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物語の区切りってやつだね

作者: 花園倉

開いていただきありがとうございます!


あまりいい出来ではないですが、最後まで読んで頂ければ、作者は逆立ちします。

 私はカメラマン。と言っても、個人で好き勝手に写真を撮っている者かな。

 今日の天気予報を見て、晴れているのを確信してから、ここ、滝を撮りに来ている。


 ここは地元民ぐらいしかしらない滝で、晴れている日を見つけては毎回写真を撮りに来ている。まぁ、このネットのご時世だから…もう私の…特別な場所ではなくなったんだけどね…。


 でもあまり人気がないのか、人を見かけたことは一度もない。そう考えればまだこの場所(滝)は、まだ私のものかもしれない。


「やっぱ、ここの滝の勢いはサイコー!」


 テンションが上がってきた。こうなると、私は周りが見えなくなってしまう。人の気配すらも感じなくなる程。撮影に没頭していた私は、後ろから来る人の存在に気づかなかった。


「こんにちわー!いい写真撮れてますかー?」


 私しかいないはずなのに、だれかが私に声をかけてきた?。そんなはずはないと私は無視して撮影を続行した。すると…


「ポンポン」っと、肩を優しく叩かれて、後ろに人がおることに気がついた。

 私はビックリした。


「わ!?へ!?」変なトーンで返事をしてしまった。


 後ろに立っていたのは30代ぐらいのおじさん?だった。一瞬、私は何か悪いことでもしたのかと考えた。


「こんにちわー!滝の音!凄いですねー!」男性はちょっと大きめな声でそう喋った。


 私も「そーですねー!凄いですねー!」っと返事した。


 正直、コミュ害の私は会話が大の苦手だ。ましてや男性なんて…そう返事するので全力だった。

 ここからどう会話を広めていかないといけないのか、まったくわからなかった私はとりあえず、激流に身を任せ、同化することにした。滝だけに…(ぁ


「あのー音がうるさいので、ちょっと滝から離れて喋りませんか〜?」と大きめなこえで言ってきた。


(これは新手のナンパなのでは)っとちょっと浮かれたが、そんな話があるはずがないと思った。とりあえず、相手は私と話したいそうだから…ん〜でもな〜〜私は別に話したいことないんだけどな〜。これで無視するのも後味悪いし、そうだな〜ちょっと話したら話を切ろう。うんそうしよう。今日の私はオフなのだから!


「わかりましたー!」そう言い、滝から離れたベンチで話をすることにした。


 私はカメラを片手にベンチに座り、木々が風で揺れる中、知らない男性と会話が始まった。


「いや〜私のワガママに付き合ってくれてありがとうございます!」

「あはは、私は新手のナンパかな?と思いましたよ。お一人でここにですか?」


「そうなんですよー。でね、久々にここの滝を見に来たんです。」

「へぇ〜そうなんですか。滝がお好きなんですか?」


「そうですね、いや、どうなんですかね。ただ…ここに来ると泣けてくるのです…。自然の猛威?ってな感じで!」


 男性はそう言うと、滝を眺め始めた。たしかに自然の猛威だけど、泣けてくるのだろうか。そんなこと考えたこともなかった。この男性は疲れているのだろうか。いや、逆に考えれば疲れているからこそここの…だれも来ない滝に来たのだろう。私もその一人だし。


「では、私はこの辺で失礼します。撮るものも撮ったので!」

「もう行かれるのですか?」


「はい。ここの滝は…誰も人がいないからこそ…感じられる神秘的なところです。お一人になられた方が、よりいい何かを感じられると思います。」

「そうですか。いや、ありがとうございます!もう少しだけ、ここにいようとと思います。気をつかわせてすいません。」


「いえ、そんな謝らないでください!なんか私が悪いみたいに見えてきますし!」

「はい」

「はい!では私は行きますね。」

 私は男性に手を振り、この場所を後にした。めずらしい出会いだったので、ついでにコッソリ男性の後ろ姿と滝を一緒に撮っておいた。


 そして1ヶ月後、私はまたあの人気のない滝に向かっていた。今回は写真を撮るのではなく、自然の猛威とやらを感じに来たのだ。滝が…?見えてきたと思ったら一人のおばあさんが滝を眺めていた。珍しいと言うか、なんでこんな人気のない滝に…、しかも一人で…地元の人なのだろうか…?私は声をかけることにした。


「こんにちわー」気さくに話しかけてみた。


「あ!こんにちわー」おばあさんは私に気づき、振りかえってニコニコしながら返事してくれた。


 どうやら普通の地元民だなと安堵した。という事で、なんでここに来ているのか聞いてみる事にした。


「おばあさんーお一人ですかー?」

「はい、そうです」

「なにしてるんですか?」

「滝を…眺めに来ました」


 当然と言うか、当たり前答えが返ってきた。(まぁ普通だな)っと最初は思っていた。

 でもおばあさんは…


「ここに息子が…1ヶ月前に来たと言っていたので…来て見たかっのです。」おばあさんそう寂しげに話した。


 息子さん?1ヶ月前にって、もしかしてあの男性の事言っているのだろうか?おばあさんは色々話し始めた。


「息子はですね。1ヶ月前に病室から抜け出して、どこかに出かけたそうなんです。どこに行ったのかわからず、行きそうなところは行っては探しましてね。2時間ほど探して、結局、見つけられなくて…病室に戻ったら、何気ない顔で戻っていたのです。おかしな話ですよね。みんなを心配させて、あげくのはてには「あ、ごめん」の一言ですよ。まったく…バカな息子ですよ。」


 あの男性…病人だったんだ。そこそこ元気そうだったからわからなかった。でもなんで病院から抜け出してまでこんな人気のない滝に来ていたのだろうか。


「あら、ごめんなさいね一人で色々話しちゃって。これは…悔いなんでしょうね。でもあなたには、話してもいいとも思えるのです。続きを聞いていただけますか?」


「はい。」私は二つ返事で答えた。


「ありがとうございます。そんな…バカ息子ですがね、昨日…亡くなってしまいましてね。遺書が残されておりました。遺書には謝罪文がほとんどでしたが、最後の一行に「またあの滝を見に行けたらいいな」と書かれておりました。おそらく、ここの滝でしょうかね。病院から歩いてこれるところと言えば、ここぐらいです。息子はここでなにを感じ、なにを思い、この滝を見にきたのか。それを確かめに私は…ここへ足を運びました。ですが、普通の滝ですね。私では滝の魅力なんてわかりません。私は…息子に対する愛が浅かったのでしょうかね…。」


 バカ息子と言いつつ、息子の行動をちゃんと見ているあたり、とても愛がないとは言えないいと思った。でも私は考えた事もなかった。こんなふうに息子を思う人がいるなんて…。私は…幼い時に両親が離婚して、父親と二人暮らしてきたけど、あんなふうに思ってもらった事なんてたぶん一度もなかったとおもう。父は仕事でほぼ帰ってこない状態でお金だけが用意されているだけの毎日だった。ただ、私の救いはこのカメラだけだったし、愛があるか、ないかだなんて、とても私には答えられそうにない…。おばあさんは…


「ごめんなさいね。見ず知らずの人にこんな話をして…。本当は心に留めておくつもりでしたんですがダメでしたね。」おばあさんは笑顔で言った。


「おばあさん…私…」

「いいのですよ。無理に答えなくて大丈夫です。ごめんなさいね。いろいろ気を使わせてしまって…。」

「おばあさん…私は…あなたの息子さんにお会いしたと…思います…。」

「そうですか…」


 おばあさんは何かを察したのか、たわいのない返事をした。


「写真があります。確認していただいても…いいですか?」


 なんでこんなこと言ったんだろ…。全く関係ないのに…こんな…古傷をエグるようなことをして…。おばあさんを心を傷つけて、私は…一体何がしたいのだろう。傷つく痛みを、私は知っているはずなのに…。


「いいえ。結構です。」おばあさんは首を振った。

「おばあさん…」

「それを見たところで息子とはもう会えません…。ただ…本当にありがとうございます。息子も私もこれで報われると思います。彼の最後の出会いが、あなたで本当に良かった思います。私はこれにて失礼しますね。」


 そう言うと、おばあさんはちょっとニコニコしながら帰って行った。


 私がおばあさんの息子に会えて良かったとはどういう意味なんだろう。目の前の滝は流れ続ける。でもここに一つのドラマがあった。滝を眺め続ける男性。私とおばあさん。そしてこの場所。この場所も、だれかの物語の一部なのだろうな。あの二人の物語は完結している。あとは…私の物語だけだ。


「もう…終わりだね…」私は…滝を見て、つぶやく。


 ここの滝にもう来ないことが私の…この物語の終わりなんだ。あのおばあさんもここにはもうこないのだろう。ここにこしつしていた私も新たな物語を、歩み始めないといけないかもしれない。私はちょっと笑い、息子さんの写った写真のデータを消した。


「さようなら。ありがとうね。」滝に向かってそう言い、私は歩み始めた。


 これでこの物語も終わり。たまには、お父さんと話をするのもいいかもしれない。この滝のこといっぱい話そう。それが私のしたことのちょっとした罪滅ぼしだ。


読んでいただきありがとうございます!


投稿3週間ぶりになります!(仕事が辛くて…orz)


あ、おばあさんが報われると言った真相は、息子には家族以外の知人も知り合いもいなかったからです!

最後に出会いがあったことで、息子は一人ぼっちではなくなったって言うのが話おちですかね。


短編なのに長くなってすいませんした!

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