【ボブの食堂】のボブ
ライラと一緒に来た男は、目を見開いて、言う。
「おい! ライラ! このどうみても学生の美男美女のガキが、タダでいいから働かせてくれっって言ってんのか? 冗談だろ?」
「ボブ、これが冗談じゃないのよ。 2人とも19歳で夫婦よ。 あと、旦那さんは、女性恐怖症なんだって。 私も女にみえて、苦手なんだってさ。 嬉しいね。」とバンバンとボブの肩を何度かを叩くライラ。
「いてーな。 まぁてめーは、そこに座ってろ。」と言ってライラをカウンターに座らせ、自分はシュンとリンの座るテーブルにつくのだった
「俺はボブだ。 で、お前らは?」
「俺はシュン、でこっちがリンだ。」
「ライラが言っていた、タダ働きで構わないから商売と接客業を教えてほしいってことは聞いた。 でもな、なんでこんな食堂を気に入ったんだ?」
「そーだな、簡単にいや感だな。 特異体質で、魔力の質が分かって、俺と相性がいい奴がわかんだ。 あんま、人付き合いも苦手だから、いろんな店とか見てたんだが、唯一ここなら俺との相性がよさそうというか大丈夫そうって思ったからだ」
「はぁー、その魔力の質ってのはよくわかんねぇーけど、感で決めたってことか。 面白い奴だな。
ってたくエールがねぇ、ライラ」
「もう、休みだからって。 店のもんだよ」とライラが文句をいいながら立ち上がろうとするのを見て「俺 エールあるぞ。 飲むか?」と俺がいい、人数分のエールをテーブルに置いた。
「わりぃーな、ってどっから出した。 んで、冷えてんだけど。 おい、ライラ お前も」と突っ込みつつ、ボブはライラにもエール渡し、そして飲み始める。
一口飲んだボブ。「なにぃー。 すげーうめぇーんだけど。 このエール」と叫ぶのだった。
「おい、どこで手に入れた? つうか、シュンだったな、お前ら何もんだ?」と美味そうにエールをのみつつ、突っ込んでくるボブである。
アーク産のエールはうまいから、その反応はよくわかる。
「働かせてくれれば、教えるが今はダメだな」
「そーだよな。 あ、そうだ、シュン料理作れるだよな。 一品でもいいから何か作れ。 材料は適当にそこにあるのでな。」
料理作れるっていって即採用になるわけでもないのは理解していたから、俺はボブに言われた通りに厨房へ行き料理を作る事にした。 ライラは俺が移動すると、ちゃんと一定距離を保って別の場所に移動してくれた。 正直ありがたい。
それから食堂の中は俺が料理していたのもあり、いい匂いがし始める。
料理が出来ると俺は、「リン、出来たから運んで」というと、リンがテーブル席とライラの分を配膳する。
俺が作ったのはピザとフライドポテトだ。 俺は厨房の中を片付けてから、リンとボブのいるテーブルに行く。
「エールにあうツマミにしてみたんだが。 って何、黙ってるんだ?」
俺の作った料理をもくもくと食べてエールを飲んでいる、ボブとライラで、何の反応もなかったから気になった。
「悪い、食べたことない料理で、食ったらエールにあうわで、うめぇーんだけど。」とボブがいい、ライラも「あー、摘みに最高だわ。」と絶賛している。
食べ終わったボブが真面目な顔をしながら、俺たちに言う。
「ははは、深く聞くのはやめだやめ。 ただこれだけは教えてくれ。 誰かに狙われてるとかじゃねーよな。」
結構ボブは鋭いな。 まぁ、賃金いらないとか言ってたら、何か事情があるって思うのか? 思うかもしんねぇーな。
「はは、それは無い。 あえて言うなら目立ちたくねぇーだな。」
「そっか、狙われていて、俺やライラが危険になるのは避けてぇーだけだからな。 なら、合格だ。 もう深くは聞かねー。 ここで働け。 俺がダンジョン行っている間、ライラは1人だ。 リンていう話し相手もできるしな。 それに、シュン、そのエール、店でだせるか?」
「俺の知り合いが製造してるんだが、販売はしてねぇ。 販売許可ってのとるの面倒くさいし、そもそも商売目的で作っているわけでもないしな。 よくわからんが、店だけで飲むとかでいいんなら融通利くが、そういうのできるのか?」
「あー、自家製ってので、店の中だけで提供する分には問題はない。 月100ダース仕入れられれば完璧なんだが。。」
俺は、その話を聞いて、そういう方法があるんだと思う。
「あ、ちなみにワインもあるけど、飲むか?」といって俺がワインの小樽を渡す。
アーク産のワインを試飲するボブとライラは、コクコク頷きながら上機嫌になっている。
「ワインもうまいな。 大樽で月2樽用意できるか?」
「ああ、エールもワインもその量でありゃ、用意出来るんだが、その知り合いが結構辺境に住んでんだ。 だもんで、半年に一度3週間 仕入れの関係で、リンと休みかねて不在になっていいなら全部用意できるぞ。」
するとボブはゲラゲラ笑いだす。
「ははは、すげーや。 雇うとか辞めだ。 共同経営でやろう。 休みも了解だ。 なんせ、この食堂は毎日営業しないしな。
俺もいつまでも冒険者でいるわけでもねぇーし、下手したら王都の息子夫婦ところに行く事になるかもしれないしな。 その時が来たら、ここをお前らに譲る。 といっても5年ぐらいだろう。
んで、お前らもここを拠点に商売続けてもいいし、売ってもいい。 俺らが接客業とか教えて、シュンが酒を提供。 ついでに、ここの2階が空いてるからそこへ住め。 どうせ、住むとこまだ決めてないだろ。 お互い過度の干渉なしだ。 シュン苦手っぽいしな。 利益分配とか、もうかんねぇけど細いことはおいおいきめる。 酒の仕入として払うしな。 どうだ? 」
そう矢継ぎ早に、提案してくるボブだった。
「ああ、まったくもって問題ねぇー リンもいいよな?」「うん、問題ないです。 」
それからボブが食堂の営業時間など説明してくれた。
食堂は金と土日だけの営業で、火曜と木曜はボブは仲間達とダンジョンに潜るらしい。 仕入や帳簿管理は全てライラがやっている。 ボブの仲間や常連がおり、昼と夜の営業だが人気があるとか。料理は定食、または大皿料理を夜だしている。
その日は、俺らは宿へ戻るが、夕食を俺がつくり、明日 引っ越すことにして別れた。
こうして、あまり苦労する事もなく俺とリンは、職と居住場所を確保する事ができた。 ちなみにボブが依頼した量のエールやらワインは、次元ボックスにかなりの量をストックしているから十分間に合う量というか、1/100にも満たない。 俺が仕入といったのは、魔界の任務である『瘴気の森』間引きがあるからだ。 それに俺も半年に一度くらいアークの所にも行きたいから、ある程度の休みを確保する必要があった。
とりあえず、幸先のよいスタートだ。。 後は、リンの友達を作りだな。。