表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/21

21話、対決のはずだったんだ!

読んでくれてありがとう。

なぜ、なぜなんだ?

昨日はうまくいったじゃないか。

なのになぜ、連日アヤカシと会わなければならないんだ!

俺たちの目の前には空っぽのプール。

隣には、アヤカシのぬらりひょん。

今は真夜中だぜ?

子どもの労働は禁止なんだぜ?

中学生も、電車は大人料金だけどさ。

理不尽!





北高校で夜を待ち、出てきたぬらりひょんに、りおちゃんとふとっちょを紹介した。

おにぎりと、大量の大根の漬け物(ばぁちゃんが持たせてくれた)をぬらりひょんに渡しながら、酒を作ってみたけど飲むかを聞いてみた。

それはもう嬉しそうに、飲む、と。


百鬼夜行日(ひゃっきやこうび)じゃないけど、みんなを呼ぶから待っておれ、と俺たちはぬらりひょんに待たされた。


校庭の隅の双松から、出てくる出てくるアヤカシの群れ。

俺たちは、おにぎりと漬け物を持って、出てきたアヤカシに配給するかのように渡していった。


皆が出てきたんだろう。

ぬらりひょんが酒の場所を聞いてきたので、近くの小学校のプールまで案内し歩いた。

もしも目撃した人がいたなら、百鬼夜行の先頭が俺たちのような奇妙な景色だっただろう。


そこからは大騒ぎだった。

用意していた紙コップでどんどんプールから酒をすくって飲み始めた。

プールサイドにおにぎりを山程おいて、俺たちは帰るよ、とぬらりひょんに伝えた。

そう言った瞬間、ぬらりひょんから殺気が(ほとばし)った。

空気が劇的に凍りついた。


「明日も来い。待っておる。礼と、言いたいことがある。」

そう言って、ぬらりひょんは宴に戻っていった。



俺たちは帰った。

帰り道、校舎の屋上を見上げると、しっかりと合図があった。あそこには校長先生がいる。

アヤカシのいるプールを監視するためだ。アヤカシが酔いつぶれるなら、この作戦は上手く行くだろう。後は大人に任せるしかない。


子どもはもう寝る時間だ。

それにぬらりひょんの殺気でまだ体の芯が震えているからな。

もう何も手につきそうもない。




次の夜、俺たちは再び双松にいた。

ぬらりひょんが杜氏(とうじ)だなんて知らなかった。

ぬらりひょん曰く、

「材料はすこぶる良いものじゃと思うが、発酵がお粗末」

とのこと。

ぬらりひょんが指揮する通りに、材料を入れて作って欲しいと。


なんてこった!

働きたくないでゴザル。


まぁ、二日酔いで寝たまんまのアヤカシが何人かいるから、酒造りがうまく行けば、厄災に勝てるのだろうけど。

俺たちはなぜ、アヤカシに酒を作らされているんだ??


そう思いながらも、ぬらりひょんの言う通り、水を入れたり米を入れたり温度を調節したりしている。

りおちゃんの水魔法で蓋をして、今日は解散だ。


この小学校にアヤカシが住み着いたみたいになってしまった。大丈夫と信じよう。




数日経った。本来なら日本酒は月単位で作っていくものだが、そこは魔法をばかすか使って、無理矢理に進めていく。


ぬらりひょんが味見をした。

そしてこっちにずんずんと歩いてきた。

ぬらりひょんは握手のように手を差し出し、

「わしは、わしはお前たちの陣門に(くだ)ることにする。」


「「ええっ!!」」


「わしが気付かんとでも思うとったのか? 急に人間からもてなされたら、いくら勘が悪くても気付くじゃろ。いやぁ、久々に楽しい酒造りをさしてもろうた。人の世はやめられんなぁ。かあっ、かっ、かっ。」


ぬらりひょんの高笑いを見ながら呆然とした。

握手はスルーした。



お土産じゃと渡された日本酒は、持ち帰って、親にあげた。

ぬらりひょんは味方になってくれたが、百鬼夜行の一鬼が味方になったからといって、結局、百鬼は百鬼のまま。百は、多いって意味で厳密に百ってわけでもないからな。

それから、ぬらりひょんは、松江だけじゃなく島根県の酒蔵にこっそりと出向いては、楽しく酒造りを始めたらしい。自分の気に入る日本酒にする為に努力をしていると。

、、、それ主人公ムーブやん。情熱大陸密着的なやつやん。


俺の家の親は、日本酒があまりに旨かったらしく、ぬらりひょんが手を加えたという噂がでた酒蔵のお酒を買っては舌鼓を打っている。

最初のお酒、小学校のプールで作ったんだけど、、、と微妙な気持ちになる。



夜更かしして頑張ったのに、ぬらりひょんを懐柔して終わるという結末に、徒労感を隠せなかった。

俺たち3人は、いつものように鷹日神社のお稲荷さまのところで、愚痴を言うおにぎりパーティーを開いていた。


「ほれ、ほれ、我にも日本酒のお土産があるのじゃろう。」

「いや、ないけど、、、」

「なっ、、まぁお揚げだけでもよい。早う出せ。」

「いや、ないけど、、、」

「なっ、、なんでじゃー。今回、我頑張ったじゃろ? おぬし何も持ってこんのか?」

「忘れてた。」

「なっ、なっ、、、」

「それに、あれ、なんかお礼って言ってなかった?」

「礼には礼を返すのが、日本の美徳じゃろがーい」

「そんなん無限ループやん、」

「あぁ嘆かわしい。日本はいつからこんな国になってしもうたんじゃ。よよよ。」

お稲荷さまはわざとらしく泣く真似をして見せた。


なんだか平和だ。


するとふとっちょが、

「酔い潰す作戦はうまくいきそうで良かったよね。あとは4ヵ所で酔い潰れたアヤカシをどう倒していくかだけど。俺とりおちゃんは倒せるとして、あと2ヶ所。」


「あれ? 俺は?」


「りょうすけって、倒せるん? おにぎりって攻撃手段になる?」


「そう言われると確かに、攻撃にはむいてないかも、、、。」

と平静を装って答えたけど、内心はドッキドキだった。りおちゃんが戦って、俺は何もしないとかダサ過ぎるでしょうよ。

攻撃手段を身に付けないと。


、、、おにぎりで圧死を狙う、、、

、、、おにぎり弾、、、

、、、おにぎりを喉に詰まらせて、、、


現実的な攻撃手段が何もない、、、。


悲しみ。

「汚れちまった悲しみに今日も小雨の降りかかる」

とうたった中原中也も、人でなしだったんだよなぁ、先生が言ってた。

石川啄木も、、、。

借金まみれ、、、。

関係ないのに巻き込んでしまった啄木さん、ごめん。

まぁ、彼よりましか。


と現実逃避をしても仕方がない。


俺には攻撃手段がない。


武器か。武器だな。

スサノオノミコトの草薙(くさなぎ)の剣は、確か天皇が持ってるから無理だな。

出雲歴史博物館に、なんかあったなぁ。でも借りるのは無理か、、、。

歴史的な剣とか錆びてそうやし、作ってもらうか。

どこで?

島根には、たたら場があったな。

そこに行くしかないな。うん。






あなたは誰ですか?

評価してもらえると嬉しく思います。


俺は、俺はあなたに話しかけてるんだ。

GADOROが「ありのままで行こう」で、つたない歌詞ながらも泥臭く歌ってた。


知ってますか? ローファンタジーの日間ランキング100位って、評価の☆5個を、4人がつけてくれるだけで入れるんです。 ブックマークも入れたら、たった2人。

評価5とブックマークを、たった2人がするだけです。


あなたは誰ですか?



押しつけがましいな。

酔ってるから許してください。

キンミヤをコーラで割って飲みすぎたのです。

キンミヤ、うまい。

てか、無味。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ