61話 完成最強のチャーハン
「――見て見て見て見て見て!! ほら! こんなに一杯採れたの!」
「おおっ! 凄いなこれ! イセは採取上手なんだな」
「えっへん! あ、でも今回は私が原因みたいなところがあるから、ちょおっと本気出してあげただけで、別にあなたに褒められたいとかそんなことは一切思ってないんだからね!」
「あはは! 理由はどうあれこれだけ仕事をしてもらえてうれしいよ。ありがとう」
「えへへ」
既に2次回ムードの第10区画にしばらくしてイセとイキリ爺を含む探索班が合流。
既にモンスターがいなくなった場所での採取はかなり捗ったようで、しばらくここの食材はいらないと思うほどの量を抱え込んでやってきてくれた。
ホーンボアとマッスルチキンを多めに連れて来てよかった。
モンスターは俺と違ってアイテム欄が使えないみたいだからな。
これも使えるようになるといいんだけど。
『3階層突破で使えるようになりますよ。ただ3階層は難易度がぐっと上がりますけど』
釘を刺すように3階層の難しさを伝えてくるアナウンス。
親友の制限とかそんなものも変わっているみたいだし、本当に難しいのだろうけどそれはそれで楽しみだったりする。
だってドラゴンとかデーモンとかそういうこってこてのモンスターに未だ会ってなくて、イセがギリギリその枠にいるかどうかって感じで……なんかコミカル過ぎて親父の手紙の注意文が恥ずかしい感じになりつつあるんだもんな。
まぁ危険が少ないってのはいいことではあるんだけど。
「今回も問題なく探索終了……。あ、そういえばイセ。ここに来るまでに変わったモンスターというか人? みたいなのっていなかった?」
「うーん……。イキリ爺は見た?」
『畑に小屋がありました。モンスターかどうかは分かんないけど、あれを使ってる存在はいると思います』
俺に報告をするよりも先に海鮮を頬張っていたイキリ爺は一転して真面目な顔で、メモを俺に差し向けてきた。
こいつふざけてるけどやっぱ優秀なんだよな。
探索班に入れておいたのは成功――
「あ、あの小屋ってイキリ爺がせっせと自分用の食料を隠してたところ? 言われてみれば確かに怪しかったわよね」
「ごが!?」
こ・い・つ……。
ある意味でここまで期待を裏切らないのは凄いけどさ。
「じゃあそれは後で押収。そんでもって調査するか。今は一旦帰って……」
「その前に私もお腹減った!」
「あ、そうだよな。ちょっと待っててくれ。そろそろ米が炊き上がって……ほんとは冷や飯とかの方がいいんだけど、これでもまぁ美味いだろ」
俺は火に掛けていた飯盒の蓋を開けて炊き上がりを確認。
正直チャーハンを作るってなってからこの米が手に入る可能性も視野に入れていて……もうキャンプ道具一式を運ぶ用の仲間とかそれを置いておく場所を作っておいてもいいかもな。
「うん。水少なめにしたのが良かったかも。べちょっとしてない。それじゃあ俺は適当に海鮮炒めるからその間にイセは野菜を頼む。はいピーラーとナイフ」
「OK! 任せなさい!」
杏仁豆腐作りの時からイセは料理作りに興味があるようで、ちょろちょろ厨房に入って来ては手伝いをするようになって、今では簡単な切りものもできるレベルに。
癖の強い野菜たちの皮を剥いて、俺のサバイバルナイフでチャーハン用に細かく刻んでくれる。
シミジミン【D-】、ムゲキダマ【D-】、シャキギ【D-】。
色は全部真っ白で正直美味しそうではない野菜たち。
形状から言えばどれも曲がったりねじれてたり2又になっていたり独特だけど、多分人参、玉ねぎ、葉ネギと同じような野菜だと思う。
これらを炒め終わった海鮮を取り出した鍋に放り込んで炒めて取り出す。
そして1度鍋を拭いて、今度はあーちゃんに油を引いてもらって卵からの米といった順番で炒める。
卵かけご飯を作ってから炒めるやり方もあるけど、あれはボソッとした食感があるから俺はやっぱりこのやり方。
大体炒められたら野菜と回線をもう一度にそこに戻してシヲと胡椒を振る。
水分がかなり出るから全部別々に炒めた方がいいと思って分けたけど……この米、まったくべたつかない。
恐ろしくパラパラで、こんなにうまくチャーハンが作れたのは初めてかもしれないかも。
これなら……と思いさっきまで焼いていた海鮮たちからでた汁を掛けてもやっぱりべたつかない。
この米の吸水力は異常だぞ、本当に。
もしかすると一定の水分以上からはその食感に変化を及ぼさないとか、そんな感じなのかな?
リゾットとかお茶漬けとか、そんなものには不向きだけどチャーハンに関しては……。
「最強。シンプルな味付けだけど、多分これ最高に美味い。イセ、味見してもらってもいいか?」
「うん! ……あ、あっふっ! でも、おいひい!! パラパラで食べやすくて、だけどちゃんと味は染みてて! 野菜も他の食材も……すっごい合ってる!!」
……。イセ、食レポ上手くなったなぁ。
嬉しいけどちょっと寂しい。
「っとじゃあ俺も……。……。こ、これは……。はは、あははははははは! 勝った! これ絶対勝ったわ!! 美味すぎる! おいみんな! 最強のチャーハンで来たぞ!! ってあれ? こっちから……勘違い、かな?」
最強のチャーハン完成で全員を呼びつけると、背後から視線を感じた。
だけど俺はそんなことよりも、早く全員にこれを食わせたくて、一旦無視することにしたのだった。
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