え? それってどういう……ってぶつかるぶつかるって!」
ドラゴニュートの叫びと共に俺たちは木に衝突。
全身に木の枝が刺さり死亡、するかと思ったのだが……。
「なに、ここ?」
「あれは……。ということはやはり……。なるほど、こんなところにあったのか俺たちを長年苦しませてきた謎の存在の集落が」
そう呟くコロコ……蟹田の視線の先には古代日本を想起させる木の壁と堀に囲まれた集落。
門の前にはこの仕事がかなり暇なのか、2階層でドロップする食材を刺した串焼を頬張る門番が2人? 2匹? が立っている。
かなり大きな規模の集落だけど……やっぱりマップに記載はない。
ゲームにありがちな隠しダンジョンってやつだよな、これ。
「すみませんマスター。私は、私は……」
蟹田の様子がおかしい。
ドラゴニュートが2階層のモンスターを倒す。
おそらく蟹田も襲われた経験がある。
恨みがあって復讐も……。
おいおいおいおいおいおいおい!!
テイムして、交遊関係深めようってのにヤバいじゃん!!
と、ととととととととと止めないと!
「蟹田!」
「おいお前!」
「な、侵入者!? て、てててて敵しゅ――」
「俺の身体は美味かったか? 美味いと思ってくれたのであれば……1本どうだ?最近自分の身体が食われることが幸せで……。外だとこういうことをするヒーローもいるらしい。俺は、ただ腹が減っている相手にはそんなヒーローでありたい!」
そうだ。
こいつ、そういう奴だった。
というか尊敬する存在なの?ア●パンマン。
「敵、じゃない――」
「みんなあああああああ!!」
「ぶもおおおおおおおお!!」
「う、うわああああああああああああ!!変態モンスターだ!!」
俺たちのすぐ後にさっきのドラゴニュート、そして卑猥ミサイルが追いかけてきた。
あの、確かに見た目はビンビンでヤバい奴で馬鹿なんだけど優しい……優しい変態なんですよ、うちの卑猥ミサイルは。
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