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冬日、窓際
音楽室に差す光には靄
3年分の大した汚れのない制服
少し木の匂いがする机の上で
君の鳴らすピアノを聴いていた
いつか見た青春は遠くへ
曇り空にはその死んだ重りを落とす
遊びの時間はもうすぐ終わりだと
笑い声を遠くへ押し流した
汚い大人への憧憬を抱く僕を
君はその才能を持って笑った
木の匂いのしない机の上で
僕はずっと大人を演じている
窓の外には冬の濁った日の光
君は今もその美しい指先で
僕にできなかったことをたくさんする
羨ましかった
メッセージアプリで綴られる君の今
タイムカードに刻まれる僕の今
あの日、音楽室から見た冬の空は
君にはどう見えていたのだろうか
少なくとも僕よりは
ずっと綺麗に見えていた




