29話 爆発祭りじゃ!
「なんか……凄い焦げてない?」
北海道を連想するような広大な草原、呼吸をすれば澄んだ空気が肺に送られ清々しい気持ちに、とはならない悲惨な光景。
草原というか焼け野原という言い方があってるかも知れないほど、広範囲に黒く焼けた跡がいくつも。
どれもこれもまだ焼けたばかりなのか、草の匂いというか焦げの匂いが鼻を抜け、口の中には苦みが。
「ごげっ! ごげっ! ごげっ!」
「あんまり深く息を吸うな。にしてもなんでこんなことに……もしかしてこの辺りに火を扱うモンスターが――」
「ぺふぅ」
『オイルスライム【E】』
オイル、オイルってやっぱりあれのことだよね?
ということはつまり……
――じゅっ
「「「あっが」」」
「やっぱりか! 全員オイルスライムちゃんから離れろ!」
肉まんのお陰でオイルスライムちゃんは元気一杯。
その身体はマッスルチキンやイキリ爺でも抱えていられないほどの体温へと上昇し、ぱちぱちとちょっとずつ口から油が跳ね始めた。
とんでもない時限爆弾。
このままだと自然発火で俺たちまで燃やされかねない。
「モンスターの場合どれぐらいの燃え方なのかわからん!とにかく全力で走、れ……」
「ぺふぅ」
「ぺぷぅ」
「ぺぺぽ」
「ぴりぱ」
「ぱふぅ」
急いでその場から離れようとすると、焦げ跡から真っ黒な状態のオイルスライムが顔を出した。
どうやらこのスライム自体は火にすこぶる強いらしい。
しかもふるふる身体を震わせてるだけで色が戻って……うん。2発目?の準備は完了みたい。
無限油供給スライムとか最強だけど最恐じゃん!
――ぼっ!
「やばっ! あっつう!」
「ごきゃごけえああぁあ!!」
「ごかっ!」
「つぃぃあっ!」
「きぃえっ!」
そんなこんなであっという間に自然発火が起こると、辺りは火の海に包まれ、マッスルチキンたちの身体には火の粉で所々ハゲが……。
嫌だ。
あんなみっともないハゲ方、美容院で直してもらうのだって恥ずかしいって!
「逃げ道、どこかないかどこかないかどこかないか……あった! あそこ! 全員で突っ込め! って押すな! お前らは俺の後に決まってるだろ!」
「「「ごが!?」」」
一筋の光。
僅かに火の手が掛かっていない道を焦り散らかしながら見つけると、俺たちは自分が自分がと先頭を譲ることなくぶつかり合いながらも……
「はぁはぁはぁはぁ、セ、セーフか?」
安全地帯っぽいところに到達。
安堵の空気が流れ、全員で少し振り返ると勝手に笑いが込み上げてくる。
こんなに焦るのもダンジョンの醍醐味?だよな!
俺、ちょっと頭おかしくなってきたな!
「あはははっ! って、あれなに?」
「ごが?」
思わず空を見上げ笑っていると、何かが飛んでいるのを発見。
どうやらイキリ爺もそれに気付いたようで一緒に見上げている。
すると、その何かからイキリ爺の顔に水滴がポトリ。
『ミネラルホーク【G】』
多分だけど、水を精製するタイプのモンスターだよなあ。
高温の油に水ってヤバいんだよなあ。
「ごが」
「どうしたイキリ爺? 」
「ごがが!」
「その手の動き……ああ、何か書いて伝えたいのね。今なにもないから……ほら、俺のTシャツにその手の炭で書いてみ」
「ごが!」
『ダンゲア(・_・?)』
イキリ爺の奴、なんでか知らないけど多分dangerのスペルは知ってるって感じか。
折角だし俺も書いて、っと。
『多分デンジャーだな、それ("⌒∇⌒")』
「……」
「……」
「あはははははははは……」
「ごがががががががが……」
おかしくなって馬鹿みたいに笑う。
それで思いっきり笑った後、全員に肉まんを配給。
さーて、最後の晩餐といこうか。
「お前たちサンキュな!カンパーイ」
「「ゴカガガーイ!!」」
――パンッ!!
そうして俺たちは肉まんを頬張ると、爆風に身体を運ばれていったのだった。
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