47話 嫉妬?
「というわけで、今日は杏仁豆腐を作るための食材を探しに初めて2階層に挑みます。イセは今のところ1階層から下へ行けないようなので、お留守番ですが、その分みんなで力を合わせて頑張りましょう」
「ぷぺ!」
「ぶも!」
「ごがぁぁあああああああぁあああああ!!」
学校の遠足の引率者の先生になったような気分でテイムしたモンスターたちに今回の探索とその旨を知らせる。
可愛らしくなくあーちゃんと卑猥ミサイルは微笑ましいのだけど……イキリ爺のやる気だけ異常。
少し前から今日イセにかっこいいところを見せようと、筋トレを増やし、大好きな煙草と酒を封印。
そして俺のパソコンで遊んでたオンラインゲームキューブまでついには封印。
最近は課金欲まで溢れだしたのか、よくコンビニで魔法のカードを買うところが見られていたけど、それもなく本気が伺える。
デザート作りっていうのほほんとした目的なのにもう目は血走ってるし、パンプアップして血管浮き出まくってるし、息荒いし、ちょっと怖いまであるぞ……。
「恋って怖いな」
「え? そ、そそそそそそそそれってどういうこと? も、もしかしてそのあの、べべべ別に私あなたのことなんか、なんとも思ってないんだけど、す、好きな人間がいる、とかじゃないわよね?」
「え? 別にそんなんじゃないけど」
「そ、そう! そうなのね! ふーん、へぇ!」
分かりやすい。
可愛いのは可愛いし、好意を向けられてるのは嬉しいんだけどなぁ。
それもこれもモンスターとしての習性で繁殖のためだと思うとなんとも言えないや。
イセの好意って恋愛じゃなくてオスの俺を利用したいってだけだもんな。
ちゃんとその辺理解した上で恋愛感情で告白されたら真面目に考えよう。
ロリなのは……もう完全に気にならないし。
そもそもイセは記憶引き継いでるから精神年齢上みたいなところあるし、モンスターだから合法だし。
最近女子中高生っていう設定の企画ものレンタルするようになってストライクゾーン広がってるところだし。
お金あるとストリーミング動画が捗って仕方ないのよな。
「っていうのは置いといて。2階層のことはイセもよく分からないんだよな」
「うん。そもそも1階層突破したのって私が知る限りあなただけだもん。ただ、2階層突破は1階層の時よりもいい報酬があると思うの。で、私の予想は1階層と2階層のモンスター統率と移動の自由化、それにカスタム。私の代わりとして今はミネラルホークのでっかいのがいると思うけど、それもスポーンさせなくさせて、ボスっていう仕組みを消すこともできる、だったら最高ね。だって私もうボス飽きちゃったし、人間と戦う気ないもの」
ちょっと前まで殺すとかなんとか言ってたのに……外が相当楽しかったんだな。
なんか娘が成長していくみたいで嬉しいよ、俺。
「とにかく2階層は何があるか分からないんだから気を付けてね。あ、これは別に――」
「心配してるわけじゃないんだよな?」
「……いじわる」
「あはは、ごめんごめん! そんじゃ行くとしますか! ってどうしたんだお前ら」
――じーっ。ぎりぎりぎりぎり……。
珍しく鋭い視線を向けてくるあーちゃんと、ギリギリと大きな音で歯軋りするイキリ爺。
なんか俺とイセ以外空気重く過ぎじゃね?
「ぶ、ぶぶぶもおおっ!」
「ぷぺ!」
「ごが!」
「お、おお!」
そんな空気に耐えかねたのか卑猥ミサイルは俺たちを器用に背中に乗せると、途端に走り出した。
卑猥ミサイルのくせに気が利くじゃないか。
今日はいつもよりその反り立つ牙がイキイキしてる気がするわ! 嫌だけど!
「寒天は多分大丈夫として……。杏仁霜、アプリコットの実、クコの実、アーモンド、に似たもの、それか砂糖に似たもの、それが今回の目当て。お前たち! それっぽいもの見つけたらすぐ教えてくれ!」
「……」
「……」
「ぶもおおお!」
「卑猥ミサイル……お前ってやつはなんて優しいんだ。ごめんな変な名前つけて。でも変えるつもりはこれっぽっちもないんだ。ごめんな」
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