41話 王圧
「飛んでないし、水をまき散らしもしてない……。え? じゃあただの鳥、というかもうチキンチキンじゃん! なんだかもうよくわからなんけど、散々苦しめてくれたお礼をしてやるからな! イキリ爺! それくれ! それでもってオイルスライムはそっちに任せた! 俺は……卑猥ミサイル発射!」
その場から動こうとも、振動しようともしないオイルスライムはイキリ爺が自慢の筋肉で引き裂くように討伐。
こっちはこっちでホーンボアの攻撃でミネラルホークを粉砕。
狙いの『ミネラル汁』は俺がわざわざ手を下さずとも簡単に、しかも大量にアイテム欄へ。
最初に第3区画に入って行ったときが嘘のような圧倒的力の大行進。
蹂躙って、こういうことを言うんだな。
……。ん゛―ぎもぢいい!!
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!! 悪役笑いが止まらないんですけどお!!」
『――今跨っているホーンボアのランクが【F-】に上がりました。共闘の末、テイムが可能になりました』
「よっしゃ、よっしゃそうすれば経験値もがっぽがっぽやで!! 何か知らないけど、一方的って最高ですな!!」
どれだけこっちが攻撃をしようともミネラルホークもオイルスライムも反撃してこない。
それどころか、額に汗のようなものを浮かべて、こびへつらうように笑いながらゆっくりと後退。
今思えば道中のコムボールも大人しかったし……。
あっ! そういえば俺、なんかスキル取得してたっけ。
『はい。王圧の効果によってランク差の激しいモンスターたちへ多大なプレッシャーがかけられています。その結果、攻撃するという選択が消えています』
……王圧。
これ強すぎんか? 何かそういうスキルを手に入れる素養があったかといわれるとそんな気はしないんだけど、とにかくこれチートじゃん。
というかアナウンスさん、タイミングいいねえ。
おじさん君みたいな子す――
『スキルを取得するに至る素質についての情報取得及び伝達許可申請……承認されませんでした。ただ、私個人の推測ですが……そういう調子に乗ったときの成金的思考が原因かと思います。それ、最後まで言い切ってたらセクハラで一生アナウンスしてあげないところでしたよ』
……すみません。
でもだってこんあんお楽しすぎるからしょうがないじゃん!
これこそ、現代ダンジョンの醍醐味じゃん!
「ふぅ……。なんかチキンじゃなくて、俺のテンション冷めちゃった。……。そういえば冷静に考えるとなんでまだミネラルホークがいるんだ? あれってボスから生まれてたよね? ……もしかしてボスもリスポーンするとか?」
『はい。ボスはリスポーンします。しかしボスは他のモンスターと違い、ダンジョンは発生に大きな力を使用します。そのため、その姿はすぐにあのような成体にはならずしばらくはボスとしての力を有しません。現在はモンスターを生み出すため、第3区画のギミックを発動させるためだけに専念。戦闘はチキンチキン並みとなっています』
「良かった。じゃあまたあんな思いをして戦わなくていいってことか……。あ、ということは……ミネラルホークだけじゃなくてあいつにもお礼を、いや、いっそのこと……。ふふ、走れホーンボア! というかこいつもテイムしたんだよな。だったら……走れ卑猥ミサイル! 今日からそれがお前の名前だ!!」
「ぶもおおおっ!!!」
あーちゃんは勿論のこと、イキリ爺よりも優先度の低い卑猥ミサイルは、その頭も悪いらしくこんな名前でも嬉しそうに吠えた。
ただ、ここまで馬鹿だと愛着が……湧かないんだよなぁ。だって卑猥ミサイルなんだもの。
……。Byみ●を。
「く、ぷぷぷ……」
……。卑猥ミサイルって名前に笑って見せるイキリ爺。
なんかもうこの一文地獄だよな。
登場人物にまともなのがいないや。
「ま、あーちゃんがいれば他はどうでも……程々でいいか! イキリ爺! お前も今回はついてこい! 一緒にボスのイセちゃんを可愛がってやろうぜ!!」
「ごがあ――。ご、ごが、げほ……。ごがぁあ! ……」
『ちょっと待って。まずは休憩しません? 煙草でも吸って』
……。
やっぱりお前煙草の影響出てんじゃねえか!
メモ帳の字よれよれじゃん! もう限界じゃん!
「卑猥ミサイル、悪いけどイキリ爺……もといヤニカスイキリ爺も載せてやってくれ」
「ぶっ! ぶももももっ!!」
笑いながら器用にその角でイキリ爺を回収する卑猥ミサイル。
まったくこいつら……。面白過ぎるな。
最高で最低な五十歩百歩だよ。
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