第2回第3回 始まった課題
月曜日は憂鬱だった。ただでさえ休み明けで辛いのに、1限から一番前の席であの講義を受けなきゃいけないということが憂鬱でしかなかった。
僕は先週課された「目次を作る宿題」と製図セット、A4トレーシングペーパーを持って席に座った。
後ろの席の友人は、どうやら宿題をやることを忘れて同じ教科書を使う他の学科の人のものをコピーして持ってきたようだ。目次だけでいいのに何故か表紙なんかつけて…嫌な予感しかしないからやめた方が良いと思うんだが…
講義が始まり、最初は宿題の回収、それから今度はしっかりとした手書き製図の説明が始まった。
まずは製図板にトレーシングペーパーを貼り付け、幅10㎜の線を0.5㎜のシャーペンで引き輪郭線を作る。これがすべての基準となる、完璧な精度を持った線として扱われる。輪郭線は決してはみ出したりしてはいけない。
0.5㎜と0.3㎜の2本のシャーペンを使って製図は行うが、この際0.5㎜を太い線、0.3㎜を細い線として明確な違いをつけて書くことが必要である。
最初の課題は、「線と文字」
一点破線や二点破線なども含めた線の書き方や、コンパスにとにかく慣れると共に、製図板の扱いや製図規格にも触れていくというものだ。
特に道具に慣れることは、図面を描く上で速さが増すので重要だ。
2週にわたって行うが、今日は線だけを書くらしい。
線の太さを明確にすることや、事前に配布した紙に沿って書くように言われた。
そういった軽い説明が終わり、作業に移った。僕はコンパスという道具が嫌いだ。
使いづらい。大きい円になればなるほど使いづらいし、小さい円になればなるほど使いづらい。つまるところ使いづらい。嫌いだよ。
時間はあっという間に過ぎ去った。コンパスや初めて使う製図板の扱いで苦戦していたら、チャイムが鳴った。チャイムと同時に教授は「ペンを置いてください」と言った。
「図面は丁寧にはがして提出してください」
僕は未完成の課題を提出した。周りを見ても未完成は多い。その事に安心感を感じながら講義は終わった。
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翌週、3回目の講義は文字だった。
「教科書に書いてある文字を見本に文字を書いてください。2冊教科書はありますが、こちらの緑の教科書の方を参考にしてくださいね」
教授はそう言って、初回の講義で1000円で購入した教科書を指した。
言われた通り、教科書の指定されたページの文字を写経のように書いていく。書く文字はひらがな、カタカナ、英数字、そして漢字だ。漢字は「断面詳細矢視側図計画組」の文字だ。先週よりはストレスの少ない課題に安堵しながら筆を走らせた。特に漢字は写経のような気分になったので、心の中でお経のように唱えながら書いていた。
しかし、終わらない。どうやら文字を詰めて書きすぎたようだった。確かに、文字と文字の間隔については言及していなかった気もする。
また今回も、未完成のままの課題を僕は提出した。
正直線と文字の課題ではあまり書くことありません。次回からは新章突入です。本格的な製図が始まります。