42話 一目ぼれ
「ぷはぁぁぁぁぁ……。がまぁい」
「あのう、ちょっと煙いんだけど……。俺より卑猥ミサイルの主人見たくなるの止めて」
「ごが、あっ!」
「いやあと1本! じゃなくてね。ちゃんと携帯灰皿持ってきてるのは偉いけどね。さっき煙草のせいで直ぐ息切れしてたよね。お前もうあーちゃんにトップとられてるからね。今日店の床で寝るてもらうか――」
「……」
1本吸い終わったイキリ爺は両手を合わせて煙草を懇願。
だけど流石にさっきの失態を見せられたら、脅しざるを得なかった。
そして……その効果はやはり絶大イキリ爺はもう一言も発さずに先っちょだけ出していた煙草をとんとんとしまって遠くを見始めた。
ただ煙草を吸えなかっただけで、そんなに黄昏んなや。
「――ぶもおっ!」
「お、ついついた!」
「……」
そしてしばらく、そんなイキリ爺に反して元気満々角もビンビンな卑猥ミサイルは大きな声で到着の合図を出してくれた。
こいつはお馬鹿で見た目が卑猥だけど、小学校低学年みたいな元気らしさ、まだ穢れていない心があっていい。
本当に見た目、見た目さえ良ければ……。
「……」
「ぶも?」
「あいつはとりあえずほっとけばいいよ。それより……どこにいるかな。俺を手こずらせてくれたイセちゃんは」
卑猥ミサイルから降りると俺たちとイキリ爺は別行動。
決して怒ってるってわけじゃないだろうけど、あいつなりに思うところがあったのだろう。
そんなことよりも、特別隠れるところなんてなさそうなのにぱっと見つからないとは思わなかった。
それだけイセは元々小さいモンスターだったってことなのか?
「居心地最悪だと思うけど、まさかこの干上がった池の中に――」
「きゅっ! あっぎゅ!」
「いたいた! お前に負けず劣らず元気じゃん。さてと、どうやって苛めてテイムされたくなるような状況を作ってやろうか……。でもまずは弱らせるところから始めないとまさかってこともあるから……。ってなんか様子おかしくない?」
浅い浅い池の中で羽をバタつかせていたイセ。
ずっと大きな鳴き声を出して警戒態勢、かと思ったけどそれにしてもは攻撃してくる様子もミネラルホークを生み出す様子もない。
それどころか、困っているような焦っているような……。
「きゅああっ! ……ご、ぼぼ。あっ!」
「やっぱりお溺れてる! 嘘だろ! お前の冠名水獣鳥だろっ!! え? まさかこのまま死んじゃうんじゃ……いや、でも力がないからって罠を仕掛けてるって可能性も……」
「ごがっ!!」
イセとの激戦が脳裏を過り、なかなか1歩を踏み出せないでいると、まさかのイキリ爺が池の中に飛び込んでいった。
さっきまで煙草を怒られていた奴とは思えないイキリ爺の行動。
一体こいつに何があったってんだ?
まぁ、あーちゃんに比べると劣るけどイセも清楚な雰囲気で可愛らしくはあるけど……。
「……。……。……。鳥族同士、可愛らしい見た目、もしかして……一目惚れした、とか?」
まさかのラブロマンスが俺の目の前で、意外な奴の一目惚れが原因で始まろうとしているのか?
見たいような見たくないような。
「ご、が?」
「うわ。いつもと声違うじゃん。あいつ、完全に狙ってるじゃん。いやでも、向こうはいつものイキリ爺を知らない訳だし、急に助けられたらワンチャンあるんじゃ?」
「――きゅげぇ……」
そんな可能性がちらついたのも束の間、イセはイキリ爺に抱きかかえられながら嗚咽を漏らし、その鼻を器用に翼で塞いだ。
ああ。この子、俺と相性いいかも。
もう対応が100点。
いじめるの止めよう。もう可愛がり可愛がり可愛がりで、持ちあげまくってテイムさせてもらおう。
俺のチームのお嬢様枠担当だよ、間違いなく。
なんかもう激戦のトラウマ消えたし、すげえ可愛く思えてきた。
「きゅげっ!」
「ごがっ!」
「よしっ! やれ! 鳩尾にぶち込め!」
「ぶも!?」
ついに煙草臭いイキリ爺に抱かれてるのが嫌になったのか、太めの足が炸裂。
俺はそれをしばらく応援し、卑猥ミサイルは何が起こっているのか理解できずにその場でおろおろするのだった。
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