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2話、親に話す

「ねぇりょうすけ君。どの魔法をもらったの?」

隣から谷口りおちゃんが聞いてきた。

華奢で、笑顔がかわいくて、妖精みたいな女の子だ。


「どのって言うか、、、。まずは親に話してからかな。また教えるよ。」

俺は冷や汗をかきながら、なんとかごまかした。


「そっかぁ。そうだよね。私もまずは親に話すことにしよう。すぐ後ろでこっち見ながらで待ってるしね。」

そう言って、りおちゃんは両親の元へと走っていった。


そう。魔法を授かるイベントは一大イベントゆえに、親が後ろで見守っている。俺もこの後、報告せねばならない。


とりあえず正直に報告するしかないよな、、、。

そう自分に言い聞かせて、俺はとぼとぼと親の元へ歩いていった。



「なにしょぼくれた顔してんだ。どれだっていいんだ。現代なら、どの魔法をもらったって、そんなに大差ないさ。」

父は俺の肩を叩きながら言う。続けて母も、

「そうよ。それでどれだったの?」

と笑いかけてくる。


いや、父母よ。どの、ではないんだ。聞いたことないんだ。大きい声では言いにくいんだ。

そう思った俺は、

「家に帰ってからでいいかな? お腹すいちゃったよ。」

とそそくさと駐車場に向かって歩き出した。



俺は帰りの車内で心を決めた。


「あのさ、どれでもなかったんだよね。魔法。俺は聞いたことないんだけど、知ってる? おにぎり魔法。」


「「おにぎり?」」


父母は声を揃えた。母は、

「帰ったら使ってみようね」

と優しく言ってくれた。少し鼻の奥がつーんとしたけど、泣きそうなのをこらえた。


もう10歳だからね。



家に着くと、早速使ってみた。

使うのは起動句を言えばいいらしい。

父母いわく、イメージしやすいなら何でもいいとのことだったので、右手を伸ばして

「おにぎり」

と言ってみた。


右手の少し先から、白いおにぎりが1個現れ、地面に落ちて、ころっと転がった。


砂がついたおにぎりを拾うと、少しだけあったかかった。

割ってみると具はなにも入ってなかった。のりもついていない白いおにぎりだった。



どうやら、おにぎり魔法は、本当におにぎりを出せる魔法みたいだ。


そこから父母の言葉はよく聞き取れなかった。

俺は自分の部屋に込もって、少し泣いた。


それから、おにぎりともう一度唱えて、食べてみた。塩味はちゃんとした。

涙のせいじゃないと思う。



次回より、本格的にスタートします。

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