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春雨・春下し

『春雨』


懐かしい匂いがする


濡れたアスファルトの黒色から


窓の外を打つ雨の音


傘を指して歩く日の街が


何処か遠くの国のよう


慣れてきた都会のワンルームは


まるで監獄の一部屋のようで


隙間から入る涼しい風と


春雨の上げる香りが


唯一外を感じさせた


罪は生きていること


罰は生き続けること


雨音だけは私を責めない



『春下し』


一夜明けてよれたスーツ


裾に貼り付く自尊心


街灯より明るくなる空


桜の花は半分だけ落ちたまま


葉の色に混ざる


あの日に取り残されたまま


ずっと夢を見ている


冬眠から覚めた花々に


取り残されるように立ち尽くす


意図せずに君の衣は薄くなる


淡い春に袖を通し


明るく着飾る君を夢に見る


僕は目をゆっくりと開ける


暖かくなった街


先を行き小さくなった背を見て


僕は一人


春を下ろす

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