66話 精鋭
「――あ、はい。お給料につきましてはお支払い致します。はい。はい。当日はこちらで整理等々全て仕切らせて頂いて……。はい。あ、マネージャーさんも来ていただけるんですか?その分の……。はい、ギャラの方は勿論……。はい。はい。あ、では当日よろしくお願い致します。あ、これはこちらが言うことではないのですけど、お休みの振替って……。はい。あ、良かったです。すみません。無理を言って。はい。いえ、こちらこそありがとうございます。お振り込みに関してはお店の方のSNSで……。はい。それでは失礼致します」
「どうだった?」
「なんか……割りと大掛かりなことになった」
「だよね」
「ですよね」
「なになに? ずっと私よく分かってないんだけど!」
「マスターがこれからすごく大きな戦いに挑まれるということですよ。イセさん。私たちもそれまでにスキルを取得、ランクアップを目指さないとですよ」
その後すぐに真波はマネージャーに連絡。
商店街対喜々快々という突飛な提案を俺の口からマネージャーに伝えられるようにとりはからってくれた。
急なお願いで迷惑を掛けてしまったから、俺が頼むのおかしいとは思ったものの一応真波の休みについてもお願いはさせてもらい、なんとなくいつもと比べてご機嫌斜めにご飯を食べる真波に配慮をした。
そのお陰もあってか、あきれた表情は少しだけ和らいだようにも思える。
俺、いつの間にか真波が呆れるくらい仕事人間になってたんだな。
……。話の続き、多分出掛けに行こうみたいな話だったっけ……。
「真波、今回はちょっと大変なことに付き合わせることになったけど……。これ終わったらどっか遊びにでも行く?」
「え……。そ、そうだね! それぐらいの詫びがないとこっちもやってられないってもんでい!」
「なんでそんな江戸っ子風なの?」
「とにかく、これでその日が忙しくなることは決定ですね。わざわざ商店街に出店するわけじゃないですし、厨房との行き来は出来るとしても……。自分と鳥くずさん、蟹田君、イセちゃん、竜居さん、パートさんが1人捕まればってところで……人は足りますかね? 真波さんが店頭に出るなら来た人をさばく人も必要ですし、お金も人も、人を集める時間も、新メニューの開発時間も……ちょっと足りないかもですよ」
彰君が言うように課題は沢山。
ただ人に関しては俺に1つ考えがある。
これがはまればむしろ人は余るくらいだと思うんだけど……ってイキリ爺、鳥くずさんなんて呼ばれ方してたっけ?
彰君にそんな呼ばれ方されるとかあいつ一体何したの?
というか、あいつだけ先帰ってるし……。
当日こっぴどく扱ってやらないと。
「――お金に関しては私たちの方からはそんな高額を催促したりしないから大丈夫! 喜々快々とはもう互いが互いのステマしあってズブズブだからね」
「真波、その言い方はどうかと思うよ。まぁ助かるからありがたいけど。……とにかく、だ。彰君は蟹田の料理スキルを上げられるようにいっそう厳しく指導してもらって、イセもそろそろ簡単な調理を覚えて、真波は……当日の宣伝を頼む。それでもって俺は……」
◇
「当面は2階層での亜人探しと3階層突破っと。イキリ爺、イセ、前に言ってた小屋の場所まで案内してくれ」
「ごが!」
「わかったわ! 私について来なさい!」
誘いを受けてから数日、俺は人員の確保、つまりは亜人たちを探すためにダンジョンを訪れていた。
亜人の見た目が多少人と異なっていてもイキリ爺が受け入れられてるあの店ならセーフ。
ならもうテイムして賃金0、それかこっちの物資を渡して労働もらったらこんなに都合のいいことはないよね。
なんなら今後ダンジョンの攻略とか生産場の手伝いをしてもらえれば言うことなし。
そんなこんなで今回の探索メンバーはイセ、イキリ爺、あーちゃん、卑猥ミサイル、コメコメホタテクラブ、という最強の布陣で挑んでいるという訳で……。
「――ぶもおおおおおおおお!!」
「――ごがあああああああああああああ!」
「――たぁっ!」
「――ふんっ!」
「――ぷぺ!」
リセットした区画を1つ、また1つと、たった1匹で攻略。それを交替で行い、俺たちは再び小屋のある区画までたどり着いたのだった。
初日にあんな大勢で攻め行ったのが、馬鹿に思えるくらい本当にこいつら強くなったな。
俺まだ今日なんもしてないよ。
お読みいただきありがとうございます。
モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。




