リンの友達作り
俺とリンが魔の森から戻ってから、『ボブの食堂』でアーク産のエールとワインの提供を始める。
表向きの今回の休暇が、酒の仕入れだからだ。
1ヶ月もしないうちに大人気となり、別の種類の酒の提供はやめて、アーク産のエールとワインのみを提供することになった。
その頃にはランチ営業に、カレーライス、オムライスの提供もはじめる。 徐々に人気メニューとなる。
◇◇◇
そんなある日、ボブのダンジョンの日。
俺たちは、昼食後リンの淹れたコーヒーをのんで一息いれている。
俺は、タバコを吸いながらカウンターに座りコーヒーを飲んでいる。
「リン、そういや友達できたか?」
「うーん、まだいないと思う。」
すると、ライラが俺たちの会話が気になったようだ。
「友達ってどういうこと?」
「迷宮都市にきた理由の1つに、リンが友達が欲しいって言ってな。 で、友達できたかなって思ってよ」と俺がいうと、ライラが「もうリンちゃん、早く言ってよ。 友達っておばさんばかりもね。 やっぱり、同い年くらいの女の子がいいのかい?」
そう聞かれ、リンが悩んみながら、言葉を紡ぐ。
「それが、ざっくり友達ってどんな感じかわからなくてですね。 いままで作った事も、いたこともいないので。。。」
そんなリンの様子に、ライラが思案して、なにか閃いたようだ。
「いい事思いついちゃった。 木曜にデザートメインのカフェをやるってどう。 買出しシュンに頼む事になるけどね。 リンちゃんのデザートを提供するのよ。 女性客増えるし、そこから徐々に知り合いになるっていうのは? 営業もそうね13時縲・6時て感じで。 」
ライラは矢継ぎ早にカフェ営業をリンに提案している。 困ったリンが俺のほうを見てくる。
「ライラが協力してくれんだろ? リンがやってみたければやってみりゃいいんじゃね。 いろいろ経験するもんだって、昔カールも言ってだろ。」
俺は、昔カールと3人で旅していた時に、よく言われていた言葉を思いだしてリンに言ってみた。
リンの表情も少し変わって、決心がついたみたいだ。
「やってみたいです。」というリン。
その言葉を待ってましたとばかりに、ライラとリンはカフェのデザートメニューやらで盛り上がっている。
そして、決まったら動きの早いライラは、ボブをあっさり説得していた。
それから、1週間 店を休業して、外観の修理やら、カフェ営業の準備をする事になった。
店の外観は、俺が魔術で修繕して、レトロな感じで食堂としても違和感がないようにしてみた。
週一のカフェ営業は、ゆっくり寛いでもらうため、席数は16名として、テーブルは丸テーブルにした。
カフェ用の家具は、全てライラがデザインをおこして、俺が森で適当に木を見つけて、魔術を駆使しながら作成した。
ライラが、紅茶に詳しく、リンのデザートにあう茶葉を選定して用意していく。
大工仕事を俺が殆ど担ったかいもあって、改装の費用が大幅削減になった。 半分俺の趣味だったから、結構楽しめた。
ちなみに、倉庫は俺がさらに拡張し、時間停止やら冷却も各飲み物にあわせて最適になるようにした。
ここに入れるのは、俺、リン、ライラ、ボブのみにしている。
宣伝もライラがバッチリしていて、商業ギルドにリンが作ったクッキーを配っていた。
俺がする魔術について、この頃にはボブもライラも慣れたのか、特に気にせず、受け止めてくれているので俺としては楽だった。