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39話 狂ってた彰

「――じゃあ、いただきます。……。美味いです! 前よりも麺のお蔭で個性が強まったというか、細いのに太麺くらいコシがあって麺自体の甘味みたいなものも感じます。だからって粉っぽさも感じないですし、硬すぎるってわけじゃないですし、前よりもおいしいですよ、この1杯」

「じゃあこの店とうち、ラーメン食べたいって思ったらどっちに入る?」

「新店……。あ、向かいのあれってラーメン屋になるんですね。しかも今流行のですか……。うーん、ラーメンを食べたいって人は個々みたいな中華屋余地もラーメン単体で勝負してるような店に入る傾向にありますし、一概に比較ってのは難しいですけど……。味に関してて、このコシっていう強みは向こうに分があるかもしれませんね。それに麺とスープの絡みは味が濃い向こうの方がもしかすると……。向こうは味と見た目にとにかくパンチもありますし……」

「そうなんだよね。うちの方が美味いって言い切る自信がどうしてもなんだよ」

「話題ってところも勢いも向こうの方がありそうですしね」

「テレビとか有名配信者とか、個々よりも取り上げられてるもんね。うちの県でこのチェーンが来るのは初めてってのもヤバい」


 ランチタイムが終わると、バイトさんやイキリ爺たちのまかない飯をちゃちゃっと用意して早速彰君と作戦会議。


 麺は確かに美味い。

 美味いけど、他のメニュー程上手く言ってる気がしない。


 というか今回は相手が悪い。


「ちなみにあの女性客はなんて言ってたんですか?」

「足りない、だってさ」

「足りない……。うーん。完成度ってことですかね? 麺スープトッピング、人気のラーメン屋は三位一体、その相性、組み合わせを何回も何回も何回も試して、飲食店というか大きな製薬会社の研究開発かってツッコミたくなるくらい試行錯誤を繰り返してますからやっぱり完成度ってところは桁が違う気がします。ここの、竜居さんの中華そばはスープも面も美味いんですけど、その、個々として美味いって感じで……もうちょっと纏まりというか、完成しました、って感じが欲しいかもです」

「なるほどね……。いや、参考になったよ」

「も、もちろん美味いんですけどねこの一杯も」


 熱く語り、容赦なく指摘をしたことにちょっと気まずさを感じたのか彰君は焦って麺を啜った。


 相性、組み合わせ……。

確かに俺はダンジョンで手に入れたドロップ品を適当に突っ込んでるだけといえなくもないし……流石究極のラーメン目指してる人の意見は的を射てる。


 とはいえそれが分かったといえ、なんだよな。


「うーん……どうしたもんかなあ」

「閉店後いろいろ麺を作ってみましょう。自分も手伝いますから。あと例えばですけど、同じ原産地の素材を使うとかっていうのも1つの手ですね。味的にはそんなに変わりはないかもしれませんが、それをお客さんに伝えるとなんとなくイメージでまとまってる感じがするというかなんというか、地元の素材にこだわってるお店とかってラーメン屋に限らずあるじゃないですか」

「原産地統一ね。ラーメンだと……ちょっと難しそうだね」

「まあ麺とスープだと水、トッピングと麺だと卵、トッピングとスープならかえしとかですかね」

「水……」

「すべてにアルプスの天然水を使ってます! とか、ちょっと弱いですよね」


 水、水……。

 そういえば鶏ガラから出汁をとるときも麺を作るときもそこにこだわったことはなかったな。


 ……。そういえば1階層のボスは水使ってたな。


 水みたいなドロップ品……あー、あのくそ鳥の汁ってのがあったな。


 なんかマッスルチキンとかイキリ爺が欲しがってたから、餌として使ってたけど……あれ、ラーメンに使えるか?


 汁なんて気持ち悪いと思って適当に使ってたのが仇になったか。


 ボスはいなくなったけど、まだあのくそ鳥っているのかな?

 ボス戦が思いの外辛い戦いにだったから、あそこに苦手意識あるんだけど、麺作りと新スープ作りのためなら……。


「久々にあそこまで行――」

「ごちそうさまでした! とりあえずこれはこれとして店に出しましょう! 前のより美味しいですから! いやあ始まりましたね、ラーメン作り! なかなか結果が出ないと辛いんですけど、ですけど……この四苦八苦してる時がたまらないというかなんというか、至福なんですよね。あー、早く麺打ちたい! 早く夜にならないかな」

「ま、まぁまだ営業時間あるからまずはそれを頑張らないと」

「あっ! そうですよね、自分どうしてもラーメンのことになるとこう、なっちゃって……。あくまでお客様第一ですよね。自分まだまだです、ですけど……お願いします! 麺打ちはやらせてください! 試作の時だけでもいいので! 実はもう麺作りしたくてしたくて家でずっとこのゴムボールを握って握って握って握って握って、歯磨き粉の味もラーメン風にして、お風呂にも――」

「分かった分かったから、そんな狂気的な秘密教えてくれなくていいから!」


 俺が焦らしたせいで彰君狂っちゃってたのか……ってお風呂でってなに!?

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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