34話 1階層ボス戦③
――ドパンッ!!!
「コケッ!?」
飛び込む直前、熱くなった体に炎を纏わせたあーちゃん。
その身体が触れた瞬間、池の水は大きな爆発音をたて天に向かって火が登った。
さらに池の水は熱湯となりそこら中に散り、干上がったというわけではないが思っていたよりも池は浅かったようで水かさを大幅に減らした。
再生に使える水分の減少。そもそも熱せられたことによって池にはもう浸かることはできなくなった。
……。
イキリ爺が投げていたオイルスライムは一度目と違い爆発で死んでいた。
それはつまり、爆発できる数には限りがあるということ。
あの時あーちゃんも爆発していたことも考えると……。
「あーちゃんは……。このチャンス絶対に逃さないがんな゛ぁ゛ぁあああああああああ!!!」
燃えるヤシの木、地面を這う火。
呼吸が少し苦しくなる中、俺は涙をこらえきれないまま走り出した。
イセは今のでダメージを負ったのか動いていないけど、まだ生きてる。
ここで殺さないと。
殺せなければあーちゃんが死んだ意味がなくなるから!!
「こ、け……」
「身体強化中(脚)、身体強化(腕)!!」
倒れるイセの上に乗ると、俺は重ね掛けした脚でイセをがっしりホールド。
さっき抜けきれなかったことも考えて腕も強化して、思い切りサバイバルナイフを突き刺す。
突き刺して抉って突き刺して抉って突き刺して抉って……体力の消耗が激しいのか、身体に力を入れられないイセにサバイバルナイフを深く差し込むと、その命が枯れるように俺は残酷に抉る。
それでもイセは体に残っている水分で再生。
生きることをあきらめない。
これがボス。これがダンジョン。これが戦い。
「こ、ここここげええええええええええ!!」
「はぁはぁはぁ……断末魔? いい加減くたばれよ! って……おいおいおいおいおいっ!」
そんな最早作業と化した攻撃はしばらく続いたのだが、残りの水分が尽き欠けて水色の部位がほとんどなくなったイセは唐突に雄たけびを上げた。
すると、その雄叫びと共にミネラルホーク数匹が上空に舞い戻って来た。
次第に落ち出す水滴。
このままじゃ、回復されて……最悪池も。
「こっけ……」
「こいつ、まだ……そんなことできるのかよ」
しかもその水滴によって若干色が戻ると、イセは翼を数回はためかせ自分の水色に色づいた羽をその場に漂わせ始めた。
そうして漂わせた羽はゆっくりと姿を変え……モンスターに。
これがミネラルホークの生み出し方。
ミネラルホークは攻撃の手段でもあり、自分を半永久的に回復させられる道具でもあったのだ。
これがこいつの、1階層ボスの切り札。
「くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそっ!! あーちゃんが折角作ってくれたチャンスなのに! ここで殺し切らないといけないのに! 俺は、俺は……ランク
C+なんだろ! なんでこんな奴も1発で殺せないんだよ! モンスターばっかり優遇しやがって! 俺だって俺だってモンスターたちみたいに――」
――ドクン。
心臓の鼓動が強く頭に響いた。
熱く血が流れる感覚。
痛みが、熱さが薄れて……アドレナリンが分泌された格闘家が痛みを感じなくなるみたいな、多分それに近い。
でもそれとは別に自分の身体が自分の身体じゃないような感覚も……。
『身体強化を重ね掛けしたこと、また感情の高まりによって潜在能力が一部解放されました。テイム効果が高まり、テイムしたモンスターの呼び出しが可能になりました。また、従えたモンスターの数や種類に応じて能力が向上するパッシブスキル『王の従族優位』を取得しました』
「……やった。やった。やった。やった。これでお前を、でもまだあのくそ鳥たちが……。……。……。呼び出し、か。そういえばあいつ、鳥への強制力を行使できる、よな? ……あははははははは!! ならもう簡単じゃん! おい! 朗報だからよーく聞けくそ鳥の親分! こんな状態のお前になんか手こづらなくてもよくなった! だって俺はお前の子分よりもカッコ悪くて、最低で、あーちゃんほどじゃないけど……優秀な仲間を呼び出せるようになったんだからな。こい! イキリ爺!!」
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