67話 監視者
「ここがあの小屋のある区画で……。経験値ロード、区画タイムアタックランキングの第7区間新記録達成っ! これでしばらくは私がトップでしょ!」
「ごがっ!」
「もう1回、じゃないでしょ! 今日はあくまでも亜人探し、出来れば3階層の攻略なんだから、リセットなんてしてるようはないのなら!ふふふ、これで貯めたお給料で新しい服を……」
第2階層でドロップアイテムを集める係りとしてイキリ爺やイセ、あーちゃん、卑猥ミサイル、それに手の空いていそうな他のモンスターを任命してはいたけど……。
経験値ロードタイムアタックって……完全に遊びに使ってるじゃん!
それどころかなんか賭けごとしてるよね?
通りでやたらリセットをせがむと思ったら……。
あぁ、イセがイキリ爺に汚されていく。
でもランク上げってこと考えると……今は黙認だよなぁ。
「お前らなにをしてるかは分からないけど、案内忘れないでくれよ。ほらみろ、あーちゃんもむすっとしてるだろ?」
「ぷぺぇ」
いつにもまして怒気のこもった声を出すあーちゃん。
思えばここに来る道中ずっとこんな調子で、どこか不機嫌そうだったけど……きっとあーちゃんのことだから賭けごととかそういったものに対して嫌悪感があるんだ――
『――なんで私にはそのタイムアタックやらせてくれないの? 私だってお金欲しい。もしかして負けるの怖いの?』
……。
そっちで怒ってたかぁ。
思ってたのと違う反応で、ちょっとショックなんですけど。
しかもお金って……。
そんな不自由を感じさせてたのかなって 不安になったわ。
油差しという役をさせていることとか、その分マッサージと言いつつ身体をまさぐらせてもらってることとか、寝る時は俺と同じ布団って強制させていることとか、そういったのが原因で不安になるなら100歩譲って分かるけど……。
わかった。
あーちゃんには帰ったらボーナスあげよう。
何を欲しがってるのかも気になるし。
「……。とにかく、早く案内頼む!」
「ごが!」
「そ、そうねわかったわ! 私についてきてっ! イキリ爺じゃなくて私にね!」
「ご、がっがが!」
「な、何よ! いいじゃない私が教えて上げたって!」
案内役をイキリ爺とイセが取り合う図、に見えるがイキリ爺の顔が明らかに笑顔。
しかもあいつ……先頭を取り合うみたいな仕草で肩を当ててやがる!
鼻息荒いし確信犯だろ! お巡りさーん! 変態セクハラロリコンおじさんここにいますよ!
「……まったく。そんな技術どこで覚えてくるんだか……。ってそれが例の小屋か?」
「ごが!」
「そうよ。イキリ爺ですらまだちゃんと活用してる訳じゃないし、何が起きるか分からないから気を付けて。べ、別に私は怖くなんてないんだからね!」
怖いんだな。
仕方ない、ここは男らしく俺が先陣切るか。
一応身体強化中の腕と脚は発動してっと……。
「よし! 全員俺についてこい! ……あ、でも卑猥ミサイルは入れない、か――」
「ぶもおおおおおおおおおおおおお!」
「ちょ、ストップ! ストップ!」
俺が小屋の扉を開けて中を見渡そうとすると、後ろからイセとイキリ爺それに訝しげな表情のコメコメホタテクラブごと卑猥ミサイルが突っ込んできた。
そうだ。
こいつ良い奴だけど、恐ろしい馬鹿野郎だった。
――バンっ!
小屋を支えてる柱を粉砕!
屋根は落ちて小屋はあっという間にペシャンコ。
……。
俺しーらないっ! これ俺やーってない!
「――なんの音……。……。え? なんで壊れて……。あっ! まずっ! 目を離した隙に……」
小屋が壊れた音が響き渡り、瓦礫の下から寝惚けた顔で人の言葉を話す生き物が現れた。
小屋のどこに隠れていたのか分からないけど、どうやら外の様子をここを利用して観察していたらしい。
お尻に生えた太い尻尾。
腕や脚に生える鱗と爬虫類特有の目。
『ドラゴニュート(亜人種)【D-】』
このダンジョンでやっとまともなのきたああああああああああ!!
「に、逃げないと……。早く、伝えないと……。身体強化脚!」
「ちょっと待ってくれ俺たちは……ってはっや!」
お読みいただきありがとうございます。
モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。




