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15話、2つ目の試練

8月の終わり、キャンプを道具を背負った俺とふとっちょとりおちゃんは、昼過ぎに須我神社に連れてこられた。

ここはスサノオノミコトがヤマタノオロチの退治後、クシナダヒメと結婚して新居を構えた所だ。日本初の神社で、とても由緒ある場所だ。


本殿を通り過ぎ、どんどんと山を登っていく。

どうしようもなくなった時は本殿に戻ってくれば、なんとかなるという配慮がされているらしいが、前回の俺の試練の方がどう考えてもきつかった。

そういう意味では、ほんと楽勝と言える。


りおちゃんは、夏の間に髪を短くしていて、これはこれでスポーティーな感じがとてもいい。成長期の肉体は重力に抗い続けて伸びるから、あり得ないスタイルだ。細い足首と、スラッとした脚。控えめな胸だが、人体のバランスが、人間のそれじゃないと思う。多分、少しだけ浮かんでいるとかそういう奴だ。

「まだ暑いねー。」

そう言うりおちゃんの首筋に汗。光る。宝石だ。


「だよねー。俺もそう思う。」

ふとっちょは食べ続けているのに、そんなに太ってない。むしろなんだか筋肉質に近づいてきた感じ。不思議。


「おもてなしする神様のことって、何か知ってる?」

俺は2人に聞いてみたけど、2人とも分からないみたいだ。

とりあえず、気さくな神様らしいので、楽しんでこいと言われたとふとっちょが言っていた。

まぁおもてなしの練習だろうし、気難しい神様と過ごさせることはないだろう。


俺たちは、この夏にあった色んなことを話しながら、のんびりと山の奥を目指して歩いていった。


ちなみに現在の3人のステータスは、本殿にて確認済みだ。



野津(のつ) 良佑(りょうすけ)

11歳

HP 113

MP 1857

おにぎり魔法


谷口(たにぐち) りお

11歳

HP 115

MP 1432

水魔法


小林(こばやし) 拓海(たくみ)

12歳

HP 117

MP 4303

火魔法



もはやぶっ壊れ性能の3人。

なんでもできる気がする。

まぁ、その性能を遺憾なく発揮する場面など、くるはずもないのだが、、、。

(フッラッグ!フラグ!!やっとここまできたよ!作者のイメージでは、ここ3話目くらいの予定!おかしない? ねぇそう思うよね? ね? 取り乱しました。すみません。)





「おっ、やっときたんか! 待ってた待ってた。まぁ座り。とりあえず話でもしようやないか。」

山の少し開けた場所で、倒木に腰かけた少しふっくらしたおじさんがこっちに笑顔を向けている。


そんなおじさんにも爽やかな笑顔でりおちゃんが聞く。

「こんにちは。神様ですか?」

「そうそう。神様。まぁ、のんびり喋ろうて。」

座らせようと急かす神様の言う通り、3人とも荷物を置いてから、倒木に腰かけた。

みんな同じ方向向いてたら喋りにくくない? 俺がそんなことを考えていると、神様が、

「男2人は、テント張ったり水くんできたり、働かんとなぁ。こんなやわっこい女の子にそんなんさせへんやろぅ。」

と紳士気取りのねちっこい響きのことばを吐いた。


ま、まさか、この神様、ロリコンか!


どうしようりおちゃんが、、、と慌てる俺とふとっちょをよそにりおちゃんが言った。

「水は私の魔法でいくらでも出せますよ。それにテントもりょうすけ君があっという間に出せます。特に準備なんてないですよー。」

とけらけら笑っている。


ほっ、、、。そうだ。ロリコンめ。神様だからって、言われた通りしなくても大丈夫だ。慌てることはない。

俺たちがいかにチートかを見せてやる!


というわけで、俺はおにぎり魔法でのテント作りを披露することにした。これはりおちゃんやふとっちょに話したことはあったが、見せたことはなかったので、俺はちょっと張り切って作ることにした。


まずは、地面。くぼみがあってでこぼこだったり、切り株が残っていたり枝が落ちていたりするので、目の前の5メートル四方に、固めたおにぎりを出して平地にした。お米の粒は小さいので、イメージさえできれば水平な地面を作ることなんて造作もない。おまけでテーブルと4人分の椅子も出した。これに座れば、ロリコン(しん)が、りおちゃんにべたべたくっつきにくくなるだろう。

次におにぎり魔法で壁と屋根を作って、1つの箱みたいにした。寝る時にはまた1人ずつの部屋を作ればいいだろう。はじめから部屋があると、せっかくのりおちゃんと一緒にいられないからな。

「テントできました。」


おじさんは、

「お、おまっ、これテントちゃうやろ、、、。なんやこれ。」

「おにぎりでできたテントですね。」

「おにぎりって、、、おにぎり?」

「えぇ、僕は魔法でおにぎりが出せるんです。」

してやったり。ふっ。おじさんは目を丸くして、ぽかんとテントを見ていた。

りおちゃんが、

「確かにこれはテントじゃないね。家だね。うん。」

と笑ってくれたので、俺は鼻高々だった。


夜になる前にご飯を作ってしまおうと言うことで、りおちゃんが、鍋に魔法で水を出した。

ついでに中身を抜けば、ぺちゃんこになるウォーターバッグに20リットルの水を入れてくれた。何時でも誰でも自由に使えるように、と。

切ってきた野菜や肉を放り込み、ふとっちょが火魔法で温める。もはや鍋を置く台すら用意していないが、ふとっちょに言わせると問題なく温められるようだ。


準備をしながら神様と話そうとするが、何やら独り言のようにぶつぶつ言っているので、しばらく放っておいて、色々と準備しようと言うことになった。


そこで、おにぎり魔法で浴槽と浴室を作った。作った浴槽と浴室は、ふとっちょの火魔法で軽く炙って頑丈さをプラスしている。お湯は、浴槽の上でふとっちょの火魔法で火を焚き、その上にりおちゃんが水を出して温める。水がお湯になったところで、浴槽に入れる。


自然のことを考えて、今回は皆、無添加シャボン玉石鹸を持ってきているので、順番に風呂に入った。

ちなみに洗面器や椅子はおにぎり魔法。長時間だとふやけてしまうが、少し使うくらいならどうってことない。かなり固いおにぎりまで出せるようになったからなぁ。しかもこれも炙られているので、もはや死角はない。

りおちゃんが入浴中は、ロリコン神の様子をうかがっていたが、まだぶつぶつ言っているので、安心した。


3人がさっぱりした後で、神様にも風呂に入るか聞いてみたが、入らないと言う。汚れたりはしないんだそうだ。さすが神様。気分の問題で入りたい神様もいるらしい。なんとも自由だ。



おにぎり、漬物、具だくさん豚汁、水の晩ご飯ができあがった。テーブルに運んで、食事をする。一応、神様の分も、お椀によそった。

りおちゃんが、いただきますの号令をかけた。

「おいしいー。」

とふとっちょがハイペースで食べるので、ふとっちょには特大のおにぎりを出してあげた。


神様が豚汁をすすり、おにぎりを一口かじってから、神妙な感じで喋り始めた。

「試練は合格や。もう合格。おめでとさん。」

俺たちはびっくりして顔を上げ、神様の方を見た。ふとっちょだけはもぐもぐしている。神様は続けた。

「明日からの4日間、ちょっと頼みたいことあるよってに。大丈夫。おまんさんたちなら、あんじょうできる。」


ロリコン神は、真面目な顔で説明を始めた。


あれっ? この神様、結局、なんの神様?



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