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【白銀の黒帝:3】迷宮都市でのお仕事  作者: 八木恵
4章:食堂経営編
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食堂にきた、ひ弱な男①

それから数週間後、夜の食堂営業時間に1人の冒険者ではあるが、細身で気が弱そうな20代半ばくらいの男が来店した。 カールが対応して1人だという。 ちょうど席は埋まってしまったので、カウンターに案内する事になった。


厨房で料理を作りながら俺はその男の様子を観察していた。 挙動不振だ。 出来た料理を出し、リンとカールに配膳させる。

「何を食いたいんだ?」と俺が聞くと、「すみません。 僕 ほとんどお金なくて、今銅貨3枚しか。。 ここのエールが美味しいって聞いてせめて最後にと思って」という。


なんか、訳ありか。。 

「ちょっと待ってろ」といって、俺は厨房にいき、5分後にチャーハンとエールを男に出した。


すると、男が驚いている。 まぁ、そうなるな。

「賄いだ。 金はいらねーよ 食いな。」と俺が言うと 「ありがとうございます。」といって食べ初めて、泣きながら「美味しいです」と連呼する男だった。


「どうやってお返しすれば」と男に言われて、「冒険者なんだろ。 ダンジョン潜って金できた時にでも、食べにきてくれればいいよ」と俺が言うと、男がポツポツと語りだす。


自分は無属性の次元ボックスが使えるが戦闘能力は低く今まではパーティ仲間に重宝され荷物持ちをしていた。 報酬も6人パーティーで均等に分けていたが、半年前から急に方針が変わり討伐した分となり自分はそれから1銭も稼げなくなってしまい、たまにある荷物運びの日雇いでなんとか今日までやってきた。


するとちょうど良いタイミングで、ボブの冒険者者仲間が4人きて、「シュンちゃん、リンちゃん、来たぞ」と入店し、「ん、どうした。 しけた面したあんちゃんは?」といいながらテーブル席に座る。


リンが説明すると、「あんちゃん、こっちきな。 俺らと一緒にのもう」と誘い、その男を囲いながら食べたり飲んだりしている。


閉店時間も近くなり、リンが店の看板を”Close”にかえると客はボブの仲間たちと男だけだった。 俺は賄いを用意し、カールに渡し、俺とリンはカウンターで、カールも近くで食べ始める。 エールを呑みながら。


するとボブ仲間が「シュンちゃん、俺らあんま魔法の事詳しくねーけど、次元ボックスって珍しいんだよな。」ときくので、「ああ、無属性の派生だ。 俺も最近の事情は知らねが珍しいんじゃねぇ。」というと、「あんちゃん、元気だせよ。 珍しいってさ。」って励ましている。


「そうなんですが、僕 まともに魔法習ったことなくて。。無属性ってあんまり学校で教えてくれなくって」

「シュンちゃん、そーなの?」と聞いてくるボブの仲間。

「ああ、無属性って身体強化で終わりじゃね。 念話とかも学園じゃ教えねぇしな。 次元ボックスだって、センスの問題だ。 理論が難しいからな。」

「さすが、元魔法師、詳しいね」って言われてしまった。


俺が言っている内容は、たぶん詳しいレベルではないが誰も突っ込まないので俺はそのままスルー。


「あんちゃん、荷物持ちはできるだろ。 俺ら、週2日ぐれいしかダンジョン潜らねーが荷物に今こまってんだ。 ボブがマジックバック持ってたけ引退しちまってよ。 んで、これも縁だ。 俺ら報酬折半だ。 毎日じゃねーが、俺らと組むか?」というボブの仲間に、男は「いいんですか、よろしくお願いします。」といって組むようだ。


「シュンちゃん、こいつに無属性教えるってことできねーか? なんか宝の持ち腐れみてーでよ」と聞かれ「面倒だ。 んーでもな、ちょっと教えるでならいいか。 お前、ポーター君でいいや、月曜の朝10時にここに来い」と俺がいうと、 ポーター君は「わかりました。 」といい、その後皆会計を済ませて帰っていった。


◇◇◇

「シュン、珍しいな。 どうしたんだ?」

「シュンさんが人間に教えるなんて」とリンもカールも俺の珍しい行動に驚いていた。

「あー、魔力の質が良かったからだ。 が、あの年齢だ、鍛えても、魔力量も増えんだろ。 自力で無属性の派生、次元ボックス使えるんだ。  転移と魔弾が使えるようになるかなってな。」と俺が言うと「「なるほど」」と納得するのだった。


俺がポータ君に食事を無料で提供してやったのも、結局魔力の質だ。

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