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無題
朝の切りつけられるような空気
進まぬ足、聞かなくなった電車の音
香りの抜けた紅茶の茶葉
生活の波に溺れて
見失う、息をする本当の意味
冬の空への呼吸はただ苦しくて
失ってしまったなにかを
擦れた革靴を履いたまま
ずっと探している
街は冷たい
花の名の付いた商店街
取り残されたイルミネーションと終電
厚手のコートに守られたまま
幼子のように泣いている
手を伸ばし、何かに縋りたくて仕方ない
迷子の大人が泣いている
昔握っていたそれを
泣きながら、嘆きながら
ずっと探している