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帝都で勲章を貰って、王子と仲良くなれた。

まだ2話目なのに長く書いてしまった…

2 帝都で勲章を貰って、王子と仲良くなれた。



「第1空戦魔装小隊! 皇帝陛下の御前へ!」


「「「「「はっ!」」」」」


僕と他の小隊メンバーは返事と共に立ち上がるとこの国の皇帝が座っている場所まで階段を上がり、ひざまずくとこうべを垂れた。


ここは、帝都エリュシオンの中心にある王城、ハイデンライン城の中。玉座の間と呼ばれるこの部屋は、その名から分かるようにこの国の皇帝と会う事が出来る。

壁は全て純白の大理石で覆われており、微細なまでにこだわった金と黒を基調とした装飾が施されている。

天井には巨大かつ豪華なシャンデリアが複数吊り下げられてあった。

皇帝が座る玉座までは真紅の絨毯が引かれており、数段の階段の先には現皇帝バルジルク・ルーン陛下が座っている。

その後ろでは、ステンドガラスにかたどられた初代聖女の大天使ウリエルが笑みを浮かぶていた。


そもそも何故、僕達がここにいるかと言うと今回ーー強制的にーー参加したこの戦場で自分が指揮した小隊が多大な成果を出したからだ。

その成果とは、敵空戦魔装小隊を全て迎撃及び、敵主力部隊の壊滅。更に加えるなら僕単独での別働隊の撃破。


倒し方は全て一緒。空から爆裂魔法を撃てば一瞬だった。


とまぁ、これらの成果を聞いた皇帝が「是非その小隊に勲章を授けたい」と言う事で全メンバーが集まったのだ。


どっちにしろ僕は師匠である大賢者サクラの弟子として来ないといけなかっけど……


そんな事を考えていると皇帝陛下の声が聞こえた。それは自分の名を呼んだだけの行為なのに、その声には威厳と威圧感があった。


「第一空戦魔装小隊隊長……ウィル・ガートナー。ここへ」


「はっ!」


返事をしてすぐに立ち上がった僕は、2歩前に出るとバルジルク陛下の足元でこうべを垂れた。


「そなたとその部隊の働きは聞かせて貰った。わずか12歳と言う若さで敵主力部隊である、王国精鋭騎士団が一つを壊滅、部隊では敵空戦魔装小隊を全滅……誠に大義であった」


「至極光栄でございます」


「うむ……そなた達も、大儀であった」


ねぎらいの言葉を受け、小隊メンバーの一部では余りの驚きと嬉しさで声がびっくりかえったものまでいた。

それも仕方ないだろう。小隊メンバーの歳は皆14歳。ある学園の成績トップのチームではあるがまだ、14歳なのだから。

バルジルク陛下は一度だけ頷くと、横に立っている金髪の女性から銀色に輝く鷹の形をした勲章を受け取ると、再び前を向いた。


「ウィル・ガートナー!」


「はっ!」


「そなたは今回の戦いで多大なる成果、そして栄光をもたらした。また全隊員を無事にこの祖国に連れて戻ってきた事は何よりの成果である。以上の成果より、そなたとその隊員達全員にこの銀の鷹勲章を授与する」


僕は立ち上がると、胸元に皇帝自ら勲章を付けて貰った。

他の隊員達は美男美女から勲章を付けて貰って、ウキウキしている者や照れている者が多いが、皆揃いに揃って自信に満ち溢れた顔をしていた。1人を除いて……


「これからはより一層、勉学に励み、優秀な騎士や魔術士になって再び、この場で合間見える事を願っている。それでは、これで勲章授与式を終える! この戦いの英雄達が退出する! 皆、拍手で見送ろうではないか!」


その力強い声に合わせて拍手の爆発が巻き起こった。僕は皇帝に会釈をすると振り返りながら、師匠であるサクラを見た。

仮にも自分の弟子が、この国の為に成果を出し、皇帝から勲章を授かったと言うのに師匠様は女であるにも関わらず大きな口を開けながら欠伸をしていた。

これを見た僕は余りの情けなさに、部屋を後にするまで顔をうつむけて歩いた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





全ての行事が終わった頃には既に日は傾き出していた。街は戦争の勝利によってお祭り騒ぎになっているが僕とサクラと小隊のメンバーは帝都の外にある旧演習場に来ている。


旧演習場とは今から数100年前に建てられたコロッセオだ。今はもう崩れ堕ちたため、使われておらず、残っているのはちょっとした柱と大量の瓦礫、そして直径50mはある円形の広場だけだった。


その中心で僕達はある存在が来るのを待っていた。

僕は傾き出した太陽を眺めていると、隣に金髪のキリっとした目を持つ男が近づいて来た。

この男の名前はバルジルク・ルーク。

そう、この国の皇帝バルジルク・ルーン陛下の実の子供で、この国では第3王子に値する地位を持っている。

勲章を貰っても、動じなかったのはこのルークさんなのだ。


ちなみにさんづけなのは怒らせたら怖いからだ。


話を戻して、何故かと言うとルークさんはただ1人の戦争に参加した事のある存在であり、既に複数の勲章を持っているからだ。

ちなみに付け加えると、僕がこの小隊を指揮するまではルークさんが指揮をしていたのだ。


隣に立ったルークさんは僕に向かって思いもしなかった言葉をかけて来た。


「いい指揮能力だった。来年また会おう」


「え? あ、うん。ありがとう」


余りの突拍子に僕はそう答えるしか出来なかった。

何故かと言うと僕とルークさんは戦争に出るまでずっと喧嘩をして来たのだ。

この小隊のメンバーとは戦争が始まる5日前に初めて会い、仲良くなれたのだが、ルークさんとだけは仲良くなることは出来なかった。

そんなルークさんがいきなり褒めて来たのだ。驚きを超えて呆然とする僕にルークさんは続けて言ってきた。


「えーとな、その〜何だ? 悪かったな……お前の邪魔ばかりして」


今度は謝ってきた⁉︎

あのプライドの高いルークさんが⁉︎ もう意味が分からないんだけど!


心の中であたふたしながらも言葉を返す。


「いや、そんな邪魔だなんて……。確かに邪魔だったけど……」


「なっ! お前! 仮にも僕はこの国の王子で歳上だぞ!」


「いや、自分で納得したじゃないですか。邪魔だったって」


「う、そうだな。今のは忘れてくれ。確かに僕が間違っていた。すまない」


ルークさんはそう答えると頭を下げてきた。


「なっ! あ、頭を上げて下さい、ルークさん!」


さっきよりあたふたしていると、満面の笑みを浮かべる赤毛の髪をカールした少女と白い髪を持つ少女がルークの後ろに現れた。


赤毛の髪を持つ少女の名前はグラデァール・アシュレイ。有名な貴族の子供で、学園では射撃ランク3位の実力と6位の魔力量を有している成績上位の生徒。

その横にいる何ともパッとしない、やる気があるのか無いのか、よく分からない白髪の少女の名前はセリア。商人の子供として産まれた彼女は、学園では射撃ランクこそ12位と低いが、学力では学年2位、魔力量では3位の好成績をとっている。


アシュレイは頭を下げているルークさんの肩を叩きながら僕に言ってきた。


「ウィル! こいつを許してやってくれ! 悪い奴じゃ無いんだ!」


その後に続いてセリアが言う。


「うん。悪い奴じゃ無い」


「アシュレイ……! セリア……!」


2人のフォローに感極まったのかルークさんは2人の手を取りながら感謝の言葉を言っていると、その横から眼鏡をかけた紫色の髪の長身男が割り込んできた。

このいかにもこ悪そうな長身男の名前はユージン・クリストファー。こう見えて


「でも、ウィルがいない時はいつも言っていたよな〜……あいつが羨ましい〜! って!」


「「「‼︎」」」


「え、ルークさん。そうなんですか?」


「あ、や、そんなまさか! 次に会った時は必ずお前より強くなってやるからな! 覚悟しとけよウィル! いゃ〜、一体何をバカな事を言っているんだよ〜、ユージン‼︎」


顔は笑っているが目が笑っていないよ……ルークさん……


そんな感じでいつの間にかルークさんとも仲良くなり、その他のメンバーともワイワイガヤガヤ話しているときにそれは来た。


「あ……」


誰かがそう呟い瞬間、その場にいた全員の顔には驚愕の表情と共に巨大な影が差し掛かった。

それは、巨大な一匹の鳥だった。大きさは優に7mを超え、その巨大な漆黒の翼には一本の黄色い線が入っていた。

太陽の光を受け、その黄色い線はその場にいた全ての存在にこう思わせた。


雷鳴だ、と


この僕達の頭上にいる巨大な鳥の名前は……


《我が名はサンダーフォルン‼︎ サンダーバードの王にして大賢者サクラの守護獣である!》


いつ聞いてもこの声には王者の風格を感じる。そう、今日この銀の鷹勲章をつけて頂いた皇帝バルジルク・ルーン陛下がそれに近かった。

サンダーフォルンと名乗った漆黒鳥はその巨大な翼を広げると、凄まじい風を辺りに放出しながらゆっくりと僕達の目の前に降り立った。


今回は読んで頂きありがとうございます!

まだ2話目ですが、良ければブクマお願いします^_^

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